【第117話あらすじ】「なつよ、笑って母になれ(117)」 光子(比嘉愛未)との結婚を亜矢美(山口智子)に報告した咲太郎(岡田将生)。皆が帰った後、二人で飲み直しているうちに、咲太郎は亜矢美と出会った頃のことを話し出す。大人として成長した今、自分をもっと頼ってほしいという咲太郎に亜矢美はあるお願いをする。一方、東洋動画では風邪を引いた茜(渡辺麻友)を気遣い、なつ(広瀬すず)は早めに帰宅させようとするが、茜はあまり大げさにしないで欲しいと言い…。 (Yahoo!テレビより引用 |
昭和42年(1967)年――水割りを飲みながら、亜矢美に感謝する咲太郎。彼女が母になってくれたことで、どれだけ幸せだったか。そう語る咲太郎を、亜矢美はこう笑い飛ばします。
「何言ってんの、今更」
「かあちゃんに会えなかったら死んでた。生き延びることだけではなく、生きることを教えてくれたんだ……」
亜矢美から咲太郎へ伝わった、生きることとは?
ムーランルージュに引っ張りこんだだけ――亜矢美はそう笑い飛ばします。昔のことは忘れたって。
当時は、金儲けのことばかり考えているクソガキだったと、亜矢美は振り返ります。
ここから、回想シーンへ。
亜矢美は本を読むよう、咲太郎に勧めている。けれども、咲太郎は聞く耳を持たない。足で金を稼いで、早く妹たちを迎えに行くと言い張るのです。
それを亜矢美はきっぱりと否定する。バカのままでどうするのか?
わからないたび調べるって、それでいいのかって。
進駐軍相手にタップダンスをするにせよ、それが通じるのは彼が子供だから。
下手くそな踊りに金を与え続けるほど、彼らはバカじゃない。
「人を本気で楽しませたいと思うなら、本気で勉強しろ!」
亜矢美はそう言いながら数冊の物語を薦め、わからない言葉は辞書を引きながら読めと諭します。
「かあちゃんいなけりゃ、バカのまま」
「今もバカ!」
そう笑い合う母と子。
頭の良さとは何だろう?イッキュウさん、夕見子、信哉のような学歴で示されることもある。
でも、それだけ?そうじゃないだろう――という本質的な賢さに本作は踏み込みたいようです。
人生という舞台は続く
ある日、咲太郎は泣いていました。孤児院の歌を聴いていると、涙が出てくる。
「咲太郎、こっちおいで。ほら、おいで」
亜矢美は泣く咲太郎をぎゅっと抱きしめるのです。
「親を亡くしたんだから、泣いて甘えていい。私をおかあちゃんって呼んでごらん」
「いいよ……」
「いいから、呼んでごらんって。ここは劇場だよ。私たちは、何だって演じられるんだから。ほら、かあちゃんって呼んでみな」
「かあちゃん……」
「なんだい、咲太郎」
「かあちゃん……」
歌声の中、抱き合う二人。この世界は舞台だから、男も女も、皆役者。ドラマってそういうものだ。
そんな親子劇は、まだ終わりません。
「かあちゃん、俺は何も、変わらないからな」
「わかるよ。これからも、変わらず偽物の親子だろ」
「今度は甘えてくれよ」
咲太郎がそう言うと、かあちゃんはこう来ました。
「またムーランルージュを建てておくれよ。また踊りたくなって」
もう50だろ。人間五十年の歳だと咲太郎は突っ込みます。
「死ぬ前に一度踊りたい」
そう言われて、咲太郎はやる気まんまん。
ムーランルージュの再建では、一度痛い目にあってはおります。10万円持ち逃げ事件だね。
「昔の俺とは違う! 思い切り親孝行するぞ!」
ブランニュー宣言をするので、それは期待できます。あれで揉めたプリンセス光子が今や妻なんだし。
「そりゃいいね」
亜矢美は扇子を手にして、踊り始めます。これは期待できるかも。どの舞台かな?
