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The Soldier は存在感がデカすぎる

The Queen and The Soldier は異常な曲名であると書いてからずいぶんな寄り道をしました。

ここまでソルジャー(兵士)について分かったことをまとめると次のとおりです。


1.軍隊組織の一員である。
2.上官の命令に従って動く組織人である。
3.集団の中の一人である。
4.国家(あるいは王、あるいは女王)に仕える。


さらに「AとB」というタイトルの原則は


1.AとBには対比が必要
2.AとBは両方ともエネルギー量は同じでなければならない(方向性は違っていてもいい)
3.AとBというタイトルは基本的に大げさ
(「赤と黒」「罪と罰」「戦争と平和」など)


これらから考えると、ソルジャー(兵士)という単語は、クイーン(女王)という単語とThe Queen and The Soldier (AとB)というように並べるのは不適切な単語であるように思えます。


兵士というのは下っ端ですから、それが唯一無二の女王Queenと等位で並列するなんて、この兵士、どれだけ偉いのかということになります。


そして、この異常な並列をもって、この兵士を「特別な存在」として印象づけることこそ、スザンヌヴェガの狙いだったのだろうと思います。


なお、QueenとSoldierから成る文節を、いくつかGoogleから拾ってみました。




1.Soldiers of the queen (女王陛下の兵士たち)

SoldierとQueenの関係はこれが一番しっくり来ます。Soldierが複数形になっていて、Theもついていないところがミソ。TheはOne and only (唯一無二)をほのめかす定冠詞ですが、兵士というのは基本的に匿名の集団であり、Theはあまり似合わず、冠詞無しの複数形がいちばんしっくり来ます。ちなみにQueenは、一国にone and onlyなので、Theが非常に似合う名詞です。英語(イギリス語)では、ほとんどの場合The queenは英国女王を指します。


では、QueenとSoldierの取り合わせの実例をいろいろ見ていきましょう。


以下、Soldiers of the queen というタイトルがついている画像です。







2.The queen with soldier という画像もあります。

女王と兵士が一緒に映っていますが、The queen and the soldier という表題にはなりません。soldier にtheをつけることもありません。あくまで主役は女王。だからThe queen (with soldier)です。








3.こちらはThe queen and soldiersというタイトルで見つけた画像です。


soldier(兵士)は、複数形で束になってやってと女王という単語とA and B という並列表記が許されるのです。「白雪姫と11人の小人」も同じ構造のタイトルだと思います。小人は11人いて、はじめて白雪姫と同格になれます。「白雪姫と小人」ではバランスが悪いでしょう。




4.A soldier of the queen という名前の本があります。

これはイギリスがアイルランドで行った暴虐を、一人の兵士の視点から見たドキュメンタリーという内容です。Aという不定冠詞により、「何千何万人もいるイギリス兵の一人」という意味が表され、これにより「俺は、人格のないただの組織の一員」というニュアンスが生まれます。その無人格な兵士が、命令によりアイルランドで何をしたかが書かれているというかんじです。表紙の写真もそんなかんじです。


なお同書は表紙での表記は、アマゾンではA Soldier of the Queenですが、表紙にはSoldier of the Queenとなっており、Aが書いてありません。この辺、よくわからないのですが、表紙の表題にはAを載せないという慣例でもあるのでしょうか。


ちなみに、作者のBernard O'Mahoneyは、名字にO'が着いているところを見るとアイルランド系の人のようです。

http://www.amazon.com/Soldier-Queen-Bernard-Mahoney/dp/0863222781  






5.唯一Queen and Soldier というタイトルで見つけた画像がこれです。

兵士が一人倒れています。これぐらい特殊なことをしないとQueen と単数のSoldier はand で結ばれません。







これらの用例を見ても、The Queen and The Soldierが異常なタイトルだというのがお分かりいただけると思います。The Queen and The Soldierでは、Soldierの存在感が大きすぎるのです。






ソルジャークイーン(兵士女王)とウオリアークイーン(戦士女王)の違い

ソルジャークイーン(兵士女王)とウオリアークイーン(戦士女王)の違いについて、もう少し寄り道したいと思います。



写真で見るのが早い。こちら、Soldier Queenで検索して見つけた写真です。


(兵隊姿のエリザベス女王)




(こちらは1918年のルーマニア女王です)



このように、ソルジャーは兵服(制服)を着ますが、ウオリアーは勇猛な服装です。次のとおり。



兵士(Soldier) と 戦士(Warrior)

