【第119話あらすじ】「なつよ、笑って母になれ(119)

なつ(広瀬すず)と坂場(中川大志)の新居に茜(渡辺麻友)と下山(川島明)、神地(染谷将太)が訪ねてきた。聞けば、東洋動画の社長・山川(古屋隆太)が妊婦である茜に対し、産後は契約社員として働いてもらいたいと言ってきたのだと言う。神地は、そんな会社のやり方に対してどうしても納得がいかず、憤る気持ちをなつ達(たち)にぶつける。そんなある日、なつは仕事中に貧血を起こし倒れてしまう。用心のため病院にいくと…

Yahoo!テレビより引用)

昭和42年(1967)年――亜矢美が去って、咲太郎と光子が結婚をしたそのあと。

なつは、自宅の台所でキュウリを切っています。

兄には光子さんがいる。亜矢美さんはきっと新しい人生を始めたはず。

そのために去ったのだと、確信を込めてイッキュウさんに語るのでした。

 

そんな坂場家のブザーが鳴ります。

【ジャーン、ジャーン、ジャーン !】

げーっ、神っち!

玄関にいたのは、神っち、下山と茜です。後ろの二人はそうでもありませんが、神っち憤怒に満ち満ちており、ただ事ではありません。

「イッキュウさんいるっ?」

もうすごいことになってきた。これは来年大河の信長も期待できるわ。【魔王】だもんね。

家にあがり何かあったのかと聞くと、神っちはますます激怒します。染谷将太さんじゃないとこれはできないわ。

「何かあったなんてもんじゃないッ!」

下山がここでなだめます。注目したいところは、当事者じゃない【魔王】が一番ハイパワーな怒り方をしているってことかな。

「もう、何もかも嫌になってしまった……」

茜が苦しそうな声を絞り出します。

産休の挨拶をするために、社長室へ向かった。

そこで山川社長は、復帰後は契約にすると笑顔で言うわけです。

「それはクビってことですか?」

契約とは、一枚いくらで支払う形式。正社員ではないんだな。

茜はショックを受けてそう返すしかない。

ここで山川は詭弁を返します。

・あなたの働きたい意思を尊重している

・あなたの好きな条件で契約できる

・頑張ればかえって収入が増える

・今は契約を求める人もいるくらいだ

悪徳経営者詭弁テンプレそのもの。

とはいえ、茜はそこで戦えるわけもなく……。

神っちは天下を目指すが、ついて行けるのか

「実質クビだッ!」

茶の入ったグラスをドンと置いて、神っち大興奮しております。

テーブルをバンバン叩く、【魔王】しぐさかも。イッキュウさんも、興奮してバンバン叩いていたっけ。

下山が、ここは労働組合だけでなく、人の家だとなだめるのです。

茜は悔しそうですが、諦念もある。

「辞める。仕事続けたいけど、そこまでして続けたくない……」

これは茜を責められないでしょう・・・茜は性格的に、下山と結婚して正解だったかも。彼女のモデルは神っちモデルの妻ともされますが、作劇的にはこれで正解だと思います。

神っちだったら、妊娠中の妻でも前線投入しそうな危険性もちょっとあると思うし。彼が悪人ってわけじゃないんだけれども。

このあと、さらにひどい現実も語られます。

なつや茜の後輩女子社員は、妊娠したら辞職するという契約書を書かせられるとか(#)Д`;;)ヒドイ。

「世の中そういうもの……」

「これじゃアニメーターの未来は暗い……」

神っち、【魔王】らしい、遠大な天下取りまで視野に入れおったぞ。

この役あっての、来年の信長なんだな。

そんな【魔王】はさておき、茜は謝っています。

「なっちゃんに迷惑かけてごめんね……」

「こっちこそ、何の力にもなれなくて……」

さぁ、どうする、どうなる、アニメーターの未来!

 

なつはそのあと、アニメを見ています。

「キラキラバンバン、キラキラアニー」

画面では、アニーが魔法を使って難題を解決します。

これは当時の雰囲気を生かして作るわけでしょうから、大変でしょう。

「人間は魔法を使えないもんね……なんでもない」

なつがしみじみとしている。

これは辛いものがある😰

人間というのは、子供と大人と切り替わって別人になれるわけじゃなくて、子供の心をどこかに抱えて生きていくのです。

 

茜の後任は、普通の人・堀内です

堀内ね。彼に悪意はまったくないんですよ。

ただ、純粋な実力では、マコ、茜、なつに勝てたっけ? そこは引っかかる。

「男女平等っていうけど、女は下駄をはかされている」

なんて言いますけど、堀内と今頃イタリアにいるマコを比較して、それを言えますかね?