一方、坂場家では。
夫婦の寝室で、イッキュウさんが語りだします。
「きみの誕生日といえば、もうすぐ8月15日。」いろんなことを忘れないように、あるための日だな」
「私の誕生日は、周りにいた人のことを思い出す日」
ヒロインの名がなつであるのも。 誕生日がその日なのも。深い意味がある。しっかり考えていると伝わってきます。
「近頃、あれから何年も経ったんだな、って思うようになってる……」
昨日出てきた、フーテン族のあたりからそうなんでしょうね。
本物の戦災孤児が周囲にいることを知らない子供たちはそういう格好をして、家がないと名乗る。
なつは、あの終戦の日に戻ります。
千遥と二人で、整える人もいないおかっぱ頭をして、汚れた顔を拭いていました。
そんな千遥となつのところに、咲太郎と信哉が駆けて来ました。
「おい、なつ、戦争が終わったみたいだ。日本が負けたらしい。今日は8月15日」
「おめでとう、おねえちゃん」
千遥がそう言います。
「また千遥に会いたくなっちゃった……」。
「ねぇ、もし子供が生まれたら。私たちの子供は、幸せになるのかな?」
ナレーターである父だって、その妻だって。
咲太郎、なつ、千遥。
きっと幸せになると思い、名付けたのでしょう。
「なるよ、なるに決まってるだろ……」
イッキュウさんはそう言います。
さて、スタジオでは。
妊娠中の茜が仕事をしているのですが、どこか辛そうです。
なつが気遣うと、夏風邪だけど薬が飲めない、治りが遅いと言うのでした。
◆妊婦の薬物服用
それなのに、案外認知度が低いんだな
『半分、青い。』のムンプス難聴関連だって、かなり慎重だったんですけどね。
そこをガン無視して突っかかっていた人もおりました
なつが心配していると、関西弁の荒井がこうきました。
「どーしたん? 何かあったんかい? 風邪か?」
「あ、大丈夫です……」
「ほんま?」
「ただの体でない!」
事情をよくわかっていない荒井に対し、なつは声を張ります。
理解と想像をしている。だから、茜の分のシゴトも自分でやると断言します。
「ほんま?」
「ほんまです!」
なつは、茜の夫である下山を呼ぶと言います。
額に手を当て、彼女の体温もちゃんと確かめている。ここでも一言許可を取ってからで、いきなり触らずに確認するところが親切ですね。
なつの様子を見て、下山は呼ばれて来ます。
「大丈夫?」
「大丈夫じゃない!」
なつは下山に家まで送らせようとしますが、茜は戸惑っている。
「あまり大げさにしないで……仕事続けにくくなるから……ごめんね、仕事押し付けて」
この茜の、切なそうな演技。渡辺麻友さんがあまりにリアルだ。
茜みたいな人を、見たことがある。
申し訳なさそうな妊婦さん。街の中にいる。どこにでもいる。
あるあるだ。リアルな職場だ。
そして8月15日。
風車で、結婚祝いのパーティです。
ここでも昭和レトロなお祝いケーキが出てきます。本作の料理担当者さんは今日も頑張っている!
「かんぱーい!」
新宿のみんながお祝いをします。
なつは、亜矢美にもおめでとうと告げます。
「お兄ちゃんの家族だもの」
そうだ、家族だ!
よっ、亜矢美かあちゃん!
「かあちゃん、長い間、お世話になりました」
「バカだね、男のセリフじゃないよ」
そう茶化す亜矢美。
いや、男も女もないんだ。すごく自由な親子愛がそこにはあります。
父ナレは、しみじみとこう語ります。
『なつよ、母になるもの、悪くはないぞ――』
演技とは何か?
このドラマという舞台で演じるからには、そこにリアルな経験はいらない。
そう言い切るような、見事な山口智子さん。
母親役となると、ことさら母親の経験がどうこう言われるものです。
犯罪はそうじゃないのにね。誰も、咲太郎を演じる岡田将生さんに、犯罪経験は求めちゃいないでしょう。
今日は言いたいことがいろいろあります。
亜矢美の母親としての教育論。
あれは奥深い。
おかあちゃんが作る肉じゃが系のテンプレ神話を、正拳突きでぶち壊す爽快感もある。
亜矢美は、愛をこめて抱きしめる前に、学ぶ大切さを説いてきた。
それが一番に出てくる。
あの場面は、私個人としても、ドキドキしてしまった😳