【第127話あらすじ】「なつよ、優しいわが子よ(127)」 産休が明けてアニメーションの会社に戻ろうとしていたなつ(広瀬すず)は、娘の優を預ける保育園がなかなか見つけられないでいた。そんなとき、仲(井浦新)から呼び出されたなつは、作画監督の話がきていると伝えられる。改めて、社長の山川(古屋隆太)と制作部長の佐藤(橋本じゅん)から、スポーツ漫画を原作にしたテレビ漫画の作画監督の打診を受ける。この主人公の境遇は、なつになら描けるはずだと言われて…。 (Yahoo!テレビより引用) |
昭和43年(1968)年――茜と下山は、ビラを配ろうとしているなつとイッキュウさんに、こう言い出しました。
「私じゃダメ?」
めいちゃんと優はもう仲良し。人生初のお友達です。しかもその母が茜ですから、安心して任せられる。6千円のベビーシッターとして、この上ない条件でした。
茜に預ければ解決というものでもないと思いう人もいるかと思いますが・・・
・雇用条件を確認する
・互いの理解がある
・一方的な押し付けではない
こういった条件を満たしているのですから、これはこれでいいのでは・・・きっと😅
あまりにタイミングがいい。こういうとき、ナレーションで偶然であることを主張しないのが本作です。
下山夫妻は、なつが作画監督になったことは承知のうえでした。
背景に、彼がいたのです。
そう、神っち!
神っちは、自分なりの責任を感じていた。作画監督をやることも含め、仕事をしろと背中を押したのは俺だぞって。
だからこそ、救いたいとは思っていた。それをこういうかたちでやる神っちは、紛れもなく熱くていい男ですよね。
なつは、感極まった顔になります。
「それだったら、本当にバカだよ神っち……感謝しかない」
神っちは、こうも言い切りました。
イッキュウさんをくすぶらせていたら、日本のアニメの損失である――。
カッコいい。
これはモデル通りではあるのですが、行き先を神っちが作るのではなくて、遠隔後方支援になっているところがミソ。
あの大御所は、マコと神っちに二分裂しているようにも思えるのです。
それに、神っちはあくまで自分がやりたいことではなくて、支援することに積極的でもある。カッコいいじゃないですか。
そこでマコが、こう宣言します。
「それで二人は決めた!」
なつとイッキュウさん。二人を一度に世に出すことを申し出た、そんな茜と下山に感謝して、こうきました。
「ありがとうございます!」
「一緒に頑張ろう!」
「よし、マコプロにようこそ」
かくして新年度昭和44年(1969)年――。優を預けて、なつとイッキュウさんは出社することになります。大量の荷物を持って、茜のもとをめざすなつとイッキュウさん。
大げさなことでもなく、このくらい必要なんです。茜の前で、その内訳をきっちりと示します。
・おむつ
・着替え
・ふとん類
・粉ミルク
・哺乳瓶
・コップ、スプーン、食器
・離乳食(ジャガイモと鶏ミンチ)
子供はよくも悪くも素直で、我慢ができません。チクチクする服が耐えられない。哺乳瓶だって好みがある。決まった食器でないと泣く子もいる。離乳食は言うまでもない。
昔はアレルギーだのなんだの、そこまで細かくなかったとは言われる話なんですが。
育児とは、日々進歩しています。それは人間そのものへの理解が進んでいることでもある。
下山は、イッキュウさんと一緒に出社するために待っていたと笑顔です。
なつは、優の迎えになるべく早く来ると言い聞かせようとします。優ちゃんが、演技でなくてありのままそこにいる乳児そのもので、ほんとうに眠そうなんですよ!
