昨夜の鶴瓶落語会の演目【長短】の内容とそのほかの演目の説明です。
長めになりますが、良かったらおつき合いのほどを~m(_ _)m


【長短】笑福亭鶴瓶

おっとりのんびり屋の妻と、せっかちで短気な夫の噺。

ある日、仕事を終え帰宅した夫。玄関先から「ただいま帰ったよ」と告げるも、居るはずの妻から返答がない。
短気な夫はまくし立てるように何度も何度も「帰ったよ」と叫ぶ。

ようやく玄関に迎えにきた妻は、のんびりとした口調で「おかえりなさい~」と一言。

妻の態度に腹が立つ夫は、「百ペンも呼んだのに、なんですぐ出てこないんだ!」と怒り始める。
しかし妻は、「百ペンも呼んでやしないじゃありませんか~ 5回くらい…」と相も変わらずな口調で話すも、すかさずせっかちな夫は、「そんなのはどーでもええ! なんですぐに出迎えにこなかったんか。」と。

すると妻はニッコリ微笑みながら昨晩の献立を話し始めた。

「あなたが夕べ、サワラの西京漬けをおいしいおいしいと食べていたので、まだサワラも半身残ってましたから今晩もサワラにしようかと煮付けを作りまして… 味見のつもりで一口、二口と食べてましたら、いつの間にか全部食べてしまいました~」
と、驚くほどのスローテンポ。

イライラしながらも、「それでどうしたんだ!」と問う夫に再びニッコリと微笑みながら、

「急いで魚屋さんにサワラを買いに行ったところ、サワラが売り切れで… 店主に尋ねましたら、早ように売り切れてしまったと。あらこれは困ったと考えていたら、店主がブリのいいのが入ってるからブリの照り焼きなんぞいかがでしょうと言われて、20分くらい考えて、ブリを買ってきました~」

えらい長さの説明に夫はガマン度数がほぼピーク!今にも爆発しそうな勢い。
「いちいちそんな説明はいらん。」とブツブツと一人、文句をつぶやく。
しかしそんな様子をまったく気づかない妻は、
「ゆうげにしますか?それともお風呂にしますか~?」

それならばと夫は「夕飯を食べる。」と告げると、なんと妻から、「まだ出来てませんねん~」とニッコリ返され、怒り心頭な夫は、風呂に行くことにする。
「風呂に行くから、あれを用意しろ!」と妻に問いかける。
のんびり屋の妻はいたってマイペースに、「あれってなんでしょうか~?」と夫に尋ねる始末。
「風呂に行くって言って、あれと言ったらあれだ!」と、もう夫は何がなんだかわからなくなってきた様子。
結局あれとは、風呂桶のことだったらしく、妻から手渡された桶を片手に風呂屋へ向かった夫。

イライラしながら風呂屋へ向かう道を歩いていると、同じ長屋に住む男が声をかけてきた。
イライラしている理由を説明し、自分と妻では性格が正反対で全く合わないから別れようかと思う。と、男に話す夫。
それくらいで別れるのはおかしいよと、ならばイライラしたら数をゆっくり数えればその間にイライラした気持ちも治まるはずだ、と進言される。

それもそうだと気持ちを改め、イライラしたら、教わった通りに…
「ひとーつ、ふたーつ、みーっつ、よーっつ、いつーつ。かわいい、かわいい。」と唱えることにした。

結局、風呂屋へ行かずに家へと戻った夫。
「風呂屋へ行かれたんじゃないんですか~?」とのんびりと出迎える妻。

「風呂はやめた!飯にする!」と夫が言うと、再びおっとりのんびり屋の妻が、「まだ出来てまへんねん~」とニッコリ。
イラッとした夫だが、いかんいかんと数をゆっくり数えることに…

