気にしないように。とはしていたけれど数日も続くといい加減気になりだす…。
(あたしが新人やからかな?きっと…)
このときはこれくらいの考えで済んだ。
けれどだんだんと考えは深くなって未知となっていく…。ー
工場長『朝礼します』
社員がそろった所で工場長の声がかかり、一斉に真ん中に集まる。
工場長『おはようございます』
みんな『おはようございます』
工場長『まだ枚数が足りてません。作業中は話さないように集中して…あとは整理整頓がまだなってないから整理整頓をしっかりしてください!以上です』
(整理整頓…。今日までで何回も聞いたな……)
係長『おはようございます』
みんな『おはようございます』
係長『さっき工場長からもあったように、整理整頓をしっかりとしてもらえたらいいかと思いますーー』
と係長がいっている間…係長は全員を見ながら話しているためちょくちょく目があった。そのときは毎回何も思わないのだけれどそのあとは疑問だらけ。
(てか工場長が話してる間…ちょこちょこあたし見てるよね?)
思い返してみたら工場長が話している間…係長はあたしを見ていた。
(どういうこと?)
それから各作業場での朝礼に移り、移動しながらあたしをチラ見したり時にはガッツリ見ながら行ったりしていた…。
(なんなん…?)
その係長からの視線に疑問を抱きつつもあたしも知らぬ間に相手を見ていた。
それから係長が真後ろを通ったり近くに来たりする度に気になって後ろ姿を少し追ったりした。
そんなある日ー
この日は朝からイライラが溜まり、精神も不安定でいつもより元気がなかった。けれど笑顔で仕事をこなす。
するといつものように係長が近くに…。その瞬間苛立ちが。
(なんでいちいち来るんよ!!気が散る…)
あたし『はぁ…』
先輩S『どうした?』
機械の音で聞こえていないと思っていたあたしの小さなため息が聞こえたのか、近くにいた先輩が作業をしながらそう言ってきた。
あたし『え…?』
先輩S『若いのにため息ついたらダメ』
あたし『……』
(ため息くらい誰だってするじゃん…)
そう思いながらも先輩の言葉に頷く。そしてお昼休み。
いつもより早めに作業場に入ったあたしは真っ先にトイレに向かった。
あたし『はぁーあ…』
入った瞬間大きなため息が出て…個室に入りながらまたため息。
(あの人なにがしたいん?なんで近くに来るの?なんなの?)
あたし『わからん』
もうこれ以外のことは考えられないくらい係長の行動を疑問に思っていた。
監視なんだ。とも考えてはいたけれど…。
(監視でもあそこまで見ないよね…?)
あたし『はぁーっと…!!』
最後に区切りをつけるように少し違うため息をついてトイレから出ると手を洗って歩き出す。すると。
あたし『っ…!!』
すぐ右側から係長が歩いてきた。
(うわ…最悪……)
さっき区切りをつけたばかりなのにまた複雑な気持ちに包まれる。
あたしがモヤモヤしている間に係長はどこかへ行ったけれどその後ろ姿を見るだけでも、もうモヤつく…。
(こんなん考える自分もなんなんだか!)
最終的にはこんなことを思いながら先輩たちが集まる場所へ。
けれどはなしについていけずにあたしは作業していた所に行って1人ボーッとする。
あたし『はぁ…』
小さなため息をしてふと前を見ると、係長の姿が目に止まった。
あたし『……』
(最悪…)
見たくないのに視界に入ってくる。見てるつもりもないのに見た先にいたりする。
(なに…ほんとに…)
…この日は1日ずっとモヤモヤしたり苛立ったりの繰り返しだったー
それからも同じように係長の行動に疑問を抱いてはモヤモヤしていた。その間間で気がつくと自分も係長を目で探したり追ったりしていた…。
(でもこれはあっちが見るから…)
このときはこれが“恋”と気づかず…ただただ係長のせいにして自分は何の感情もないと決めつけていた。
その数日後…
あたし『おはようございます』
先輩たち『おはよう』
いつものように挨拶をして作業に取りかかったとき…丁度出勤してきた係長の姿が見え目も合った。その瞬間かすかな痛みを感じ、スッと目を反らしてうつむく。
(なに今の…)
今までになかった胸の痛みにびっくりしつつさりげなく胸を押さえる。すると。
先輩S『具合悪いの?』
あたしを見ていたのか、近くにいた先輩がそう言ってきた。
あたし『っ…いえ……大丈夫です…!』
あたしはスッと手を下ろしながらそう答えた。
(…今は忘れよう)
ここは職場。今は考えないように…と決めてゆっくり作業を始める。
なるべく周りは見ず、ただ作業に集中。けれど…
あたし『っ…』
たびたび係長が近くを通るとき…目が合うたびに小さな痛みが繰り返される。
普通の人はきっと気づくだろう気持ちだけれどあたしは自分の恋だけには鈍感で気づくのが遅い。
そんなある日。あたしは親友と会っているときに係長のことをすべて話した。ー
あたし『どう思う?なんなんかな…?』
親友『めぐのことすきなんじゃない?』
あたし『いや、それはない!…監視かもしれんし。でさ…最近なんかモヤモヤするというかちょっと胸が痛むしあたしもつい目で探したり追ったりしてるんだよね…』
親友『気づかんうちに?』
あたし『うん…。まぁあっちが見てくるからそれが気になってだろうけど』
親友『めぐは係長好きだと思うけど?』
あたし『は!?』
あたしは親友の言葉に衝撃を受ける。
親友『自分じゃ気づいてないだけで、めぐは係長が好きなんだって!』
あたし『え…。いや…あり得ない』
親友『なんで?』
あたし『わからんけどあり得ない…』
親友『まぁ、多分そのうち気づくって!うちはめぐとは長い付き合いだから分かるだけだから』
あたし『………』
このあとあたしは何も言えずただ黙り込んでしまった。ー
~続く~