※写真はイメージです。うちの施設で召し上がっていただいている物とは異なります…^^;

 

 

おはようございます。

前回は、仙さんの「嫌い」が「おいしいよ」になる秘密の一つ目は、配膳時の関わりにあると書きました。

 

今日は、もう一つの関わりの工夫についてあなたに考えていただきたいと思います。

実は、仙さんは一皿食べると、次の料理に手を伸ばさずに止まってしまうのです。

次に何を食べていいのかがわからなくなったり、また目の前の食事が何かわからなくなったりしてしまうのです。

 

これが食事中の困りごとです。

 

 

さて、もしあなたが仙さんだったら以下の二つの関わり方、どちらの方が食べたい気持ちが増すと思いますか?

 

1、「あれ、もう食べないんですか?この豆腐も食べてくださいよ」

 

2、「あ、鮭は食べてくださったんですね。ありがとうございます。嬉しいです」

 

 

 

どうでしょうか?1番の方も、例えば一般の家庭でお母さんが子供に食事を促す声掛けだったら、自然ですよね。

でも、2番の方が、心が前向きになる気がしませんか?

 

そして、この関わり方の違いにこそ、仙さんに食事を食べてもらえるかどうかの秘訣があると思っています。

 

ある一つの視点を意識して声をかけることで、仙さんの心が180°変わってしまうくらいの違いがあるのです。

 

もう一度、読んでみてください。

 

1、「あれ、もう食べないんですか?この豆腐も食べてくださいよ」

 

2、「あ、鮭は食べてくださったんですね。ありがとうございます。嬉しいです」

 

 

どちらも新たな一口を食べてもらうための声掛けであるにも関わらず、仙さんの心を180°変えてしまう、その違いはどこにあるのか。

それは、「ポジティブ(肯定的)」と「ネガティブ(否定的)」どちらから始めるか?

ということです。認知症の人の心は本当に「感情」に敏感です。

ちょっとした言葉のニュアンスから、利用者さんの捉え方がガラッと変わります。

だから、もしあなたが「もう食べない」という否定的な言葉から話し始めた時点で、仙さんの感情はネガティブモードに切り替わってしまうのです。

 

逆に、「鮭は食べた」というポジティブな事実を始めに伝えることで、感情がポジティブモードへと向かっていくのです。

 

さらに、「嬉しいです」という職員の感情も伝えることで、もっと仙さんの心を前向きにしてもらうことに繋がります。

 

 

いかがでしたか?前回から認知症の方の食事の関わりについて2つの場面で考えてきましたが、

(1)配膳前

 食材に関する思い出(食べた経験、味付けなど)を聞く。

 「意見を聞かせてほしい」など利用者さんを人生の先輩として尊重する。

(2)食事中

 手が止まっているときに、ポジティブな事実を伝えて、感情を揺さぶる。

 その事実に対する、職員のポジティブな感情も伝える。

 

どちらの場面でも、

寂しい口症候群やニワトリ症候群のときに考えた、利用者さんを「孤食にさせない」に繋がることにあなたは気付かれると思います。

寂しい口症候群は、「孤食」で始まり、「孤独死」に終わります。

ニワトリ症候群は、コケコッコ(孤食、欠食、個食、固食)です。

 

孤食はひとりぼっちでの食事。

食べることに困ったままでの食事では、心も体も「孤」になってしまうと思いませんか?

そう思わせてしまわないように、あなたがどう関わるか?

 

このように書いている私も上手くいかない日もたくさんあります。その中でも考えることをやめないのは、食べてもらえたときのニコッとした表情が忘れられないからです。

今日も食事について一緒に考えていただき、ありがとうございました。