昨日のフジテレビの会見、皆さんもご覧になれたかと思います。

社長、会長の辞任以外は特に変わった点もなく、これでCMスポンサーが戻ってくるとは思えないです。


中居さんとXさんの間に実際に起こったことについては、示談の中の守秘義務条項があるので解明できなくて当然ですし、そこを知りたがるのは単なる下世話な話です。


今回、フジテレビがこのような状態に陥ったのは、性加害事件そのものというより(勿論、とんでもないことであるのは言うまでもありません)、こういう事象を招いたフジテレビの(女子アナを接待要員として利用する)企業風土、そして事象を認識したあとの会社としての対応に原因があることは明らかですよね。


今回の会見で、そこに対するスポンサーの不信が払拭できたとは到底思えません。

会見がオープンになったこと、日弁連の規定に基づく第三者委員会の設置などの前進はありましたが、肝心の質疑応答については、相変わらず「被害者の心情に配慮して」の回答が多かったように感じました。


一方、質問していた方々も、感情的になる方、的を得ない質問をされる方、逃げ道のある質問をしてしまう方等、「もっと頭の中を整理してから質問するべきだなぁ」と感じてしまう場面もありました。


皆さんが知りたかったことは、今回の会見でどのくらいわかりましたか?

私が知りたかった以下の点については、結局わからず仕舞いでした。


1.今回の事象が社内で発覚してから、どういう経路で港社長まで報告が上がったのか(時系列も含めて)。

特に、A氏の関与に関しては、最初から港社長に伝わっていたのか。


少なくとも、Xさんが上司である佐々木アナに話した時点では、A氏関与のことは伝わっています。

だからこそ、佐々木アナはXさんに「Aさんには話していない」旨の発言をしています。

一方、港社長は、先日の会見では、事象を知ったのは23年6月、本日の会見でA氏の関与の話があるのを知ったのが23年8月ということですから、そこには2カ月のタイムラグがあります。

となれば、港社長に話しが伝わるまでのどこかの時点で誰かがそのことを隠蔽したことになります。

佐々木アナの時点で隠蔽したのであれば、その理由は「編成幹部に不利益なことが伝わるとキャスティングしてもらえなくなる」というフジテレビの悪しき慣習がはっきりします。

また、それより上層部で隠蔽されたのであれば、その理由をはっきりさせることが類似事象の再発防止に役立つのではないのでしょうか。

また、港社長はどうして2カ月後にA氏の関与を知るに至ったのか。


2.Aさんの関与について


これについては、港社長から「AさんのLINEやメールの履歴を確認して関与はないと判断した」旨の発言がありましたが、いつ、誰が確認したのでしょうか。

皆さんもご存知の通り、履歴などいくらでも削除できますよね。

たとえAさんの履歴が削除されていても、Xさんの履歴には残っているはずです。

Xさんの履歴は確認したのでしょうか。

真摯に真相解明に取り組んでいる姿勢が伝われば、Xさんも協力してくれたはずです。

そもそも、片方だけからの聴取で終わらせたのであれば、それは調査とは言わないですし、本気で真相を解明しようとしていたとは思えませんよね。


もしXさんの履歴からもAさんが関与した証拠がなく、実際にAさんが無関係だとしたら、何故XさんはAさんが関与している旨を話したのでしょうか。

Xさんがそう誤認する何らかの理由があったはずです。

例えば、中居さんがAさんの名前を使って彼女を呼び出したとか(個人的にはこの線は充分あり得ると思います)。

この場合は当事者間の問題であり、守秘義務の観点から話せない可能性があります。

もしフジテレビが「両者の履歴からは証拠は出なかったが、Xさんが誤認するに相当の理由はあった。但し、示談の内容から申し上げることはできない。」と発言すれば、フジテレビ側としては疑念を一つ払拭できたのになぁ、と思います。


3.「Xさんの心身のケアを第一に考えた」旨の発言について


この発言が白々しく聞こえた人はかなり多いのではないかと思います。

この言葉を隠れ蓑にして何もせず、隠蔽しようとしたのではないか。

スポンサーの企業の皆さんも、そう感じたからこそCM

差し替えに踏み切ったのではないかと思います。


もし本気で彼女の心身のケアを考えたというのであれば、具体的に会社としてどのように彼女の心身をケアしてきたかを(彼女の了承を取り付けてでも)しっかりと発言すべきですよね。

これはフジテレビとXさんの間の話なので、守秘義務条項には抵触しないのではないかと思います。

フジテレビがしっかりと彼女の心身をケアしていたことがわかれば、スポンサーさんもその点については納得するはずです。

それが言えないということ。

客観的に見て何もしていないと思われてしまうこと。

このことが今のフジテレビの窮状を招いているという認識はあるのでしょうか。


本当にXさんの心情を慮ったのだとしたら、一体誰がどのように、どの程度彼女と接触し、彼女と話をして、彼女の心情を理解しようとしていたのか、彼女に寄り添っていたのか。

恐らくですが、誰も何もしなかった。

できなかったのではなく、しなかったのだと思います。

まるでタブーとして、腫れ物に触るように…。


港社長か自ら発言したように、これはコンプライアンス委員会にも通報しなかった、いわば「社長マター」です。

何もしなかったのが社長自身であることは明白ですよね。

Xさんが退職の挨拶に行った際、謝罪の一言も言わなかったのも港社長です。

誰も彼女の辛さ、悲しみに真摯に向き合い寄り添ってあげなかったから、彼女は最後に「フジテレビになんか入らなければよかった」と言ったのだと思います。


「彼女の心身のケア云々」は後付けの言い訳と考えるのは至極妥当なことに感じます。


先に述べたように、彼女をケアしなかったのは港社長。引責辞任をするのですから、余計な言い訳などせず、「話が自分にまで上がってきたが、コンプライアンス委員会に通報しなかった時点で、本件の責任者は自分。にもかかわらず結果的に何もしなかったことの責任はすべて自分にある」とどうして言えなかったのか不思議です。

会社を救いたいから辞任するんでしょ?

今さら「至らない部分があったかも」なんて取り繕うことに何の意味があるのかわかりません。

また、港社長がそのような発言をしかねないことが予想できていたにも拘わらず、それを許してしまった総務部、広報部、関係各所の甘さも大きな問題でしょう。


今回の会見の本質的な目的は、

スポンサーからの信頼回復だったはずです。

であれば、

信頼を失った原因をしっかり分析して、悪い部分は責任の所在を明らかにして、スポンサーの理解が得られるよう企業として適切な対応をしていくことを具体的に述べるべきだったと思います。


今回の会見を見た私の感想は

「今のフジテレビは最早まともな企業の体をなしていない」ということ。

コンプライアンス意識は欠如、リスク管理能力はなし、論理的かつ的確な判断をすることができない、等。


かつて、まだフジテレビが曙橋にあった頃、「民放の雄」として勢いがあった時代に出入りしていた私としては寂しい限りです。