Soldier(兵士)と似て非なる言葉にWarrior(戦士)があります。


Soldierは軍隊という組織に属しています。上官の命令に従って集団で戦います。一方、もっと雄々しく神話の主人公のように勇猛に戦う人は、Warrior、ウオリアー(戦士)といいます。


これは絵で見る方が早いでしょう。


こちらがWarriorです。


強そうですね。

勇ましそうです。


荒野のウォリアー




さて、こちらがSoldierです。





ローマ兵士はWarrior並に勇猛なのでしょうが、軍隊組織を成している以上、やはりSoldierです。



サムライはどうなんでしょうか。サムライの語源は「候ふ(さぶらふ=殿につかえる)」ですし、軍隊の一員はSoldierですから、その意味では、Samurai Soldierが適切に思えます。しかし、英米人から見れば、鎧兜を身につけ日本刀を振り回すサムライは、やはりWarriorに見えるようです。Googleでは、Samurai Warriorの方がSamurai Soldierより多くヒットします。




ちなみに兵隊アリには、Soldier ant とWarrior ant の二通りの言い方があります。軍隊のように集団で活動する面に注目した場合はSoldierと表現され、鋭い顎で敵を容赦なく食い破る恐ろしい戦いぶりに注目した場合は、Warriorとなるのだと思います。


ちなみに「錫の兵隊」はTin Soldierです。


大きくは、Soldierは組織の一員であり、Warriorは誇り高き単独の戦士です。

「無名兵士の墓」の「無名兵士」は、アメリカ英語ではUnknown Soldierですが、イギリス英語ではUnknown Warriorです。おそらく死んだ後も、Soldierのような組織の一員と見なす言語を使うのは失礼、彼らは祖国のために戦ったWarrior(戦士)であるという感覚ではないかと思います。



The Tomb of the Unknown Warrior(無名戦士の墓)



Soldierとは、組織の一員。下っ端感の漂う言葉です。The Queen and The Soldierのように、Queen(女王)のような立派な人とは並列しにくい言葉に思えます。


(つづく)








兵士という単語について

The Queen and The Soldier
The Queen and The Soldier
The Queen and The Soldier


女王と兵士、女王と兵士、女王と兵士、


兵士というのは、AとBという形で女王と並べて良い言葉なのでしょうか。原則論で考えると答はNO、普通は一緒に並べない言葉だと思います。そのことを今からあれこれ考えていきます。


まず兵士Soldierの意味を調べてみます。

Soldierは、研究者英和中辞典には、
A member of an army, of any rankと出ています。
http://ejje.weblio.jp/content/soldier
「軍隊の一員」ですから、つまりSoldierは組織人であるわけですね。

一般には陸軍軍人を指すようです。海軍の軍人はSailorです。

of any rank (階級は問わない)とあるので、兵士から将校まですべてを含む言葉であるようです。


「ナポレオンは、政治家としても軍人としても優秀であった」の軍人はsoldierと書きます。


語源は、[古期フランス語「賃金をもらって戦うもの」の意]とのこと。非常に「雇われ色」の強い定義です。


ちなみに、soldier of fortuneとは「傭兵」のことです。

(つづく)

AとBというタイトル形式の原則(2)

今、本屋に行って気づきましたが、「AとB」というタイトルの本は、「罪と罰(ドストエフスキー)」「赤と黒(スタンダール)」「戦争と平和(トルストイ)」「知と愛(ヘッセ)」など、いずれも分厚い長編小説です。基本的には昔の作品で使われるタイトル形式のようで、現代文学のコーナーには「AとB」というタイトルの本はありませんでした。


「AとB」というタイトルは、哲学書に多いこともわかりました。「存在と時間(ハイデガー)」「時間と自由(ベルグソン)」「全体性と無限(レヴィナス)」「存在と無(サルトル)」唯一者とその所有(シュティルナー)」など。

ここから分かるのは「AとB」というタイトルは、基本的に大上段で大げさだということです。その大げささに優るだけの内容がなければならない。


日本文学では「AとB」のような大げさなタイトルはあまり見かけません。今、思い浮かぶのは「出家とその弟子(倉田百三)」だけです。むかし、このタイトルを見かけたとき、「坊主と弟子の話なのに、えらい大げさなタイトルだな」と違和感を覚えました。AとBという形式の大仰さに中身がついていっていない例だといえます。

