【第139話あらすじ】「なつよ、この十勝をアニメに(139)」 なつ(広瀬すず)が東洋動画を辞める日。なつは、仲(井浦新)や井戸原(小手伸也)、堀内(田村健太郎)達と挨拶を交わし、これまで仲間とともに試行錯誤してきた日々を思い出す。アニメーターに拍手で見送られる中、なつは18年間勤めてきた東洋動画を去るのだった。そして、いよいよマコプロに入社したなつ。麻子(貫地谷しほり)や坂場(中川大志)や神地(染谷将太)達と、満を持して新しい企画に挑戦するのだった…! (Yahoo!テレビより引用) |
昭和49年(1974年)3月末――奥原なつは、18年間勤めた東洋動画を退社します。
表情を確認するために使っていた鏡はじめ、ありとあらゆるものを片付けて。泰樹の渡してくれた懐中時計をジッと見つめます。
脳裏には、さまざまなアニメが流れていく。
これは公式サイト特設コーナーで振り返ることができます。
あらためて見返すと、圧巻です
モノクロからカラー。そして画風の変化。そこにはジャパニメーションの歴史が凝縮されています。
なつの後任作画監督である堀内から、花束を受け取るなつ。
「なっちゃん、これからも頑張れよ!」
「お世話になりました!」
「お世話になりました!」
チーム全員が深々と頭を下げ、この偉大なる先輩を見送ります。メンバーの中には女性アニメーターもおりますね。しかしひとりだけ、素直になれない関西男がおります。
あの荒井さんやで。 顔を逸らしつつ、こう言うのです。
「わしもこれで定年や……なっちゃんと最後まで仕事できて、ほんま楽しかった」
荒井さんはええなぁ。この髪の毛がポマードでギッチギチしている感じ。今日も派手な服装。
荒井さんと別れを惜しみつつ、なつは花束を抱えたまま、別室へ。
そこには、山川、仲、井戸原、佐藤がおりました。
佐藤は嘆いています。
「我が社にとって、大変な痛手です! 私のあなたへの敬意は、これから先も変わることはありません!」
佐藤は握手を求め、突如、なつに喧嘩を挑み……ではなく『キックジャガー』のスパーリングの真似をするのです。佐藤はいい奴だったなぁ。そんな佐藤とがっしり握手して「お見事!」と言い、拍手する
そして井戸原はこう励まします。
「東洋動画出身だということを忘れるな」
なつは、お世話になったことに感謝し、深々と頭を下げつつこう言います。
「ありがとうございました!」
「なっちゃん……」
仲は感無量です。
「仲さん、ありがとうございました!」
「きみをこの世界に誘ってよかったんだよね?」
「仲さんに出会わなければ、私は、私にはなれませんでした」
この師弟ならではの会話です。
仲は生真面目で、なつの進路を常に気に病んでおりましたね。面接の時も結果に驚いていました。その冤罪で咲太郎から襲撃されてましたっけ。
ひとりの人生に、強い影響を与えてしまったこと。それはそれでよかったのかどうか?
