第一章 デアイノカケラ
~桜の花びら~
どこで間違えたんだろう。
どこで歯車が狂ってしまったのだろう。
あの日もしも……
あなたに出会えていなかったら…
今でもはっきりと覚えている。
あの日の空は、
進級を迎える新学期の日にはふさわしくない、どんよりとした曇り空だった。
篠原愛美。
今日からあたしは、中学2年生になる。
今にも雫が落ち始めそうな雨空の下、通いなれた通学路を歩く。
どこからかピンクの花びらが舞い落ちてくる。
綺麗なはずの桜も、灰色のもやがかった風景のなかでは、なんだか儚げだった。
「愛美っ!おはよ」
遠くから足音が聞こえ、
肩を叩かれて、振り返るとそこには見慣れた顔。
「未来っ!おはよう」
神田未来は、中学に入って知り合った友達で、今では俗にいう「親友」という仲だ。
「もとうとう2年生だねー。なんか実感わかない」
風になびいて乱れた髪を整えながら、未来が呟く。
「そうだねー…」
進級する、ということに対して決して嬉しさを感じないわけではない。
上下関係だって少しは緩くなるし、少しは大人になったという実感も湧く。
ただ、入学当初のときはすべてが「初めて」でなにかもが新鮮だった。
進級間近になればすべてが「慣れ」へと変化しつつあり、ただただ同じような一日を過ごすばかり。
更に一年後に控えた受験の壁が、少なからず視界にちらつくようになる。
評価も受験に関わるので今までのように適当に試験を受けるわけにはいかないのだ。