文庫本の棚を眺めていると「絹と明察(三島由紀夫)」という本がありました。これなんかは取り合わせの妙というかんじがします。


ところで「AとB」の形式で一番、人口に膾炙している大げさな言葉は、Love & Peace (愛と平和)だと今、ふと思いました。


女王と騎士か、女王と兵士か

The Queen and The Soldier


女王と兵士、女王と兵士、女王と兵士、


と繰り返し唱えてみます。女王と兵士というのは対比している言葉なのでしょうか。対比しているような、していないような、です。


これが「女王と騎士」とか「女王と戦士」なら対比しているというか、両方のエネルギーが等量である気がします。

実際、The queen and her knight(女王とその騎士)というタイトルのハーレクインロマンス系の小説があります。


The queen and the warrior (女王と戦士)というタイトルは検索しても出てきませんでしたが、Warrior Queenというテレビドラマならあります。戦士(Warrior)というのは、兵士のような軍隊組織の一員とはちがう、もっと独り立ちした、野蛮な荒々しいものであり、その意味では、女王と同じぐらいのエネルギー量を持った言葉であり、ということは女王と戦士というのは対立しうるし、だからこそWarrior Queen というタイトルが生まれるのだと思うのですね。


余談ですが、日本だとリボンの騎士になるところがイギリスではWarrior Queen(戦う女王)になるところが何かやっぱり欧米人の肉食性!という気がしました。


(つづく)

AとBというタイトル形式の原則

The Queen and The Soldier (ある女王と兵士)は、二つの単語をA and Bという形で並べたタイトルです。

この形式のタイトルは映画や文学作品にも多くあります。ざっと思いつくところでは「罪と罰(ドストエフスキー)」「男と女(映画)」「赤と黒(スタンダール)」「美女と野獣(映画)」「王様と私(映画)」「老人と海(ヘミングウエイ)」「王子と乞食(マークトウェイン)」「戦争と平和(トルストイ)」「巨匠とマルガリータ(ブルガーコフ)」「サムソンとデリラ(オペラ)」「月と篝火(パヴェーゼ)」「天国と地獄(映画)」ちょっと変則的な所では「白雪姫と11人の小人(ディズニー)」などがあります。


「AとB」というタイトルの場合、「AとBには対比する何かを並べる」「AとBはジャンルは違っていてもよいがエネルギー量は等量でなければならない」というのが原則になるでしょう。


まず「AとBには対立する何かを並べる」ですが、たとえば「男と女」「美女と野獣」「戦争と平和」「罪と罰」がそれに当たります。「赤と黒」もこれにあたるでしょう。ここでだいじなのは、AとBの間に対立関係、緊張関係があることです。先に挙げたタイトル群には、「男・女」「美女・野獣」「戦争・平和」「罪・罰」のように二つのモノの間に、緊張関係があります。


これが「美男と美女」「美女と花園」「戦争と災害」「罪と悪人」「赤と緑」とすると対立関係がなくなるので、面白みがありません。「王と王妃」「女王と姫君」「家来と召使い」などでも面白くありません。そこからドラマが始まりません。


次の法則、「AとBはジャンルは違っていてもよいがエネルギー量は等量でなければならない」についてですが、AとBに緊張関係が生まれるにはAとBのどちらかが圧倒的に強いのではなく、両方の強さが同じである必要があります。そうでないと緊張・拮抗関係が生まれない。そういう目で「男と女」「美女と野獣」「戦争と平和」「罪と罰」「赤と黒」を見ると、左の物と右の物が同じぐらいの強い言葉が並んでいることがわかります。


「AとB」というタイトルには「対比・緊張」の他に、「二つが取り合わさって一つの風景を作る」という見せ方もあります。「月と篝火」と言われれば、空に月、地に篝火がある風景が浮かびます。「老人と海」というと、その二つが一つの絵を作ります。この「取り合わせで一つの風景」は日本画に多いですよね。「富士と月見草」「月と猿」など。多くの場合、左に大きい物、右に小さい物、あるいは左に天上の物、右に地上の物を置くことが多いようです。


さて、ここまで「AとB」というタイトルの原則について述べてきました。では、The Queen and The Soldierは、その原則に比べてどうなのでしょうか。


(つづく)

The Queen and The Soldier は異常な曲名

スザンヌヴェガの歌詞は、もはや英文学と思えるほどに、緻密に構成されています。では、The Queen and The Soldierをさっそく分析していくことにしましょう。


