|
【第107話あらすじ】「なつよ、どうするプロポーズ(107)」 なつ(広瀬すず)が原画、坂場(中川大志)が演出を務めた漫画映画は大失敗。坂場はその責任を取り、東洋動画に退職届を提出する。その後、なつの元を訪れた坂場は、アニメーターとして終わった、自分との約束を忘れてくれ、となつに言う。坂場からの一方的な申し入れに、なつは坂場への思いを一気に話し、その場から去る。帰宅以来、部屋にこもりきりのなつを心配した亜矢美(山口智子)は咲太郎(岡田将生)に相談するが…。(Yahoo!テレビより引用) |
昭和41年(1966)年――坂場一久発監督、長編アニメーション映画『神をつかんだ少年クリフ』公開。そして興行成績は記録的大失敗でした。
失敗の理由は、難易度の高さでした。哲学的すぎて、理解できない子供たち。
クライマックスシーンでは、退屈になった子供たちが館内を走り回るほどの惨状だそうですΣ(゚д゚lll)ガーン
その失敗ぶりは、社内でも笑い者になるほどになっており、なつは暗い気持ちで、その噂を聞いていることしかできません。
そして坂場は、社長室に呼ばれました。
東洋動画始まって以来、最低の興行成績。制作期間も予算も倍近くかけておきながらの大失敗でした。胃が痛くなるような、シリアスな演出です。怒鳴ったり机を叩いたりするのは、むしろ坂場の方ですし、社長は淡々とした表情で事実を突きつけていきます。
それもこれも、坂場が会社の忠告を無視したため。信念を貫いたことが、裏目に出ました。
根本的な戦略ミスであり、作画その他の工夫でどうこうできたものでもありませんね😱。
「わかっています」
坂場はそう言い切るのですが。チームメンバーの昇給停止やボーナスカットまで言い渡されてしまうのです。
「責任は、私一人にあります」
坂場は繰り返します。ここでの彼ですが、一切言動に忖度が感じられません。
相手の情けに取り入ろうとはしていない。 負けを認めたと言えばそうなのですが、潔いを通り越してふてぶてしくすら思えますΣ(゚Д゚;≡;゚д゚)。
これも人物特性として、わざとそうしているのでしょう。
「どういうことか、きみにはわかるかね?」
一人では済まされないことを、井戸原が淡々と指摘します。
画部長である彼だって、もはやポジションを維持できません。更迭です。
もう、自由も失います。親会社から監視役が送り込まれ、裁量にも制限が加えられるのです。
そう言われて、坂場は彼なりの理解を示します。
彼が社長の前に置いたのは、退職願でした。
「よろしくお願いします」
これには驚きましたね……こんなかっこ悪い、全ッ然よくない、ひどい退職願シーンは見たことがなかったぞ![]()
いや、けなしているんじゃないんです。むしろ、ありのままにすごいことをしたとおもってます😳
なつは喫茶店の席で、アイスコーヒーを待っております。そこへ坂場がやって来て、彼も同じものを注文します。
8月15日生まれのなつ。千遥に会えなかった以来の、暗い誕生日になりそうではありませんか。
「出てもいいけど……コーヒーいる?」
なつは、目の前に来た坂場にそう気遣います。
坂場は話があると暗い顔。
「映画がすごく不入りみたいだ」
それでもいい映画を作ったとは、今も思っているそうです。負けず嫌いでもないし、敗因分析でもない。これがもし、もっと空気が読める性格ならば、ちょっとはしょげかえったポーズだけでも取れそうなものですが。そうすれば、印象もマシにはなるのですが・・・
なつも今までで一番いい映画だったと思っているそうきっちりと言い切ります。
「宣伝で、大人でも見られるよって言えばいいのに」
これもなつの性格ですよね。慰めるわけでもなくて、改善策を自分なりに出して悔しがるのです。夕見子あたりに、具体性のある策を出せと鍛えられた成果かな?
情緒ケアできない枠の坂場も、なつの提案を一蹴します。その理由が・・・
「僕にはもう作れない」
「どうして? 次はもっといいものを作ればいいのに」
「会社、辞めてきた」
皆にこれ以上迷惑かけられないし、自由度も下がるし、もう辞めるだけだ。
なつは困惑を押し隠し、こう言います。
「そう……」
「だから結婚はできない。僕のことは忘れてくれないか」
あーッ、それを言ったらいかんぞぉおおおお!
