【第114話あらすじ】「なつよ、開拓者の郷へ(114)」 なつ(広瀬すず)を嫁に出すことになり、わが子同然に育ててきた富士子(松嶋菜々子)は、1冊のノートをなつに手渡す。そこに書かれた内容に、なつは深い愛情を感じる。その後、なつは坂場(中川大志)と天陽(吉沢亮)の家を訪れる。以前から天陽の描く絵に感銘を受けていた坂場は、描かれた絵を見つめ、いつものようにある疑問を天陽に投げかける。すると、天陽は坂場の想像を上回る返答をするのだった…。 (Yahoo!テレビより引用) |
昭和41年(1966)年――なつは、柴田家の縁側でたんぽぽロゴのスケッチをしています。夕見子のバターに、なつがロゴをつける。
そんな姉妹の夢があります。
なつに、富士子がノートを手渡しました。柴田家でなつが味わっていた、北海道手料理のレシピ集です。
「かわいい絵……」
なつがノートをめくりながら言います。
絵のセンスはなつの父由来ですので、富士子の絵は素朴なものです。が、味がある。小道具さんが、すごく頑張って仕事をしていますね。
富士子は、なつがよく家事をしていたからわかるはずだと言います。
「絶対、忘れんわ!」
感謝して、そう伝えるなつが質問します。
「夕見子にノートは?」
ここで富士子は、キッと強い眼差しになるのです。
「ノートではダメ、一から特訓!」
はい、わかります……清々しいほど家事を断固拒否してましたよね
富士子は、あの子が突然結婚するなんてと驚き、うっとりしております。
「なつがこの家に奇跡を運んで来てくれた……」
もし、あの空襲で犠牲となっていたら?
もし、戦災孤児として駅で命を落としていたら?
人の命には、さまざまな可能性と奇跡がある。このドラマは、8月という季節に、そのことを教えてくれます。
なつは、こうして生きていることこそが奇跡だと言います。
あの夜を生き延びて、この十勝に来たこと。
「そうでなければ、亡くなったご両親に申し訳ない」
富士子はそう語ります。
育てた恩を着せない。むしろ、授かりものだとしみじみと語るのです。
「私にはもうこれが普通だわ」
「結婚して、辛いことがあったら、いつでも帰って来なさいね。あんたは本当に、我慢強いんだから」
しみじみとそう言い、娘を抱きしめる富士子。
「なつが生まれてくれて、ほんとうによかったわ……」
田辺に頼まれていたデザイン。
たんぽぽと、牛の顔を組み合わせたロゴでした。
「素晴らしい、見事だ!」
田辺がそう言います。
その田辺に感想を求められて、剛男はしみじみと思い出すのです。
あの日、たんぽぽを食べた少女のことを。
「本当に大きくなったんだな、あのなつが、もう結婚か……」
「やっとでしょ、心配してたくせに!」
「お前もな!」
そう夕見子とやりあう剛男です。
うん、そうだね、うん。なつと夕見子は、女はクリスマスケーキ(※24が適齢期、25過ぎたら遅い)の時代ですからね。晩婚ではあるのです。
田辺は、なつのデザインをバターだけではなく、ブランドそのものにも採用すると笑顔になっています。
「十勝のおいしい牛乳を、そのまま届ける」
そんな夢を噛み締めているのです。
「ゆみ、がんばって!」
「うん、飲めないけどがんばる」
「まだ飲めないんだ……」
そう突っ込まれて、ちょっと照れています。
克服していなかったんかーい。
視聴者も突っ込みたいでしょうし、明美も言ってましたっけ😅
なつと坂場は、天陽のアトリエへ向かいます。
所狭しと飾られた絵がすごい。 小道具さん、本職の画家さん、頑張ったんだなぁ。どれもこれも破綻がないように見えます。
天陽の絵を見た坂場は、ともかく感動したと若干ドヤ顔です。
「天陽くんと出会わなければ、今の私はない……」
なつはしみじみと、馬の絵の前でそう語ります。
天陽という少年が、北海道に来なければ、そうはならかった。
「それはお互い様」
天陽はそう言います。マウンティングとは無縁な、本作らしいセリフです。
ここで、坂場が難しい理屈に突っ込みました。
「絵を描くことと作物をつくることは違います」
「もちろん違います」
「ではその違いは?」
なつが小声で、答えなくてもいいからねとつぶやくのでした。
かなり坂場対策慣れてきたな。
「どちらも生きること。畑仕事は食うため。絵は、排泄です」
我慢できないと、漏らしてしまう。
「絵を描きたいと、便所に行きたいは同じ」
