海図を眺めていたリュウガ船長がぽんっと手を打った。
リュウガ「喜べ!まみ」
まみ「喜ぶって・・・何をですか?船長が禁酒をしてくれるとか・・・?」
リュウガ「ハッハッハ!相変わらず面白い女だ!空が海になっても、オレが酒をやめることはありえん!」
ソウシ「節酒はお願いしますよ、船長」
ハヤテ「それで、まみが喜ぶって・・・何の話ですか?」
リュウガ「これからシリウス号は・・・ヤマトに向かう!」
まみ「えぇっ!?」
トワ「ヤマトっていったら、まみさんの故郷じゃないですか!よかったですね!」
ナギ「突然どうしたんですか?ヤマトにお宝の噂でも?」
リュウガ「今の航路はヤマトに近い!そうだろう?シン」
シン「はい。2日もあれば着けると思いますが・・・それだけが理由ですか?」
リュウガ「まみ、ヤマトはそろそろ祭りの季節だろう?」
まみ「あ!そう言われれば・・・夏祭りをやってる頃です」
リュウガ「なんでもヤマトの祭りでは、女たちが色とりどりの薄い布を着て歩いてるって噂じゃねぇか。これは行かない理由がないだろう?」
ハヤテ「色とりどりの薄い布って・・・本当なのか?まみ」
まみ「たぶん・・・浴衣のことじゃないかな・・・」
ナギ「ユカタ?」
まみ「はい。ヤマトの女の子はお祭りの時に浴衣を着るんですよ。薄い布かって言われると・・・どうなんだろう?」
首を傾げた私の肩をリュウガ船長が叩く。
リュウガ「細かいことは気にするな!着飾っている女がいれば、それでOKだ!」
ソウシ「よかったね、まみちゃん。故郷のお祭りなら楽しみでしょう?」
まみ「はい!ヤマトにいた頃はお祭りっていっても、酒場のお手伝いばっかりだったから・・・普通にお祭りに行くのはすごく久しぶりです」
ハヤテ「なあ、ヤマトの祭りって美味い物あるのか?」
まみ「お祭りには屋台がたくさん出ますよ。ヤキソバとかお好み焼きとか、わたあめとか・・・」
ハヤテ「どんな食いもんだか分かんねーけど、美味そうだな!」
ナギ「ヤマトの屋台料理か・・・一度食べてみたいと思っていたんだ」
トワ「わたあめって、フワフワの雲みたいなお菓子なんですよね!聞いたことあります。本物が見られるんだぁ」
シン「浮かれるのはヤマトに着いてからにしろ。・・・では、船長。ヤマトに進路をとります」
リュウガ「おう。ヤマト到着が楽しみだな!ハッハッハ!」
(久しぶりのヤマト・・・夏祭りなんて、どれくらいぶりだろう・・・)
こうして、シリウス号はヤマトに向かっていった。
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ヤマトの港はすでにお祭りの飾り付けがされていた。
トワ「わあ・・・あの丸いランタンはチョウチンって言うんですよね。街中に飾ってありますね!」
まみ「お祭りの時は提灯がいっぱい出るんですよ。お囃子も聞こえてきてる・・・」
ハヤテ「お囃子?」
まみ「ヤマトのお祭りの時に奏でられる音楽です」
シン「・・・いい音だな」
リュウガ「お?あれが浴衣ってやつか?ほう・・・なかなか色っぽいじゃねーか」
ナギ「男も同じような服を着てるが、あれも浴衣なのか?」
まみ「はい。男の人の浴衣もあるんですよ。短いパンツと合わせているのは甚平っていいます」
リュウガ「ふむ・・・郷に入っては郷に従えというからな。よし、野郎ども!オレたちも浴衣に着替えるぞ!」
ソウシ「本気ですか?船長」
リュウガ「オレたちのような異国の男が浴衣を着れば、そのギャップに女たちは虜になるに決まっている!」
(確かにみんなが浴衣を着たらカッコよさそう・・・)
リュウガ「まみ!浴衣が買える店に案内しろ!」
まみ「は、はいっ」
浴衣を買うために、私たちはヤマトの反物通りに行くことにした。
呉服屋さんで船長が全員分の浴衣を買ってくれた。
着替えてきたみんなを見て、私は目を丸くする。
(・・・すごく似合ってる)
まみ「皆さん、すごく似合ってます!」
トワ「あ!まみさん」
ハヤテ「まみ」
シン「・・・」
ナギ「・・・」
ソウシ「まみちゃん・・・」
私も浴衣に着替えて出ていくと、みんなの視線が集まった。
まみ「あ、あの・・・?」
無言で見つめられて、私は自分の浴衣を見下ろした。
(久しぶりに着たから、着付け間違っちゃった?合わせは反対じゃないよね?)