さて、下駄をはかされているのはどちらでしょう。

なつは、堀内に妻とその契約書のことを聞きます。モモッチの後輩で、仕上課所属だったとか。

 仕上課は花嫁候補提供の場扱いですから、契約書だって特に迷うことなくサインをしてもおかしくないと。問題は感じなかったそうです。

「なっちゃんとは違う、良妻賢母タイプだから」

「ふーん、私とは違うんですかー」

「そういう意味でなくて!」

「そうですか?」

なつは嫌味を炸裂させます。

これもあるあるなんだよな……堀内の気持ちもわかる。

「うちの妻は普通の女で、そういう意識がないんだよ。ただの女」

そう言いたくなる気持ちはわかる。妻もそう納得しているかもしれない。

けれども、それは気をつけた方がいいんじゃないかな?

夫だけの思い込みかもしれない。妻の心も、眠っているだけかもしれない。

「そういうフェミニズムみたいなことって、エマ・ワトソンみたいな美女や、上野千鶴子先生みたいな才女でないと、主張できないような気がして……」

という偏見はあるんだろうな。堀内はそこまで言葉にしていないけど、そういう無意識のバイアスを感じるわけタラー

 

 

茜は女児を出産しました。名前は「明子」と書いてメイコ。

父の下山は、こう来ました。

「メイメイメイコ!(命名明子)!」(m ̄〃)ぷぷっ!

「それがやりたかっただけですか?」

と、なつがちくり。

なつは結構、パンチを放つんです。

「頭脳明晰、風光明媚!」

そう説明されます。 明るい未来も欲しいところ。あの映画『未来を花束にして』でも、ヒロインは娘に明るい未来を送らせたいと思っていましたっけ。

「ほんとうにかわいい……」

なつは赤ん坊を覗き込みます。

ここで新婚で夫と仲が良いにもかかわらず、自分も欲しいと言わないところがポイントでしょうか。

そしてひと月が経ち、秋が深まる頃。

なつは体調不良となっております。堀内と荒井が心配する中、荒井は風邪、堀内は過労を疑います。

荒井は、

 「遅れてまうねんで!」

と、堀内の過労疑惑すら否定。うーん……。

なつは、座り込んでしまいます。貧血のリアルですね。

そんなリアルな貧血のあと、なつは病院待合室の椅子で、何かを考え込んでいるのでした。

なつが帰宅すると、エプロン姿のイッキュウさんが迎えます。

また指を切りつつ、食事を作っていたそうです。

「慣れたから!」

「指を切ることに慣れないで」

そのやりとりのあと、イッキュウさんは心配します。

「顔色が悪い……」

「ちょっといい?」

椅子に座り、夫妻は向き合います。

なつは仕事中、貧血を起こして倒れたと言います。

そのあと医者に行ったら……。

「できてた。赤ちゃん。赤ちゃんが、できてた」

「よかったじゃないか」

「本当に? イッキュウさんはうれしいの?」

「うれしいよ……きみはうれしくないのか?」

「うれしいよ……」

素直に喜ぶイッキュウさん。一方で、そうできないのがなつです。

お医者さんに言われた瞬間は、信じられないくらい嬉しい気持ちになった。

だけど、これからどうするのか?

仕事を辞めるわけにはいかない。

「やめたくないよ……」

金銭的な話だけでもないんですよね。

夢も。同僚も。技術も。

辞めるということは、それを捨てることでもある。

でも、イッキュウさんは迷わないんだ。

「できた以上は、産まないという選択肢はないだろ、僕たちに。だったら、そんなことはとても小さなことだ。きみが、母親になるってことに比べたら」

「やっぱり仕事より大事ってこと?」

「そうじゃない。産むと覚悟を決めて、仕事のことは考えればいいと思っているんだ、一緒に考えよう」

覚悟の問題にしおった。

泰樹も求めた、覚悟だ!

「一緒に?」

「幸い僕は今家で働いているわけだし、君を支えることができると思うんだ。契約になっても、仕事を好きなだけ続ければいい。会社が仕事を認めれば、他の女性も働きやすくなる。子供を育てながら兄メーターを続ければ、それも戦いになる。きみが、その道を続けるんだ。そういう開拓精神が、きみにはあるはずだ。いっしょにがんばろう!」

「じゃあ、喜んでいいのね?」

「当たり前だ!」

「ありがとう」

「こちらこそ」

『おめでとう、なつよ、笑って母になれ――。』

父ナレが万感の思いでそう告げる、そんな出発点でした。ルンルン