「ごめんね、ママ、すぐ帰ってくるからね」
そう言い聞かせても、優は泣く。そりゃそうだよ。
イッキュウさんもハラハラしています。
こういうときは早くしないと、きりがない。迷惑がかかるって。仕事モードスイッチが入ったのかな。
でも、怒鳴ったり声を荒げないところが、いい夫であり父だとは思います。
「ごめんなさい。ちょっとだけ……」
「きりがない」
ここで、茜がきっぱりとこう言います。
「なっちゃん……なっちゃんが頑張らないと」
「はい、茜さん、すみません」
なつはなんとか我が子と別れ、マンションの前でじっと佇んでいます。
イッキュウさんが声をかけます。
「大丈夫か?」
「遅れるから、先行って」
「いつまでだって待つよ」
そう心配するイッキュウさんに、なつはこう返します。
「もう大丈夫!」
そしてなつは振り向かず、決然と歩いていくのです。
「遅くなってすみません!」
「作画監督、おはよう!」
堀内が出迎える中、なつは東映動画に入ります。さっそく優の似顔絵を見ながら、仕事です。
一方でイッキュウさんも、マコプロに出社。
『三代目カポネ』の企画に入ります。
カポネの課題は、明るさが足りないことでした。
とはいえ、暗黒街が舞台ですからね。
そこをアニメで流すのですから、明るくすることは必須条件。
クリアしないと、話になりません。
「三代目は、根は善人。下山さんみたいにひょうきんにする……」
イッキュウさんはそう言い出しました。ハードボイルドを意識しすぎじゃないか、という指摘です。
下山は元警察官ですし、アクション得意ですし、そこにこだわりがあるんでしょうね。
ハードボイルド顔をする下山に、彼らしさが出ていないとイッキュウさんは言い切ります。
これも、下山が善人だからよいものの、心が狭ければ結構揉めそうな言い回しだなぁ。イッキュウさんらしいといえばそう。
もっと明るくする――そう提案するイッキュウさんを見て、マコは笑みを浮かべます。
「イッキュウさん、大人になったわね……」
まぁ、以前のイッキュウさんなら、揉めそうどころじゃない破壊力を発揮しそうではある。
マコさんもイッキュウさんに苛立っていた頃よりも、大人になっておりませんか? 余裕を感じさせますよ〜。
マコなりに、イッキュウさん対応はバッチリとして来たのでしょう。
キャラクターデザインもあるし、プロットも自由度が高い。
彼が泳ぎ回る環備を考えて整備してきたとわかるので。
マコさん、今日もカッコいいです。
なつは『キックジャガー』の作画監督として、打ち合わせの先頭に立っています。
あんな可愛らしい魔法少女アニメから、劇画タッチの格闘技モノへ。
その作風の変化に、皆驚きを隠せません。
格闘技大好きな佐藤部長も「原作よりかっこいい!」とうれしそう。
なつは、ラフなスケッチ、クロッキー風のタッチを生かすことで、動きが制限されていても迫力が出せると説明します。
中神拳也って主人公の名前もいいし、ライバルのブラックマンだって気になりますよ。
ここだけ見れば順調には思えます。それでも、泰樹からゆずられた懐中時計を見るその顔は、どこか暗いのです。
作画監督として、大量の絵に目を通す。アニメーターの質問には、丁寧に答える。
けれど、やっぱり、どこか心配で。
作画監督は、いくら時間があっても足りません。
茜の元へ向かったとき、時計はすでに午後8時を回っておりました。
「しーっ」
さっきちょうど寝たところだと、茜は告げます。なつが茜に謝ると、彼女はこう返すのです。
「いいのよ、大変だってわかっているから」
茜に理解があってよかった。
例えば川村屋の野上は、いい人ではあってもアニメへの理解はないのです。そういう相手だと話が通じないこともある。茜ならば、その点安心できます。
そんな茜は、なつが仕事を持ち帰っていることにも気がつくのです。
「すぐ連れて帰りますから」
慌ただしく、優をあやすなつ。
そんななつに、ナレ父はこう語りかけるのです。
『なつよ、よく戦っているぞ――。』
その通りだと思います。
確かになつは育児と仕事、両方に向き合ってよく戦っているのと見えるのですが・・・なぜかイラつくっていうか、素直にこのヒロインの母親は応援できないのです😱
次回に続く・・・