まずタイトルThe Queen and The Soldierからしていきなり異様な迫力があります。


結論から言うと、The Queen and The Soldierとは、平凡なようでいて、なかなか異常なタイトルです。


この異常さはどこから来るのかというと、1): QueenとSoldierという、普通なら並べない二つの言葉を並べている、2):Soldierが単数であること、3). SoldierにTheがついていることの三つが理由だと思います。


そのことについて、あれこれ書いていきます。


(つづく)


秘境英単語

オックスフォード・イングリッシュ・ディクショナリー(略称「OED」)、収録語数約29万語、本体20巻、全21730頁を、ぜんぶ完読した、ニューヨークに住む普通の人、アモン・シェイの 「そして、僕はOEDを読んだ」には、へ~、こんな状況を表す一単語があるんだ~、いや~、こんな単語が存在していったい何の役にたつのだろうかと思わせる面白い単語がたくさんあったので、自分の備忘録もかねて、ここに書いてみることにします。


周囲に人家がほとんどない、場合によっては道路すらない、僻地にある駅を「秘境駅」と呼びますが、たとえば「動物の肩から腰にかけての部分で、かこうと思っても手が届かないところ - Acnestis」のような単語、つまり「いったいそんなものを一つの単語で表して、いつ、どんな時に使うというのだ」と疑問を投げかけたくなる単語を、「秘境単語」と呼んでみることにします。


以下、秘境単語には☆印を、また、「意外に便利そうだなあ、この単語」と思えた物には※印を付けることにします。


- 配水管に洗い流されていくもの - Abluvion
☆動物の肩から腰にかけての部分で、かこうと思っても手が届かないところ - Acnestis
※疑いの気配 - Addubitation
ほんの少し陽が傾き始める(動詞) - Advesperate
- 善と悪から成る(形容詞) - Agathokakological
- 両サイドから賄賂を受け取る人 - Ambidexter
- 冬の太陽の暖かさ - Apricity
- 自然に湧いてくる愛情の欠如 - Astorgy
※遊びやスポーツで不利な状況の時に求めるタイム - Barla-fumble
- 宣教師にいらいらさせられること - Bemissionary
- 自分より劣る物に対して暖かい感情を持っている - Benignant
☆地下室が地下室である状態 - Cellarhood
- 虫のにおいがする - Cimicine
- ベッドにおける妻の夫への小言 - Curtain-lecture
※罰として、もしくは冗談でズボンを引きずり下ろす - Debag
- 以前所有していて現在は所有していない物をもう一度所有したいと強く思う気持ち - Desiderium
- 建物を放っておいてだめにしてしまう人 - Dilapidator
- 同情(sympathy)の反対( 反感 antipathyとは違う) - Dyspathy
- ろうそくの明かりで勉強すること - Elucubration
- これまでもっていたのと正反対の考えを受け入れること - Enantiodromia
※ご機嫌をうかがって何かを得る - Expalpate
- 役者を野次って部隊から追い払う - Exsibilation
- しないといけないこと - Faciendum
- 顔の傷を隠すために化粧をする - fard
- ほかのお父さんよりよい - Father-better
- ほかのお父さんより悪い - Father-waur
※幸せにする力 - Felicificability
- 何かが終わることを避けている - Finifugal
※初めての成功からもたらされる興奮の感覚 - Fleshment
※お金を稼ぐ前に使ってしまう - Fornale
※不平不満ばかり言いすぎて疲れた - Forplaint
- 女性に対して誇張された騎士道 - Frauendienst


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*** 休憩コーナー ~ 酔っぱらいについての色々な言い方
Goat-drunke(山羊酔っぱらい) - 酒で扇情的になった
Ape-drunke(猿酔っぱらい) - 跳びはね、歌い、声がこもり、そしてひっくり返る
Lion-drunke(獅子酔っぱらい) - 陶器などを投げ散らかし、娼婦を呼び、短剣でガラス窓を割り、話しかけてくる人には誰でもケンカ腰になる。
Swine-drunke(豚酔っぱらい) - 動きがのろのろで、今にも眠りそうで「もうちょっと酒を」と泣き叫ぶ
Sheep-drunke(羊酔っぱらい) - ろれつが回ってないのに、それをうまく隠す
Mawdlen-drunke(鴨酔っぱらい) - ビールを飲みながら、優しさを求めてめそめそ泣き、人にキスをして、次のように言う。「神よ、私はあなたをこんなにお慕い申しているのに、あなたは私を私ほどには愛してくれません。お望みであるのなら、お慕い申すのを控えもいたします。」そして自分の指を目に入れて泣く。

