【第67話あらすじ】「なつよ、千遥のためにつくれ(67)」 なつ(広瀬すず)と咲太郎(岡田将生)は、12年前に生き別れになった妹・千遥がいるはずの住所を訪ねる。その住所には、一軒の木造アパートがあった。不意にそのアパートから出てきた若い女性の姿に二人は息をのむ。「千遥」と声をかけるなつ。そして、なつと咲太郎はその女性の部屋に通され、ある話を聞かされる。その言葉に衝撃を受けたなつはその部屋を飛び出してしまう。 (Yahoo!テレビより引用) |
千遥の家出。再会できない奥原きょうだい。
一体何が悪かったのか?いじめた川合とし?迎えに行かなかった咲太郎となつ?
結論からいえば、戦争そのものでしょう。しかし、だからこそ責任の所在が曖昧にされました。
「国民全体が苦しんだのだから、そういうものだと思うしかない」
あまりに酷いこの突き放し方は、【受忍論】とされて来ました。
【戦争犠牲、戦争損害は、国の存亡にかかわる非常事態のもとでは、国民のひとしく受忍しなければならなかったところであって、これに対する補償は憲法の全く予想しないところ】
俊一は障害を負ったとはいえ、それを抱えて生きていかねばなりません。
働けなくなった傷痍軍人が、募金集めをして生きていかねばならない。
そういう社会であった😔
なつたちと同じ戦災孤児たちの境遇は、もっと厳しいものでした。
咲太郎が言うように、奇跡があった。しかし、恵まれなかった戦災孤児もいます。
なつは、自分が幸せであったことに苦しみを覚えています。
千遥とは、どこで違ってしまったのか?
なつを保護した剛男は、復員後すぐに仕事復帰できた。
戦災による身体的損傷はありません。心理的にも、深刻な後遺症は表面上はありません。
柴田家の人々は、それぞれの鋭さでなつを受け止め、開放してきたのです。
それが、としや幸子にはできませんでした。笑う千遥を、バカにしていると思った。平気なのだと思った。
これは咲太郎も、恵まれていたのです。亜矢美も、マダムも、藤正親分も、咲太郎の強がりをちゃんと理解しています。
十勝や新宿の人は気持ちが優しく、賢いのか?
そういう単純なことでもないでしょう。北海道の柴田牧場近辺は、衣食住がまだしも恵まれていたから、心理的な余裕があったのでしょう。
新宿には、図太く生きる人々が集まっていた。それこそが、咲太郎の言う奇跡かもしれません。
千遥が十年遅く生まれていれば。こんなことにはならなかったのに……彼女のせいではないのに😢
きっとなつは、自分が許せないのだと思う――あの恵まれた環境の中。 十勝の朝日を自分が見ていたころ。風に吹かれていたころ。牛と一緒にいたころ。あたたかい愛情と友情に包まれて、生きていたころ。
千遥は、苦しんで一人さまよっていたのかもしれない。それを知ろうとしなかった。
そのことが、どうしても許せない。そう苦しんでしまうのです。千遥の絶望。悲しみ知らないまま、ずっと生きてきた。千遥のことなんか知らずに。
自室の机の上には、ラッピングをした贈り物らしき箱と、ハガキが置いてありました。
北海道から届いたものを、亜矢美が置いていたのです。
ハガキは富士子からでした。
『20歳の誕生日、おめでとう。
東京に出てからもう一年半だね。
仕事には少し慣れたかい?
なつのことだからきっと頑張っているんだろうね。
プレゼントは、お父さんと選んだ成人祝いの万年筆です。これで手紙を書いて欲しい。みんな喜びます。』
「千遥……ごめんね……」
なつよ、20歳おめでとう。どうかその夢が、その道が、いつまでも続きますように――。
亡父がそう祝います。
なつの誕生日は、終戦記念日でした。
もしも再会できていたらば、最高のプレゼントであり、彼女の戦争も終わったかもしれません。
しかし、そうはなりませんでした。
なつは、名前からして夏生まれということは想像ができました。
しかし、まさかこの誕生日とは