彼は常に悩んでおりました。
なんて誠意ある師匠なのでしょう
山川もこう来ました。
「奥原なつさん、多大なる貢献に、心の底から感謝します」
「こちらこそ、ご恩は一生忘れません!」
なつは頭を下げるのです。
脳裏には、18年間の思い出が駆け抜けていきます。
モモッチ、仲、下山、井戸原、堀内、茜、そしてイッキュウさん……大事な人たち。
泣く白娘、駆け抜ける牛若丸、サム、ヘンゼルとグレーテル、キックジャガー、番長。
仕事仲間たちも、アニメの中のキャラクターも。
そして家では。イッキュウさんと優とともに、転職祝いです。
「長い間、ご苦労様でした!」
「ご苦労様でした!」
「ありがとう!」
「それじゃ、かんぱーい!」
なつがしみじみと、幸せな日々だったと語ります。
イッキュウさんは【作品を成功させたからだ】と言いますが、そういう意味ではないとなつは返します。
出た、残念なイッキュウさんだ。😓
「そういうことじゃない」
なつは返します。確かに、興行的失敗の詰め腹切らされたイッキュウさんよりは、円満退社ですけれども。
「作品は、残っている。私の幸せを、みんなが感じてくれた」
自分のことのように送り出されたのだと、イッキュウさんも理解します。
「ママはとっても幸せ……」
「優も幸せ!」
それにイッキュウさんが同意すると、優がすごいことを言いだしました。
「自分の幸せは、自分で決めなさい!」
「どこで覚えてくるんだ、そんなこと……」
娘のセリフに、愕然とするイッキュウさんです
そして奥原なつも、ついにことマコプロへと出馬しました。
「なっちゃんまで揃うと、一気に懐かしくなる」
マコさんは意気軒昂ですが、この人は本当に怖いよね・・・
東洋動画のことを思うと、本当にシャレになっていないと思います。
新作タイトルは『大草原の少女ソラ』
マコプロで手掛ける新作タイトルは『大草原の少女ソラ』でした。
ソラという名前は和風であり、洋風と説明されます。
どのへんが洋風かというと、発音のしやすさでしょう。
イッキュウさんが、元気よくプレゼンしています。
イッキュウさんとマコの話を、ちょっとまとめましょう。
・舞台は大正時代から昭和にかけて ・舞台は日本の北海道 ・とはいえ、世界的に見て通じるような、普遍的なものとしたい ・放送枠は「ミルコス漫画広場」 ・放映時間は日曜夜のゴールデンタイム(※大河ドラマの前でもある) ・ミルコス社長が北海道開拓者出身であり、そのために通った ・関東プロダクションを通さない配給 ・つまり、マコプロの伝えたいことを出せる ・放送開始は半年後の秋、10月から ・放送期間は半年 ・視聴率低迷をすれば打ち切りがある ・そうならないように頑張るぞ! ・スタッフ交代なし ・演出は全てイッキュウさん。とことん自分の世界を突き詰める! ・キャラクターデザインと作画監督は奥原なつ、全てやる ・モモッチは色指定、仕上げの塗り |
スッキリする。仕事の参考にもなる・・・かもね
話がずれて取っ散らかる傾向があるこちらとしては、参考になりました😆
とはいえ、背景も見逃せません。当時を再現した色ガラスの窓といい、細やかな仕事です。
そしてここで、最後の目玉!東洋動画の悲鳴が聞こえてくるぞ!
「美術監督は、山田陽平さんッ!」
マコはここで、同期だった――とシレッと言います。
引き抜きよりも自由意志退社だと言いますが、どうでしょうね。
神っちは今朝もドヤ顔です。地元の山田さんなら間違いないって。美術監督は彼しかないと思っていたって。
そして、その陽平がやって来ます。
記憶の中にあるものを勝手に描いたから、参考になるかわからない。
そう断りつつも、彼は十勝の景色を見せて来ます。
なつはじっとその絵を見ています。脳裏には、あの実際の景色が浮かんでくるのです。
テレビ漫画を意識していないと陽平は断りますが、それがかえっていいかもしれない。
とても素敵。十勝を出せるのは、陽平さんだからこそ。皆そう興奮しています。
わかる。スタッフが十勝の自然を詰め込みたかった。そんな気持ちがわかります。
時間のなさと士気低下しか伝わってこない、そんな絵とは違うのだ。
ここで、北海道ロケハンの必要性が出て来ます。
マコが焦り始めます。
「予算はどこにあるのよ……」
マコはかつて神っちの才能に焦っていましたが。
彼女には、神っちにはない才能がある。
予算と締め切りへの配慮です。
補給を考えるマコ。奇策で戦うものの、補給を無視する神っち。
二人は結構いいコンビかも
ここでなつが言いだします。
「十勝なら、交通費だけでいけるかもしれない」
かくして、マコプロの一団が十勝に上陸。彼らが十勝の大地を歩み始めます。
『なつよ、ここから、また新しい君が始まりそうだな――』
父ナレがそう語る中、ラストスパートへ、本作が走りだします。
次回に続く・・