こんばんは。
残暑厳しい中、皆様いかがお過ごしでしょうか。
私はつい先日、迂闊にも短パンでバス釣りに行き
足をブヨに数ヶ所刺され、いつまでも消えない痛痒さに参っております。
それにしても今年はいつになく残暑が厳しいですね。
連日の熱帯夜に我が家のエアコンもお疲れのようです。
休息が必要なのは人も機械も一緒ですね。
さてさて、今日のブログは
993のエンジンオーバーホールの続きをご紹介しようと思います。
前回の分解と測定までのところで折り返し地点といった感じでしょうか。
今回からは組みつけに入ります。
まずはクランクシャフトから。
きれいになったコンロッドと新品のコンロッドメタルを
クランクシャフトに組みつけて行きます。
言うまでもないかもしれませんが
組み付け時のトルク管理は非常に重要です。
エンジン廻りなどは特にそうですが
ほとんどのボルトやナットに規定トルクが定められており
決まった力で締め付けて行かなければなりません。
場所によっては締め付ける順番なども細かく定められていますが
締め付ける順番がもともと決まっていない部分でも
その場所の構造や使用するガスケットの特性などを踏まえ
順序を決めて締め付けて行く部分もあります。
この辺は経験に裏打ちされた匠の技と言ったところでしょうか。
そしてクランクシャフトが一通り組み終わると
今度はクランクケースに載せて行きます。
見違えるほどきれいになったクランクケースです。
手前左側にはドライサンプならではの
いかついオイルポンプが鎮座していますね。
右端のギヤからストレーナーの上を通って
オイルポンプへと繋がっているシャフトが
インターミディシャフトと言われている部分です。
この名前は聞いたことがある方も多いと思います。
ストレーナーからスカベンジポンプにより汲み上げられたオイルは
油温が高い時はサーモスタットを通りオイルクーラーを経てタンクへ
油温が低い時はそのままオイルタンクへと送られます。
そこから再びプレッシャーポンプにより各油圧系統へと圧送されていきます。
これがこのエンジンのオイルの流れですね。
ちょっと話がそれましたが
いよいよクランクシャフトのドッキングです。
空っぽのクランクケースに命が吹き込まれていきます。
この重量物が毎分何千回転というスピードで回転する訳ですから
冷静に考えるとものすごいことですよね。
いつ見てもエンジンの構造ってほんとによくできています。
もちろん組み付けの際はそれだけ高い精度が要求される部分でもあります。
並行してヘッド廻りの作業も進めて行きます。
何をしているところかと言うと
バルブのすり合わせをしているところです。
バルブシートとバルブのあたりを出す作業です。
この作業を行うことによって燃焼室の気密性を確保します。
ほんの少しの圧縮漏れでも各気筒のバランスは崩れてしまうので
とても重要な作業と言えます。
ポイントは「バルブコンパウンド少なめでリズミカルに」です。
って普通の人はやることないですよね(笑)
こんな感じでどんどんと組み上げて行きます。
エンジンは車の心臓部ですからどの作業にも高い精度が要求されます。
併せて、目に見えないホコリなどの噛み込みを極力防ぐ為にも
作業スピードも重要です。
やはりこういった作業は、豊富な経験と確かな技術が物を言いますね。
という訳で今日はこの辺で。
それではまた次回。
byサービスフロント鈴木