【半分、青い。】-再上京編①-


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年、“おひとりさまメーカー”になるため再上京した鈴愛とアメリカから帰国した律は再び再会を果たす。その仲立ちをするのが、正人だった。正人といえば、鈴愛が漫画家を目指し、初めて上京する「秋風編」にて恋仲になる相手。秋風から漫画のダメ出しをされ、へこんでいる鈴愛に、正人は“元気出してのプレゼント”としてチョコレートパフェを差し出す王子様キャラだった。初めてのデートの日、正人は鈴愛に吉祥寺へと引っ越すことを告げ、「近くまで来たかなって思うと、スッと行っちゃう。ヒラヒラと泳ぐ金魚みたい」と囁き、鈴愛と唇の距離を一気に縮める。しかし、2度目のデートで正人は鈴愛をぶっきらぼうに振り、それ以来、正人は鈴愛たちの前どころか物語自体から姿を消していた。
イメージ 1 約20年ぶりの登場となる正人は、相も変わらず王子様キャラ。屋台で五平餅を焼いている鈴愛は、ガード下でスーツを肩にかける正人と再会する。“チュクチューン”と流れる小田和正「ラブ・ストーリーは突然に」のイントロ。この演出最高過ぎて笑いとトキメキがとまるませんでした😃😃トレンディードラマ風に2人の恋愛も再熱か?……と思いきや、正人には10個上のバリキャリ彼女・アキコの存在が。その出会いの3カ月後に、鈴愛は正人を介して律と再会する。驚くのが「え、2人付き合ってんの?」と律が2度(3度目は思いを飲み込む)確認するほどに、2人の距離はおろか、娘の花野とまですっかり仲良くなっていることだ。法律関係の出版社勤務で、西北大学卒業後もちょくちょく連絡を取っていた律と正人はすでに以心伝心の仲だが、鈴愛とはこれまで一切連絡を取ってこなかった。これは再上京編全体でいえることですが正人はやっぱり気遣いができる王子であることが分かる。
 
イメージ 2その象徴となったのが、転職に悩む律に2人がかけた言葉の違いです。律は花野に動くカニのおもちゃを作ってあげることで、モノづくりの先に誰かの笑顔があるという原点を見つめ返す。菱松電機経営企画部技術課の課長であり、各セクションの開発や研究の予算管理を担当する律は、風の音が聞こえないタワービルのはめ殺しの窓に囲まれていた。幼少の頃から周りから期待され育った律は、大人になった今も抜けがない、隙がない、いつもパーフェクトな存在。しかし、思いを上手く吐き出せないで溜め込む性格があった。
イメージ 3そんな律に正人は、オープンオフィスフェアへ連れて行き、起業のチャンスがあることをさりげなく提案する。「律はやりたいように生きればいいと思うよ。君はできるよ」「律も自由にしていいんだよ。どっかにたどりつく」「律、焦らないで。迷ってる時間を楽しんで。思ってるほど、人生短くない。迷うことは人生の醍醐味だ」。律も“仙人”とあがめるほどに、正人から飛び出す金言の数々。対しての鈴愛は、「律は菱松におったほうがいい」「律には向いとらん」「看板に守られて生きとる」「精神的にも弱い部分がある」と、まるで正人と逆の考えの現状維持を提案する。 そうして律が放つ言葉が「黙れ。人の心の中に土足で踏み込んでくんな」である。過去に、鈴愛に対して酷い振り方をした正人も、怪我をした律を目の前に予約したワインバルの心配をするという、未だ少し抜けたところはあるものの、転職に悩む律への気遣いの部分で、遥かに成長して帰ってきたと言えるだろう。
正人の存在が律の選択、そして鈴愛と律の関係にどうのように交錯していくのだろう?