シンプルな彼の語彙で表現すると、そうなると。
「なるほど……素晴らしい」
「褒められるとうれしい、貶されると悔しい」
なつはここでこうつぶやきます。
「そうやって純粋に生きられたらね……」
天陽は、なつも同じだと言います。
彼はここに留まることを選び、なつはアニメーションという場所を選んだのだと。
天陽となつの恋愛描写は、ちょっと難しいというか、わかりにくくはあります。
周りで見るほうが【普通はこうだ】と考えてしまうからであって、当人からすればシンプルなことなのでしょう。
魚は水の中で生きる。馬は地上で生きる。世界が違った。魚を無理矢理地上に引き出したら、それはもう別の何かになってしまうのでしょう。
アニメという同じ世界でなっちゃんと生きられるのは、イッキュウさんだけ。
「どうかなっちゃんのことを、お願いします」
天陽はそうしみじみと託すのでした。
なつは、しみじみとナレーションで語ります。
「やっぱり天陽くんは、私の一番の目標です」
この心の声をナレーションと併用する技法は『半分、青い。』と共通していますね。
今まで、ほとんどなかったですよね。
その帰り道・・・なつは、心の中から語りかけます。
「天国のお父さん、お母さん、元気ですか?」
「元気で、ここにいます。はい、わかってます。お母さんもここにいます」
「未来のことはまだわからないけど、私はしあわせです」
そう語り合う、親子なのでした。
そしていよいよ、姉妹の結婚式へ。
昭和42年(1967年)春。たんぽぽが咲く季節・・・北海道のなまら賑やかな結婚式です。
なつは白無垢、夕見子は黒引。この黒引は、当時でもちょっと古いトレンド。母譲りかもしれません。
衣装ひとつで、その境遇もわかります。なつの場合は、母の衣装は空襲で残っていないのでしょう。
客は、今まで見た懐かしい顔がズラリ。
ウェディングケーキにも、たんぽぽがあしらわれています。
なつをスキー大会で争った照男と天陽が、しみじみとしています。
「なっちゃん綺麗だな……」
気持ち悪い執着心がないところもよいですよね。
信哉は、妻・道子(第79作『だんだん』ヒロイン、三倉茉奈さん)と出席しておりました。
彼女が気にしているのは、参列者家族のこと。なつの美貌に嫉妬するようなことはありません。本作は、そういう描写を避けています。
倉田先生と番長もおりまして。番長がオイオイと号泣し、「なんでお前が泣くんだ」と先生に突っ込まれているのでした( -ω-)ノ☆(*_ _)バシィッ
咲太郎と光子も来ています。
ん?亜矢美ではないのか。引っかかるな。
ここに千遥が来てくれたら……と、なつは思うのでした。
ものすごく感動的ですが、主役である坂場がおかしい。
ひたすら食べる、食べる、食べる。これも坂場の個性なんだな。
そして、写真撮影!
場所をめぐって総大将同士(泰樹vsとよ)がプロレスをしていることは、さておき。こういう演出が細かいなぁ!
細かいといえば、真剣な顔で坂場がネクタイをなつに確認してもらっているところ。
「天国のお父さん、お母さん、見守ってください」
なつは今日、結婚しました。
『私も映りたかったけど、やめておいた。
ああ、なつよ、未来永劫幸せになれよ――。』
父ナレも感極まり、テーマソングが流れる中、結婚式が締めくくられます。
さて今回、坂場と天陽の会話で思い出したのが、秋風羽織のトークショーでした。
思えば、圧倒的な塩対応でしたね😨
「きみとは会話が成立しない! だが作品は裏切らない、作品で会いましょう! それが私の、真実の言葉です」
と、一方的にトークショーを打ち切る羽織でした。
これも、司会者が坂場ならば、逆にうまくいったのかもしれない。
秋風先生は漫画に対する情熱も哲学もあるのですが、過去に理解者がいなくて、ガチギレしてしまい、こじらせたのでしょう。
それと今回、結婚式を見て確信できました。
※冠婚葬祭や学校行事は彼らのやらかしがちな場……
坂場の頑固さとトラブルを起こすこと。
夕見子が家事をせず、明美ともめていること。
そこはわかったうえで、名言しているのだと。
インタビューを読んでいて、役者さんやスタッフがどこまで把握しているかも、ちょっとわからないところがある。
ただ、脚本家さんは把握済みでしょうね。大森氏の方が濃厚に出しておりますが。
明確に理解している人はいる。そこを確信しました(゚д゚)(。_。)ウン