皆さんは世界中にどの位の数の言語があると思いますか?答えは約3,000~8,000ともいわれています。中国語(とはいっても方言がたくさんありますが…。)のように、約13億人に使われている言語もあれば、いわゆる「絶滅危惧種」のように、たった一人しか使うことができない言語も数多くあるのです。
日本語は約1億2700万人によって使われています。これは世界の言語の中でもトップ10に入る位話者人口としては多い言語です。
そして日本語は、世界の言語の中でも最も難しい言語であると言われています。
前回私は「日本語教師養成講座420時間」を担当していると書きましたが、受講者の皆さんはもちろん皆さん日本語を話すことができます。しかし、これを外国人に教えるとなると事情は変わってきます。例えば英語が話せるからといって、英語を教えられるとは限らないのと同じです。特に日本の英語教育はいわゆる「間接法」といって、基本的に「日本語」で「英語」を教える場合が多いのですが、留学生に日本語を教える場合は「直接法」といって、「日本語」で「日本語」を教える方法を取ります。
ですから、まだ何も日本語のことを知らない留学生(これを業界用語では「ゼロ初級」と言います。)に対して、限られた語彙しか使わずに「日本語」で教えていくのです。
まず最初に留学生がつまずくのは何だと思いますか?(ひらがなとカタカナは既習とします。)
それは、数の数え方なのです。日本語の数字の読み方は複数通りあり、それを覚えるのが大変なのです。
例えば、「いち・に・さん・し・ご・ろく・しち・はち・きゅう・じゅう」という系列と「ひ・ふ・み・よ・いつ・む・なな・や・この・とお」がその使う場面によって複雑に入り組んでいます。「四月四日」などが良い例です。それに加えて日にちの読み方も特殊です。
「一日(ついたち)」に始まり「二日」は「ふつか」ですし、「三日・四日」は「みっか・よっか」と促音が入ります。「六日」は「むいか」と「い」が入るし、「七日」は「なのか」というように「の」が入ります。「八日」に限っては「はち」でも「や」でもありません。さらに「九日」なんて留学生にとっては至難の業です。「二十日」に至っては難読の最たるものです。(「二十歳」も「はたち」とは素直には読めませんね!!)
その上「四・九」には「し・よん」、「きゅう・く」という読み方があり、日本語の数字を留学生が覚えるのには、少なくとも一カ月はかかるのです。
次回からは、留学生の苦労と日本語の奥深さを少しずつ紹介していきますので、皆さんも一緒に考えてみてください。
きっと日本語に対して「目から鱗」のことが多いと思います。(ちなみに「目から鱗が落ちる」と覚えている方もいらっしゃると思いますが、正しくは「目から鱗」だけで十分です。「が落ちる」をつけると、それこそ「蛇足」です。)