「ひとーつ、ふたーつ、みーっつ、よーっつ、いつーつ。かわいい、かわいい…」

一息入れ、落ち着いた夫は、「風呂屋へはいかなかったが、だいぶ時間はたっているだろう。なんで出来ていないんだ?」と妻に問う。
すると妻は、「おひつを開けたら、空っぽでして、あら、どないしましょう… 炊こうか炊くまいか?と考えていたら、こんな時間になってしまいました~」と。

「なんですぐに炊こうとしない!」と怒ろうとしたが、慌てず再び数を数えて落ち着いてから…と数え始めた夫。

そんな不思議な様子に妻は、「なんで数を数えているのか?」と夫に尋ねた。
夫はさっき長屋の男から教えられた話をし、妻に対してずっとイラついていたことを告げた。
だが妻は夫がイラついてとはつゆ知らず、今にして初めて気づいたと驚く。
しかし妻自身もおっとりした性格の自分とせっかちな夫との違いは気にしていたようで、同じ長屋のおかみさんに話したところ、「今度、夫がせっかちになってきたなとわかったら、ゆっくり百まで数を数えなさい。」と、言われたそうな。
そのおかみさんは、あの夫に数を数えろと進言した男の嫁だったのです。

長屋のとある夫婦に、似たようで似ていないような、なんともまあ真逆なアドバイスを受けた二人。
ただでなくてものんびり屋の妻なのに自分がイライラしたら、百数えて様子を見るなどと途方もないことを言った…と唖然とする夫。
そんなことは知ってか知らぬか、ケロッとしてる妻との相対する性格、「長」である気長な妻と、「短」である短気な夫の二人の様子の噺でございました。

おしまい。


実際に【長短】は夫婦の設定ではなく、友達同士の噺を鶴瓶流に夫婦にしたそうです。
若干間違いもあるかとは思いますが、聞いて覚えていた内容です。

妻が百数えるんだと言った、最後の落ちについて、まだまだ質を上げたい。もっと勉強会をして作っていくと仰ってました。

また別の機会に聞くことができるかもしれません。その時が楽しみです。

もう一席の【一人酒盛り】、こちらも面白かったですよ。
鶴瓶師匠の師匠である、六代目・笑福亭松鶴師匠のお得意のひとつだったそうで、噺の中に出てくる酒好きの主人公に松鶴師匠が似ているとか(笑)
酔うと何言っているかわからんし、意味不明な理不尽なことをしてくると笑いながら話されてました。
その大師匠、松鶴師匠の一席はYouTubeにあがってます。良かったらお聞きくださいませ。(削除されてましたらスミマセン。)
★【一人酒盛り 1】 笑福亭松鶴
http://www.youtube.com/watch?v=W1EQaF44STY&sns=em
★【一人酒盛り 2】 笑福亭松鶴
http://www.youtube.com/watch?v=8GZSeuz91zo&sns=em


【錦木検校】は実際にいらっしゃった江戸時代の大名と按摩・錦木の人情噺。

この噺を十八番としている柳家喬太郎師匠の落語会で一席聞き、大変気に入り、喬太郎師匠にお願いをして、やることができたそうです。

もう何席か聞いているので、内容は全てわかっていながらも感動する人情の噺。
こちらはニコニコ動画にありましたので、よろしければ。(こちらも削除されてましたらスミマセン。)
★【錦木検校】 柳家喬太郎
http://www.nicozon.net/watch/sm17915653

鶴瓶師匠バージョンはぜひ生で…

お弟子さんの瓶二さんの一席、【看板のピン】は、たくさんの噺家さんがやっておられますよ。YouTubeで見られます。
今回は柳家小三治師匠の一席を…
(動画ばかりでスミマセン!削除されてましたらゴメンナサイ。)
★【看板のピン】 柳家小三治
http://www.youtube.com/watch?v=jMwzL_DgKTU

テレビではなぜか見られない(笑) 噺家、落語家としての鶴瓶師匠。
機会がありましたら、落語も良いものですよ~
来月の独演会も楽しみ、楽しみ(≧▽≦)

長々のおつき合い、ありがとうございました!m(_ _)m