【半分、青い。】ー秋風編④-

清との喧嘩の夜、律に呼び出された鈴愛。今まで2人の周りで起こった、笑いあり、涙ありの20余年軌跡を見てきた。がこの回を境に、2人が積み上げてきたかけがえのない多くのものが一気に失われていくそんな虚無感に襲われた。

清と喧嘩をしてしまった鈴愛は「恋って怖いね」と呟きます。正人に振られた時はあんなに泣いたのに怖いと思わなかったのに・・・

「それなのになんであの子が律の部屋におると」理不尽なこといってしまう。そんな鈴愛に律はこれが鈴愛に見せる最後の顔だからと笑顔で残酷なことを言い2人の関係を壊していく。この時に鈴愛は律との別れを覚悟したのか、「律がいなくなると地面が無くなるようで立っているのが怖い」と嘆きかけるが「もう遅い」と律は突き放す。
たった2人だけの時間、永野さんと佐藤さんの15分間の至極の2人芝居に自然と涙が溢れました。涼次と鈴愛の別れのシーンが動なら律と鈴愛の別れのシーンは静に感じます。

糸電話、ゾートロープ、鈴愛の晴れ着姿、ともしび、卒業式・・・・思い出を交互に言い合う律と鈴愛。生まれたからほとんどの出来事を共有している2人の思い出は尽きない。
律の時の「この時僕たちは記憶のお手玉をした」のナレーションがより胸を締め付けます。
この時の“記憶のお手玉”という言葉は北川先生でしか出てこない至極の言葉。先生のボキャブラリーはどこまで凄いのだろうか。

「バイバイ律」
「サヨナラ鈴愛」
鈴愛と距離を置くため引っ越す律。

律に背中を見せハードボイルドに決める鈴愛。そして律は鈴愛の短冊を一枚手に取る。
そこには“律がロボットを発明しますように”彼は夢を盗んだ。
それを上方から映し出していたカメラが後の『月が屋根に隠れる』の月ではないかと思わせた。もしかしたら2人は間違った選択をしたのかも。これも“運命の2人”という快い絆に頼り過ぎた彼らにとって必要な回り道なのでしょうか。