Martine-drunke(燕酔っぱらい) - 酔っぱらっていてもふとしたことでしらふに戻る
Foxe -drunke(狐酔っぱらい) - オランダ人の男のごとくずる賢い酔っぱらい、飲んでいる時以外は絶

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※目の端に集まってくるべとべとしたもの - Gound
☆インドの哲学者のように裸で議論する - Gymnologize
※わずかの出費で口論する - Halfpennyworth
- 現在の意見と過去の意見とが異なることを指摘する - Hansardize
☆幸せにする - Happify
☆意図したことと異なることをいう - Heterophemize
- 笑うのをやめようとしない人 - Hypergelast
- 洗い流せない - illutible
- 雨に濡れた - Impluvious
- 周囲の状況が全く目にはいらない人 - Inadvertist
※目に見えない恐怖を感じる - Indread
- けがらわしいところで成長している - Insordescent
- 神からの啓示を受けたと思いこんでいる - Inspirado
- 相手と同じくらい憎む - Interdespise
☆朝食に関係する - Jentacular
- ビールを強くするために尿を加える - lant
※読書のための場所 - Lectory
- 牛の糞や尿で洗う - Leep
- 自分の妻から感じる安らぎ - Levament
- 寄生車が宿主を見限って離れること - Lipoxeny
- 無益な利便性のない科学、技術 - Mataeotechny
- 二流の才能の持ち主 - Mediocrist
- ものすごく尿意を催している - Micturient
- 知性や地位において対等でない者どうしの友情 - Microphily
※小さくて魅力的な - Minionette
※憎む、罪深いほどの愛情を持つ - Mislove
- いけないことに喜びを感じる - Misdelight
- 尻の形をした - Natiform
- 適当な言葉がみつからなくていらいらしている状態 - Onomatomania
※疲れたときや朝起きたときにあーっと手足を伸ばす行為 - Pandiculation※人生の全盛期が過ぎ去ったとき - Paracme
- 最後通牒前の最後の要求 - Penultimatum
☆鳩を連想させる - Peristeronic
※雨が長く降らず、乾燥していたところに雨が降り、その時に地面から上がってくる心地よいにおい - Petrichor
- 最後までしっかり耐え抜く - Pertolerate
- 尿意をこらえること - Pissupprest
- 持論に惚れ込んでいる人 - Philodox
- 事が起こったあとにその計画を立てる - Postvide
☆最後でもなく、最後の一つ前でもなく、最後の一つ前の前でもなく、その次の - Preantepenult
- 情熱の予兆となる心のざわめき - Propassion
- 修繕されたひび割れ - Prend
- 風で落ち葉がカサカサ音を立てること - Psithurism
- 女性らしくない人とのつきあい - Quaening
- あらゆる手段を使ってお金を稼ぐ - Quomodocunquize
- おかえしの愛 - Redamancy
- 緊急時に何をしたら良いかわからない - Redeless
- 軽い後悔の念と共に記憶にとどめる - Remord
- ひょんなことから見つかった*** - Repertitious
- 贅沢から来る顔の赤み - Rubicundity
- 体を押しつけたり、ものすごく近くに立ったりして、人を嫌な気分にさせる、人に迷惑をかけること - Scrouge
- 良心的に罪を告白しすぎる人 - Scrupulant
- 従属的に盲目的に人の意見や考えに従いがちな - Sequacious
- 他人の眠りを誘発する人 - Somnificator
- 「黙れ」と命令することを職にする役人 - Silentiary
- すごく騙されやすい、信用しすぎる - Superfidel
- 少し悲しい - Subtrist
- 一緒に歩いている人 - Sympatetic
- 根拠のない恐怖を吹き込む - Terriculament
☆大きい睾丸を持った - Testiculous
- あやふやな、はっきりしない考え - Twi-thought
- 見た目ほど価値のないもの - Trumpery
☆尿がかけられていない、尿で濡れていない - Unbepissed
- 陰が大好きな - Umbriphilous
- 波の音がする - Undisonant
- 行動や努力を伴わない希望、願望 - Velleity
- 見るべきもの - Videnda
- 黙ってやりすごすべきこと - Tacenda
- 真っ当な理由を持ってしても負けた - Well-lost
- 条件付きで他人の幸せを祈る人 - Well-woulder
※ウサギやリス(齧歯類)などのように葉が黄色い - Xanthodontous
- 両親に似ていない子供 - Xenogenesis
- 唾液の生成不足による口の渇き - Xenostomia
- 昨晩 - Yesterneve
- 見る - zyxt (OEDの最終単語)

