【第142話あらすじ】「なつよ、この十勝をアニメに(142)」

東京に戻ったなつ(広瀬すず)は、早速、新しいアニメーションの企画「大草原の少女ソラ」の主人公ソラのキャラクターを描いてみたが、麻子(貫地谷しほり)や坂場(中川大志)達にまったく認められない。思い悩むなつに対して下山(川島明)は、十勝でスケッチした優(増田光桜)と泰樹(草刈正雄)の絵を見せる。すると、イメージが沸き起こり、なつは勢いよくソラのキャラクターを描き始め…。

Yahoo!テレビより引用)

クリックすると新しいウィンドウで開きます

昭和49年(1974年)――なつが見せているのは、ソラの新デザインです。おさげにしていて、赤いワンピース。どこかで見たような……。

 

全開モーレツなダメ出しをしたイッキュウさん等もこれなら見たくなるとOKを出します。

その後、なつはそろそろ優を迎えに行きたいと言い出す。社長のマコは寛大に許します。

それはそれできっと正しいと思う。子供のことで気もそぞろになって集中できないと、時間も効率も無駄になりますもんね。

ただ、かじりついての深夜作業自慢とか、寝ていない自慢とか、24時間戦えるからってドヤ顔する時代は終わった。いや、始まっていたことすら、人類史においてない。

そうだと勘違いしていた人。その勘違いが抜けない人がいるだけのことです。

なつはここで、こう返します。

それでも仕事をしたいから、戻ってくる。

これは少し問題ありじゃね思いますがもやもや

マコはちょっと驚きつつ、認めます。

「それは構わないわ」

かくして、優は保育園からマコプロに来ることになりました。

優がいる中で、なつは一心不乱でカッコいいおじいちゃんを描いています。

どうしたって、泰樹を思わせるデザインです。

そしてここで、OPが始まって壮大な実験の成果が見えてきます。

そこで走る、赤いワンピースにおさげの女の子。

あの子の名前は?

そう、ソラです――。

 

そんなある日曜日。

坂場家に来客がありました。

信哉と明美です。

マコプロの話を聞きながら、明美は羨ましがっています。

イッキュウさんはしみじみと言います。

小さい会社だから、気心がしれているからこそ、やっていけるのだと。

「結婚しても好きなことができる環境を作るのが、一番難しそうだもん」

この明美のセリフからもはっきりと示されました。

マコプロのモデルは、スタジオジブリであって、そうではないのです。

女性の労働環境において一段上なのです。

それと同時に、朝ドラ最難易度に挑んだ証明でもある。

それも、もう、終わりだ。『半分、青い。』の【スパロウリズム】以来、誰かがそこに挑んできたぞ。

さて、その明美は東京に来ていました。

地方と東京では違う――このセリフも重いものがあります。

そんな明美は、信哉がデスクで助かっていると、しみじみと言うのです。

「ほんとうの妹みたいだ。甘やかさず、ビシビシ鍛える」

初の女性ディレクターにする――そんな信念を抱いて育てている。最高のおじさんになりつつあります。

だからこそ、なつはこう言います。

「ノブさん、ビシッと鍛えてやって!」

なつは知っている。

家族。

柴田牧場のひとびと。

演劇部のひとびと。

東映動画のひとびと。

ここにいる、マコプロの仲間たち。

新たな家族。

周りの人々が、自分を鍛えてきてくれたこと。

空襲の夜――信哉は自分を救い、導いてくれた。あのときみたいに、明美をそうして欲しい。

そう委ねているのかもしれません。

明美は、なつたちが十勝の柴田家を訪問したことを尋ねてきます。

モデルというよりも、あくまで架空の話とすること。それでも、知っている人がみれば、モデルがわかってしまうのでは? そう問われます。

「そう思われていい。そういうリアリティがある。原案に、実体験を重ねる」

イッキュウさんがそう言います。

そうすることで、千遥にも物語が届いて、なつの話だと思うかも。

ぜひ見て欲しい――そう語られます。

ついにここまで来ました。名前のクレジットを見るだけじゃない、物語そのものを妹に見せる。

「どこかで見ているって、信じてる……」

そう信じるからこそ、素晴らしい物語にしたい!

