『ブルーバード』終演から一週間ちょっと…
ご来場頂いたお客様
楽曲提供してくださった大友マサノリ様
作・演出の田島さん
PAの山本さん
共演者の皆様
そして関わってくださった皆様
本当にありがとうございました!
たくさんの差し入れも、嬉しかったです(*´ω`*)
今回、新作に出演させて頂けると決まったのは、前回の『カスタマイズ』の終演後でした。
本当に有り難くて、しかも『解体OK』という大好きな作品でも楽曲提供してくださった大友マサノリさんの曲で新作を書かれると…
本当は今年はもう出演するつもりがなかったんですが(11月には四妖のイベントも控えてましたし…)
即決でした。
結果として、即決して、出ると決めて良かったと思える作品になりました!
ずっと、いつか共演してみたいと思っていた方や、違う班でしか一緒したことがなかった方。
また共演したいね。と言っていた方とご一緒出来て、本当に楽しかったんです!
『ブルーバード』は各々が自分の幸せを模索していた話でした。
「不倫」「お金」「小さな楽しみ」「愛情」
色々と絡み合う中で、お客様の中にどれが、何が響いたのかは分かりません。
けど、今って幸せなのかな?と思っていたり
自分さえ我慢すれば上手く行く。や、きっと自分が悪いんだ。と思っている方に
自分にとっての幸せってなんだろう?
そう考えるキッカケになっていたら嬉しいです。
酒井について、ちょっと……いやかなり?想い入れがあるので書きます。
酒井は、可哀想な子ではありませんでした。
私にとっては。
私がこの子を「可哀想」という枠組みに入れてしまったらいけないと思ったんです。
物語上にも書かれましたが「家族、友人、恋人」全てに裏切られた彼女は傍目から見たら可哀想かもしれません。
私自身、家族に裏切られたことはないですが…
家族が下の妹や弟ばかり可愛がって自分には興味がないんだ。とか反抗期の頃は思いました。
事実、私は自分でなんでも決めて行動するし、心配症だから忘れ物も少なく下の子よりも手がかからなかったのはあるでしょう。
人間関係において、私はバカ正直で情に脆く、それを利用されたこともありました。
面倒な事は頼めば引き受けてくれる。という小さな利用から、お金の問題まで幅広く(笑)
けど、私は幸いな事にちゃんと言い返すことも出来れば、それなりの対応が出来る知識もあり
「いい加減にして」と怒ることも
踏み倒そうとした時に書類を作る事も出来ました。
酒井も、きっとそういう強さはあったんだと思います。そして、同じようにお人好しで自己犠牲が強くて、真面目で自己評価が低かったのかな、と……
私も家族に裏切られていたら、酒井のように信じられるものはお金だけだと思ってたかもしれません。
それくらい、根本が近い役でした。
だからこそ可哀想だと思いたくも、思われたくもなかった。
酒井は自分の脚で歩く為に「お金」を信じた。
「お金」さえあれば「幸せ」になれると信じた。
方法は間違っていたし、根本的な解決にはならないけれど、それが彼女なりの強さだったんだと私は思っています。
チルとミルとの関係性は、酒井にとって自己投影に近いのかなと思ってます。
たまたまTwitterで募っただけだけれど、自分と似た境遇のふたりだから一緒のアパートに住んだり、面倒を見ていたのだと思います。
そこは彼女のお人好しとか、お姉さんらしさが出てるなぁと。
たぶんね、楽しかったんです。酒井も。
「ただいま」に、「お帰りなさい」って返ってくるのも、その逆も。
それが「幸せ」なんだと気付けなかったけれど。
方法を知らないから「青い鳥を捕まえる」という方法でしかコミュニケーションは取れないけれど。
しっかり者のミルと、障害を抱えてるチル。
ひとりっ子(私の設定)の酒井にとって妹みたいな感じで。
でも妹なんていた事のない彼女の間違った可愛がり方はお人形遊びのような、動物を可愛がるような……そういう可愛がり方にチルのフラストレーションや障害によってバカにされて来たことのストレスが溜まっていけばなぁと思いました。
照明が当たってない中の小芝居なのでほぼ見えてないと思いますが(笑)
チルにナイフを向けられ、「許せない」って言われた時。
ミルに「こんなやつ、刺す価値ないよ」って言われた時。
ショックを受けました。自分なりに可愛がっていたのになんで。と。
酒井として動揺したけど「モーリス、ね」の時にはもう諦めてました。
やっぱり他人と分かり合うことは出来ないんだと。だからこそ酒井の甘さを捨てるための「モーリス」だったのではないかな。と。
けど、やっぱりふたりにナイフを向ける時は躊躇しました。
「幸せ」を得るための手段は選ばないけれど、ふたりを傷付けるのは躊躇ってしまった。
それが酒井の甘さだし、弱さなんだと。
最後の最後、ミルの腕を解いて肩に手を置いたのとチルの頭を荒々しいけど撫でたのも理由があったりします。
素直にミルの優しさを受け入れてしまうほど、酒井は素直じゃないし
そうしてしまったら、きっと酒井は立ち上がれなくなる気がしたんです。
自分の脚で歩いてきた人間は簡単に人に頼れないし、甘えきれない。それは自分の経験からですけども…。
だから、自分からミルに触れる必要があった。
そしてチルの頭に触れたのは謝罪の意味もありました。
けど、ナイフを向けられた以上、素直に謝れないし、確執は残ると思っていて。
躊躇して、どう接すれば良いか分からなくて。
酒井が出来るのはそれでした。
あの三人だから、馴れ合いになったら違うのかなと。
確かに三人仲良く。というのはハッピーエンドが見えて素敵だと思いますが
それこそ傷の舐め合いになってしまうのは彼女たちが自分の力で生きてきたことを否定してしまうし、現実はそんなに甘くない。
人から騙されたり裏切られたりって、そこそこの人が経験あると思うんです。
そういう人って、他人に協力を仰いだりしても、依存したり頼り切ったりって事をしないと思っていて。自分の脚で歩き続けようとするよな。と。
その強さは失いたくなかった。空寒い仲良しこよしにしたくなかった。
そんな捻くれ方が私の酒井には出ていたと思います。
メルヘンでいることも理由があって。
あれは酒井の趣味なんですが。
本性はああじゃないですか。
自己評価が低いからこそ、着飾ることで自己評価を上げようとしていたんです。
ファッションもある意味彼女にとっての武器で、鎧だったんです。
本当は誰よりも現実的で、理想を求めてるけど冷めていて。「どうせ」「仕方ない」そういう諦め癖っていうのもあったのかな、と。
屋上では確かに「アホ」を演じてはいたけれど、せっかくのチャンスでもあるので鳥を探すふりをして逃走ルートの確認や自分のアパートの位置を確認したりと小賢しい事をしたりしてました。
あの出っ張りの下をよく見ていたのはそういう意図があったりします。下には木が植わってる設定です。いざという時にはそこを足場に逃げるつもりでした。絶対に分からないけれど(笑)
そんな酒井。私は大好きな子でした。
そしてこのメンバーで新作の第一公演目を打てたこと、幸せに思います。
本当に最初の公演後に楽屋に戻った際、田島さんを筆頭に拍手で迎えて頂けたことはきっと忘れられません。
今年の公演は『ブルーバード』でおしまい。
本当に大好きな作品で2018年を締めくくれた事、幸せに思います!