対に商談をしない

The Queen and The Soldier (2)

The Queen and The Soldierは、冒頭に、"I'm not fighting for you any more" (わたしはあなたのためにはもう戦っていないのです)という歌詞が出てきて、また締めくくりが" The battle continued on" (その戦いは続いた)で終わるため、反戦歌とも解釈されることがあるようです。


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――時代とともに曲の意味が変わることがあります。デビュー・アルバムの収録曲で『ピープル&プレイシズ』で再録音した「女王と兵士」はイラク戦争以降、多くの歌手やバンドに取り上げられるようになりました。何か新しい意味を加えて歌っていますか?

 「私は書いた時と同じように歌っていると思う。意味は受け取る聴衆の方で変わるのであって、私は新しい意味を付け加えようとはしていない。意味はコンテクストで変わるのね。年上の世代はあの曲を60年代フォークの反戦歌の流れを汲む曲として聴いているし、若い世代は近年の社会問題を歌うソングライターたちの動きと関連づけて聴いてくれる。自分の書いた歌が時代を超えて、また新たな居場所を見つけられるのは素晴らしいことだわ」

http://www.cdjournal.com/main/cdjpush/suzanne-vega/1000000518
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しかし、村中は、この歌は反戦の歌ではなく、遠い伝説のできごとを歌った象徴的な歌ではないだろうかと考えています。


歌詞は簡単な言葉ばかりを使っていながら非常に味わい深く、「なぜここで現在進行形なのだろう」「なぜここで目的語を省略するのだろう」「なぜここでTheなのだろう」「なぜここが単数で不定冠詞aがついているのだろう」「このwouldは何」「このinsideはどこのこと」と様々に考えさせられます。


スザンヌヴェガは歌詞が大変、達者な人で、Tom's Dinnerなどに代表されるように、街角の風景や、人の微妙な心理を、カメラのような正確な言葉遣いで切り取ります。Raymond Carverなどのアメリカの小説のような味わいがあります。


しかし、一方では、ギリシャ神話に登場する海の女神カリュプソー(Καλυψ?; Kalypso)を主人公にした「カリプソ」のように神話や伝説を題材にした歌も多くあります。火や水や煙や雪など象徴的な小道具が多く出てくるのが彼女の詩の特長でもあります。


Would I have dressed in smoke and fire
For you to see through?  - Some Journey
「(もしそうだったら)わたしは煙と炎を身にまとっていたかもしれない。あなたがそれを透かして見えるよう」


Would I have shown my secret self
And disappeared like the snow?  - Some Journey
「(もしそうだったら)わたしは、誰にも見せない私を貴方に見せて、それから雪のように消えていたかもしれない」
http://www.vega.net/rustedpipe/some_journey.htm


And she turns to me with her hand extended
Her palm is split with a flower with a flame  - Solitude Standing
「彼女は私の方を向いて腕を差し出した。その手のひらは、炎といっしょに一輪の花とともに、裂けていた」
http://www.azlyrics.com/lyrics/suzannevega/solitudestanding.html



このThe Queen and The Soldier でも、やはり象徴的な箇所があります。


And she said, "I've swallowed a secret burning thread
It cuts me inside, and often I've bled"
「女王は言った『私は、燃える、秘められた細い糸を飲み込んだのです。その糸は私を内側から切り裂くので、何度も血が流れます』」
http://www.vega.net/rustedpipe/the_queen_and_the_soldier.htm


また言葉遣いや情景も何となく昔風です。


Down in the long narrow hall he was led
Into her rooms with her tapestries red
「王宮の細長い会堂を、彼は従者に導かれながら進んでいった。そして、深紅のタペストリーが幾重も壁にかけられた、女王の居室へと彼は入っていった」

And the sun, it was gold, though the sky, it was gray
「(王宮の)窓の外から見える空は灰色に曇っていた。だが不思議なことに太陽だけが、あかあかと黄金の光を放っている」


村中は、やっぱりこの歌は反戦とかではなくて、むしろ神話や伝説の世界だと思います。そんな目で歌詞を読み解いていくととても興味深いのです。