リュウガ「ハッハッハ!シリウス海賊団も随分賑やかになったじゃねーか。いっそのこと浴衣海賊にでもなるか?」
まみ「リュウガ船長・・・」
船長は浴衣の上に派手な柄の着物を一枚羽織っていた。
(どっかの若旦那みたい・・・)
リュウガ「ん?オレがカッコ良すぎて見惚れちまったか?」
まみ「はい。ヤマトの道楽息子って感じで・・・」
リュウガ「道楽息子?なんだそりゃ。しっかし、浴衣っつーのは性格がでるもんだなぁ」
ソウシ「ハヤテはさっそく着崩しちゃってるしね」
ハヤテ「歩いてるだけで、はだけてくるんだから仕方ないじゃないっすか」
シン「その点、甚平を選んだトワは正解だったな」
トワ「コレってすごくいいですね!動きやすいし、涼しいし、何枚か買って帰ろうかな」
ナギ「まみ、さっきからあちこちで木に紙や飾りが下げられているのを見るが、アレはなんだ?」
まみ「七夕飾りのことですか?」
笹に飾ってある短冊を指差すとナギさんが頷いた。
まみ「ヤマトにはタナバタっていう習慣があるんですよ。短冊にお願い事を書いて、笹に飾るんです」
シン「そうすれば願いが叶うって話か?・・・話として悪くないな。タナバタのお宝の伝承とかはないのか?」
まみ「そういうのは聞いたことないです。でも、短冊にお宝がほしいって書けば手に入るかも・・・」
シン「そんな夢見がちな海賊でどうする」
シンさんが私のおでこをびしっと叩く。
トワ「僕は短冊にお願い事書きたいです」
ハヤテ「へえ・・・何を願うんだ?」
トワ「そ、それはもちろん、えーと・・・な、ナイショです」
ハヤテ「なに顔真っ赤にしてんだよ。紙に願い事を書いて叶えようなんて、トワもまだまだガキだな」
ソウシ「ん?ハヤテの懐に入ってるのは短冊じゃないの?」
ハヤテ「こ、これはっ・・・鼻紙かなんかだと思って持ってきたんすよ!」
ナギ「何々・・・世界一強い男になりたい?」
ハヤテ「あ、ナギ兄!勝手にとるなよーっ!」
シン「どっちがガキなんだか・・・」
ハヤテ「い、いいだろ別に!」
リュウガ「いいじゃねぇか。女が喜びそうなイベントは大歓迎だ。オレは世界中の美女が手に入りますようにとでも書いとくか!」
ソウシ「まみちゃんは何をお願いするつもりなの?」
まみ「私は・・・シリウス海賊団がこれからも無事に航海を続けられますように・・・かな」
リュウガ「カワイイことを言うじゃねぇか!」
リュウガ船長がガシッと私の肩を抱く。
リュウガ「そんな健気なまみには、オレが特別に褒美をやろうか?」
まみ「お尻をなで回すのがご褒美なら、遠慮しておきます」
後ろに回った船長の手をペシッと叩くと、船長が肩をすくめた。
リュウガ「さて・・・こっから先は自由行動だ。それぞれ楽しんで、船に戻ってこい!」
ハヤテ「船長は女探しですか?」
リュウガ「人聞きの悪い言い方をするんじゃねぇ。祭りの夜に、ご婦人の心と身体に火を灯すだけだ」
トワ「僕は・・・屋台をいっぱい回ってみようかなぁ」
ハヤテ「オレは祭りっつーのに参加してみてーけど・・・そのためには、まずはヤマト探検からか?」
まみ「ナギさんは食材探しで、シンさんはお宝探しですか?」
ナギ「そうだな。ヤマトの食材が買えるのも久しぶりだ。食いしん坊のお前のためにも、調達しておいた方がいいだろう」
まみ「ナギさんのヤマト料理が食べられるかと思うと、なんでもがんばれる気がします!」
シン「フン・・・ナギ、お前はエサで釣る方法しか知らないのか?」
ナギ「釣る材料が何もない奴よりはマシだろう?」
まみ「あ、あの・・・」
火花が散ったようなナギさんとシンさんに慌てていると・・・林の方でガサッという音がした。
まみ「!!」
ハヤテ「どうした?まみ。オバケでも見たような顔して」
まみ「ゆ、幽霊!」
シン「幽霊?どこだ?撃ち殺してやる」
シンさんが銃を抜いた時には、幽霊の姿は消えていた。
ナギ「気のせいじゃないのか?」
まみ「そんなことないです!白い着物をきて、頭に三角の布をつけて・・・アレはヤマトの幽霊です!」
トワ「頭に三角の布って・・・ヤマトの幽霊って面白い格好をしてるんですね」
まみ「私からしたら、すごく怖い格好なんだけど・・・そっか、トワくんたちには怖くないのかな・・・」
ソウシ「ね、まみちゃん。さっき山を変わった着物を着た人が走っていったんだけど、それも幽霊?」
まみ「変わった着物って、どんな着物でしたか?」
ソウシさんの話を聞くと、それは山伏の格好だった。
まみ「たぶん、山伏じゃないかな・・・。山を歩いて修行を積む人たちがいるんですよ」
ソウシ「へえ・・・ヤマトにはいろんな文化があるんだね。私ももっと勉強したいな」
リュウガ「いくら故郷つっても、幽霊だ山伏だといろいろいるみてーだし、まみ、お前は誰かにくっついていけ」
まみ「でも・・・さすがにヤマトのことはよく知ってるから、大丈夫ですよ?」
リュウガ「ばーか。あいつがきたらどうすんだよ」
まみ「あいつ?」
リュウガ「ロイだ、ロイ。どこから湧いて出てくるか分かんねーんだから、警戒しとけ」
(そっか・・・ロイ船長って、なぜか私たちが行く先々に出てくるもんね・・・)
リュウガ「どうするか決めろ、まみ」
船長の言葉に、みんなの視線が私に注がれる。
(誰と一緒に行こうかな・・・)
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