国家一般職 技術職 S君
【技術職の特徴】
まず技術職の一般的な特徴について説明しますと、技術職は専門の知識、技術を生かして働く職種であるため、専門試験が職種に対応した試験になります。また一般的に行政職の受験では年齢以外の受験要件は課されませんが、技術職では特定の学部、学科の卒業や資格が課されていることがあるので注意が必要です。教養試験、論文、面接については基本的には行政職と変わりませんが、時折独自の試験が行われることもあります。実際に受験する上で苦労した点は、
①採用数が少なく、人数が安定しない。
②受験者数が少ないため、情報が少ない。そのため、受験仲間もできにくい。
③専門試験の教本や問題集もほとんどない。
等でした。
【情報収集】
技術職は情報が少ないので、自分で情報を入手し、分析する必要がどうしても出てきます。
私は情報を得るために自治体説明会や予備校以外にも、大学の就職課や学科のツテ、民間の合同説明会まで使えるものはすべて使うつもりで動きました。同時に興味がある自治体の過去の採用情報を確認しました(技術職は毎年採用しているとは限りません)。マイナーな職種であればある程ここで苦労すると思います。どうしても受験したい自治体が希望職種を採用しない場合、専門が近い職種等での受験を考えるのも手段の一つだと思います。
<参考,過去問の入手法>
比較的有効な過去問の入手法をいくつか紹介します。まず人事院に依頼すれば国家Ⅰ種、Ⅱ種の過去問を入手することができます。特別区では過去問(記述式)を公開していてホームページからダウンロードすることができます。これらのほかにも予備校に過去問や合格者の資料があることや、ネットオークション等(責任は持てませんが…)でごくまれに売られていることもあるようです(私の使った資料の一部もCSS千葉大前校に寄贈する予定です)。
【勉強法】
1.専門
専門は上記の方法で入手した過去問や本を利用して勉強しながら頻出分野を分析し、足りない部分は大学の教科書や講義で補いました。分からない問題や未履修の分野については大学の友人や教授に聞くことで対応しました。未履修分野についてはそれでもどうしようのない部分もありましたがその際は配点が大きくない限りはあきらめて、他の分野で点数を稼ぐように心がけました。工学の基礎については問題集を解きながら高校の教科書や参考書を読みなおして勉強しました。過去問については問題を覚えるほど繰り返し解いたと思います。
2.教養
専門の情報がない分、教養での大量得点を狙い教養にはかなりの時間を割きました。
一般知能は川井先生の講義を聞き、過去問を繰り返し解きました。私は理系ということもあり、比較的アレルギーもなかったと思います。
知識系、その中でも時事や論文の基礎にもなる社会科学には特に重点を置きました。社会科学は講義を聞く前後にテキストを何度も読み直し、問題を解いて分からないときはテキストに戻ってインプット、アウトプットを繰り返しました。自然科学は専門と重なる分野はほとんど勉強しませんでしたが未履修の分野は社会科学と同様の方法で勉強しました。人文科学は苦手だったのですが予備校の講義を聞き、最頻出分野や簡単な分野だけは勉強しました。
3.論文
論文は得意なほうではなかったのですが、まず誤字脱字、原稿用紙の使い方といった基本的なミスを犯さないようにしました。内容としては社会科学や時事の知識をもとに「行政の視点」と「技官の視点」で書くようにしました。主要な論点については予備校の講座や模試なので必ず1回は添削をしていただきました。採点者によって同じ文章でも評価はまちまちでしたが、少なくとも本番では論文が足を引っ張ったことはありませんでした。まぁ(高得点を狙わない限り)この体験記程度の文章力でも通ると思っていただければ気楽になると思います(笑)。
4.面接
面接は苦手で二年間落ち続けだったのであまり参考になることは言えないのですが、個人的には嘘(併願先を除く)や過度な誇張表現は避けたほうがいいような気がしました。確かにうまく嘘をついて受かっている人も時折聞きますが、後味が良くないと思い、やりませんでした。
5.その他
日ごろから頭を使うこと、計算力、思考力を高めることを考えました。といっても特別なことをやったわけではなく、買い物の時にお釣りの計算をする、電卓に頼らない、休憩時間に脳トレやカードで友人と遊ぶといった程度です。一般知能や計算問題が楽になり、最悪力押しで問題を解けるようになるので、成績も安定しました。
【メンタル面】
私は2年目で、今年もなかなか内定が取れなかったので落ち込んだことも一度や二度ではありませんでした。筆記の勉強がうまくいかないときや論文でひどい採点されたとき、面接で落とされた時など落ち込んだ時も、逆に腹が立った時も何度もありました。特に面接で落ちた時は自分のすべてを否定されたような気がしました。そんな時は無理しないで、誰かに話したり、受験のことをすべて忘れて思いっきり遊んだり、何も考えずに泣いたり落ち込んだりと、とにかくため込まないようにしました。たまったストレスを発散できるのはその時だけ、ため込んで無理して前に進むよりは吐き出すようにしてきました。
【勉強して思ったこと】
公務員に限らず、就職活動は非常に大変だと思います。私自身も人より1年余分に行い、何度もくじけかけましたが、最終的には縁があって内定をいただくことができました。人によって時間はかかるかもしれませんが、あきらめずに動けば、必ず縁はあると思います。それに、余分にかかったからこそ分かったことや、得た友人もいました。やはりつらい時一緒にいてくれた友人が、これから先一生付き合っていく仲間なのだと強く感じました。今うまくいっていない人へ、今そんな時でも変わらずそばにいる人が、本当に大切な友人になるのだと思います。辛い時は休んでも、回り道してもいいのであきらめずに頑張ってください。
最後にどうしても耐えられない人へ
「私もよく絵が描けなくなる時があるよ。」
「そういうときどうするの?」
「そういう時はじたばたするしかないよ。描いて描いて描きまくる。」
「それでもやっぱり駄目だったら?」
「描くのをやめる!散歩したり昼寝したり、何もしない。そのうちに急に描きたくなるんだよ」
(魔女の宅急便より、多少編集しました)
最後の台詞は勉強がつらい時、私がたまにふと思い出す言葉です。絵を試験勉強に置き換えてみてください。確かに公務員試験は長い間継続的に勉強しなければならないものですが、私はどうしてもやる気が起きないとき、潰れそうなときは、この言葉の通り、何日かさぼりました(笑)。普段しっかり勉強さえしていれば、半年や一年という長い期間のうちの一日や二日さぼったからといって落ちることはないと思います。それよりもこの長い期間、潰れずにモチベーションを維持することのほうがずっと大切です。正直、完全につぶれてしまっては立ち直れないのではないかと思いました。私はその前にほどほどで(?)潰れてしまうようにしました。それでも、ちゃんと筆記は通りました。努力することは大切ですが、決して無理をしすぎないようにしてください。最後に長期間の間支えてくれた友人や、辛い時相談にのってくださった川井先生をはじめとする先生方にお礼を申し上げて、体験記を締めたいと思います。ありがとうございました。