「そうしなければ、きみと作る意味がない」

イッキュウさんは力強く、なつにそう言います。

彼は泰樹の話を聞き、その底にある悲しみまで感じ取りました。

人が結びつく、その優しさも。

「それこそが僕らの描くべき物語だ」

そうイッキュウさんは言います。

主人公は少女と少年

イッキュウさんは、プロットに一人のオリジナルキャラクターを加えると言います。

その人物は、少年時代の泰樹でもあり、なつでもある。千遥でもある。

イッキュウさんは語ります。

家族とは、血縁的に本当の家族であるかではない。

それを望む心が、あるかどうか。

「それを描き、自分の物語とすることに、抵抗がある?」

なつは微笑みます。

「私の役目は、絵に魂を吹き込むこと。信じてついていくだけ。いい作品にしましょう!」

これは、ただの夫唱婦随ではないのです。

ここだけ切り取ると、そう思えるかもしれないけれど、なつのキャラクターデザインがなければ、イッキュウさんのプロットはできない。

イッキュウさんがプロットを作らなければ、なつは絵に魂を吹きこめない。

二人でひとつ。二人で、大草原を舞台に新しい世界をつくる。そういう関係だ。

さて、マコプロには、新人三名が見参しております。

石沢(ベテラン男性)、町田(新人男性)、立山(ベテラン女性)です。

これもバランスがいい。 東映動画初期の仕上げ課あたりと比べるとわかりますが、マコはベテラン女性の役割をきっちりと説明しています。

彼女は今日も説明がハキハキしている。

・仕上げはどうしたって外注に頼る

・その外注との折衝は石沢と町田の役目。そこにリスペクトを!

・立山のチェックは大変だ

そして、締めくくりはこうだ。

「しっかり、締め切りを守りましょう!」

「はい!」

「返事だけは素晴らしい」

名馬の制御は難しいけれども、乗りこなせれば最高てなわけで♪

そしてざっくりと、一話目の打ち合わせへ。

神っちの失言「洪水は使える!」の意図もわかります。

プロットの基礎として使えるという意味。彼は一言多くなければ、もっといいんだけどな。それができないだけなのよ。

その内容は

父と母、妹、主人公のソラ。

洪水のあと、馬車で一家は旅立ちます。

そこで彼らが見かけたのは、川に流されている少年。少年のお友達のリスが、鳴く声にソラは気づいたのです。

ソラの機転と家族によって、救われた少年。彼の名はレイ。

ソラと暮らすレイ。

レイと暮らすソラ。

ソラとレイの目を通して、物語は動き始めます

目を描き、イッキュウさんに見せています。

「家族の表情はいい。でも荷馬車が競馬場を走っているみたい」

出た、ダメ出しだ。彼の場合、ダメ出しされないということが合格ということ。

イッキュウさんの理論はこうきた。いろいろな石がある道を進むなら、様々な振動があるはずだ。その方がリアリティが出る。おろそかにしない。

「そこまで追求しだすと……」

なつもびっくりして言いながらも、ハッとしているのです。

東映動画では、そういうことを捨てて進んできたんでしょうね。そのことを思い出しつつある。

「子供も大人も楽しめる、本物。きみの記憶と想像力なら、できる。お願いします!」

そう言われ、なつは集中し始めるのです。

なつの記憶の中にある、泰樹と乗っていた馬車の景色が思い浮かんで来ます。

これを、マコさんが感慨深げ(あるいは、そんな調子で締め切り守れるのか? という疑念かも?)に見ているこの顔!神っちや下山も、このやり取りを聞いから、自分の机に向かいます。

『なつよ、どんなものができるのか、私も楽しみだ――。』

これは父ナレと気持ちが一致するのですが、怖い気持ちもある。

OPにソラが出てくるのかな?何があるのかな?

何な気持ちの中次回に続く・・・