「どうして……仕事と結婚は別でしょッ!」
「僕は監督として、きみの才能を誰よりも輝かせたい。演出家になれない。きみを幸せにするだけの才能が僕にはなかった」
「そっか、そういうことか」
「そういうことです。きみには申し訳ない」
涼しげな顔でそう言い切る坂場。
もう、吐き気がしてきたわ😖
「おかしいと思った。考えてみれば、一度も好きと言われたことがない」
なつは愕然としてそう言い切ります。
ここで、立ち上がって泣いて立ち去ることはできない。
なつは、いつ坂場のことを好きになったのか、ずっと考えて来ました。
これも気が付けば、本作の特性ですね 第1回冒頭の信哉といい、天陽といい。彼ら側からの好意は示されていましたし、少女漫画のようなベタなシチュエーション演出もされていました。
しかし、なつ側の好意は特にない。
あったとしても、そこまで積極的ではありませんし、アニメーターとしての夢が優先されました。
そういうベタなシチュエーションがあれば、スイッチを押したようにくっつくわけじゃない。そういう決別ですねぇ![]()
はい、そんなわけで、なつの恋心探し。
短編映画を作っていた時?
夜に家まで来たし、徹夜で作業もした。
それとも階段でのアニメ問答?
ありえないようなことを、本当のように描く。
ありえないことのように見せて、本当のことを描くこと。
そう言われた瞬間だーーなつはなつなりに、そのことに気づいたのです。
それを悟るまで、時間がかかったけれども。
「あれには本当に参った。それ以来、私はその言葉に恋をした」
ありえないことを、本当のように描くこと。
なつの人生は、そんなことばかりでした。
「やっぱりこれ以上はありえるものでないと、文句は言えないけど、私は……私は、あなたの才能が好きになったわけじゃない! 言葉が生きる力になった、あなたを好きになった! ありえないくらい!」
なつは続けます。
「だけど、あなたは違った……好きでないことを、才能のせいにしないでくださいッ! そんな人とは一緒にいたくない。さよなら!」
なつの心理的【抹殺パンチ】が決まり、呆然とする坂場。朝から何が起きているんだ😨
なつも、ノーダメージのわけがありません。
風車にたどりつき、上機嫌で接客中の亜矢美も気がつくほど、暗い顔を見せたのでした。
「どうしたの? 具合でも悪い?」
なつは呆然とした顔のまま、自室へ向かいます。
翌日、坂場はあの噴水でどんよりとしていました。
「イッキュウさん!」
下山と仲が心配して声を掛けてきます。辞めるなら一緒に、とまで語りかける下山が善人です。
二人は、なつの欠席も告げるのでした。なつはそこまでショックを受けているわけです。
下山と仲は励まします。下山は、やりたくてついて行ったと言います。仲も、日本であんなアニメーションが作れるとは、と賞賛を惜しみません。世界にも類を見ない作品だと言い切るのです。
「そんなことどうだっていいんです!」
突如、坂場が声を震わせます。あー、もう、また順番を間違っている。自分一人で生きてきた感が醸し出されている。そこは注意しようよ( -ω-)ノ☆(*_ _)バシィッ
「それよりも、もっと大事なものを、僕は失ってしまった……」
「えっ、坂場くん?」
二人は動揺しています。
そのころ、とあるビルの一室、403号室ではーー。
風車プロダクションで、電話が鳴りました。咲太郎が入り浸っている声優プロダクションです。
電話をかけてきたのは、亜矢美でした。彼女の口から、なつの異変が語られます。
帰ってきてから食事もしない。
出社もしない。
具合でも悪いのか見られるわけでもないから、部屋の中を見たわけではないけれど、ずっと泣いているのかもしれない。そんな感じがする・・・
「絶対何かあったな」
「何かな?」
「それはやっぱり……あれじゃないのかな?」
『なつよーー。』
父ナレも、言葉に詰まって名前しか言えません。
蝉の声の中、討ち果たされたように倒れっぱなしのなつです😔
ここまで意味ありげに出してくると、絶対にろくでもない過程を経て、何か着地を迎える結果が待っている気がするのです。雨降って地固まるレベルじゃない。
才能や肩書きを愛した者。
そうではない者。
その別離パターンは、『半分、青い。』における萩尾律とより子もそうでした。
より子はステータスを求めて、律を選んだのではないかーーと周囲から言われておりましたが。
その真偽はさておき、より子は律の顔と地位は愛していても、性格はできなかったのです。律にも歩み寄りが欠けていたと思われます。
ステータスシンボルをお互いに求めて、それで愛し合って。
セレブ妻の地位なり、トロフィーワイフを得て満足できているなら、それでいいとは思うんです。
それで満足して、それ以外のカップルを攻撃してこない限りは・・・ね(゚д゚)(。_。)ウン
なつはずっと、恋する気持ちを探してきました。
坂場もモヤモヤと、それとなくはあったはず。
ただ、恋愛が苦手なんだなぁ(´Д`)ハァ…


