■乾電池で動き、FD付きだったので購入


 私事になるが、仕事に私用に、平成元年発売されたカシオワードHW-955を使ってきた。単一乾電池5本でも駆動でき、ポータブル型でどこでも持っていけたのが購入の決め手だった。


 数年前から仕事には使わず私用の文書、書き物のアイディア、草稿などに簡単な文書で済ませる場合に使いつづけた。2DDフロッピディスクディレクトリ単位(1階層まで)で分類保存できたのが使いつづけたもう一つの理由だった。




CASIOWORD HW-955(1989)

 21年も使えば、トラブルが出てくる。買って2年後に台風の被害に遭い、雨漏りで電源が入らなくなり、オーバーホール。それからはフロッピドライブ、液晶画面への故障一つもなかった。そのうち元々よく調子がなかったプリンタがインクリボン使用時にまともに印刷ができなくなり、感熱紙での印刷。インクカセットを送るローラが問題が原因だった。
 購入後10年たった頃同型機をネットオークションで購入。万が一の故障に備えて保管していた。それも電源を入れたとき液晶パネルの表示がよくなかったので部品取りの扱いだった。

■ついに液晶画面にトラブル


 購入後20年を過ぎてから、液晶濃度つまみを回して調整したときに多少の不安定が発生それでも十分に使えた。
 きょう簡易表計算機能を使っていたところ、液晶パネルの一部に表示ムラが。表示用の素子の一部が何らかの理由で劣化し、変色を起こしたと考えられる。そのままでも使用に耐えたが、そのまま使いつづけると、液晶がその部分だけ抜けてしまう恐れがあった。



 ネットオークションで買ったそれを再度電源投入してみる。すべて正常に動作した。ゆえに21年5か月使ったこのマシンも予備機として保管・運用終了。保存していたデータを引き続き役立てられる。
 筐体のプラスチックも一部破損したり満身創痍(まんしんそうい)にはなった。これだけ使えたのは、
 1)乾電池でも使えて
 2)どこでも持ち運びでき文書作成、保存。

 できたことである。10年前仕事で使っていたときは、MS-EXCELそれにACCESSが出きるようになったからといって、俺は会社でPCが得意で権威があると自慢してきた者から、時代遅れだ。20世紀の遺物だと、コケにはされた。ただし、現在売られているノートPCにはプリンタはついていない。
 ワープロ専用機はとっくに過去の遺物。製造中止、保守用部品の保管期限も切れ、メーカーでの修理は無理。



 まったく同じハードウェア構成であるHW-951(1988)をネットオークションで購入していた。乾電池液漏れのために故障になっているので、時間があれば、液晶パネルを交換して《復活》させてみたいと思っている。



 昭和58年に発表された《キヤノワード ミニ5》。ポータブルワープロ専用機の幕開けに登場したこの機種の変換方式は今と違って特殊だった。類似機種の説明書を手に入れたのでそれを元に説明していく。




【写真】Canoword mini 5 (1983)




ひら書き変換方式




 大量にひらがなを入力しあとから熟語変換をしていくこのマシンの変換方式は、《ローマ字・カナ自動変換方式(ひら書き変換方式)》と表示されている。名称は、昭和59年に発売された、メモリ容量を減らし、16ドットフォント印字にマイナーチェンジした、《キヤノワード ミニ3》の説明書から判明した。



【写真】Canoword mini3 説明書 (1984)

 現在のPC用日本語入力と違い、ひらがなを延々といれられる。何文字入るかは説明書には示されていなかった。カタカナの部分はカタカナキーを押して、アルファベットは英数キーを押してそのまま入力が続けられる。入力中に変換候補をあらかじめ選んで処理する《先読み》処理は省かれていると考えられる。





【写真】Canoword mini3 説明書 (1984)



 変換に該当するキーが【サーチ】キーである。説明書ではこのように表記している。
 サーチの説明は

 このキーを押したとき、カーソルが反転文字列の間にある場合は右側にある反転文字の方を優先して単語の読みを探します。右側にない場合は左側の反転文字の先頭から単語の読みを探します。
 カーソルが反転文字列の途中にあるときは、カーソルまでの反転文字を普通の表示に替え、同時に右側の反転文字から単語の読みを探します。


 分かりづらい表現なので、実機での例を示す。
 写真は、《ほんじつはせいてんなり》を入力してサーチを押したときの状態である。



【写真】ほんじつはせいてんなりを入力してサーチを押したところ。



 変換は熟語単位なので、熟語変換は、本日  晴天 なり と単語単位で変換をしていく。この場合は、本日にあたるほんじつを探しあて、の部分にカーソルがいっている。もし区切りが違っていれば、機能+解除を押して変換前の状態に戻す。



 ここで一般の変換キーのように、そのままサーチを押すと無変換処理される。サーチの2度押しは無変換である。結果はほんじつとなる。ひらがなだけの場合は、直後に反転を押し再度サーチを押す。



 目的の単語を出すには、次候補を押す。決定したら再びサーチキー。現在普通に使っているどのIMEの操作と違っている。

 

サーチキーの働きは、
  1)変換キー
  2)変換候補確定(次候補を用いずに押すと無変換)
 になる。慣れると意外に便利。そうでなければ面食らう。




2箇所のサーチ(変換)キー



     この機種、サーチ・次候補キーが2箇所ついている。

 親指で操作する位置と、右手側で操作する部分。



【写真】Canoword mini3 説明書 (1984)



 機能は同じである。ただし、親指で操作する部分と右手側でのそれは若干違う。説明書を拡大する。

【親指で操作する部分】





【右手側】



   サーチキー側面の刻印が違っている。機能キーを押しながら使う部分。
 《解除》は、変換後の出力された候補を取り消して、変換前の状態に戻す。
 《反転》は、無変換操作したひらがなを変換できる状態に戻す。



 どうして2箇所も変換操作キーがあるのかは開発者のみぞ知るわけだが、
 親指側→文書を作成
 右手側→文書作成後、校正・推敲。

 の目的別に設置したと推測できる。出来上がった文書を読み返すときに、左右に動かせるカーソルで読みながら修正が必要になればそのまま文字を入れてサーチキー。が便利だと見たのだろうか。



 機会があればまた取り上げる。



 誘いでMSXコミュニティに参加している。8ビット時代のホビーパソコンを懐かしむテーマ。熱狂的マニアがよくしでかす、《如何に保有し、如何にひけらかすか》が満載なように見える。自己紹介で8ビット時代のマシンを触ったことがある旨の記事を書き、保有を自負する御大に《博物館でも開いたらいかがですか》等返答したところ、《そのマシンをください》にはいささか驚いた。
 このコミュニティ主は、単にコレクション・ゲーム遍歴の自慢話と、タダでマシンを欲しがっているだけのようだ。



 本題に戻ろう。
 この自慢話を垂れる主。《もしMSX3できるならどんなマシン設計がよいか》等とスレッドを立てている。

 結論から言う。不要である。

 

熱狂的な一部マニア向けワンチップMSXが限定生産された。その後に販売の予定は聞かない。過去の資産継承との大義名分であったとしても、マニアがレトロゲームを懐かしむために、互換性を維持しつつも新たなプラットフォームを作っても売れる範囲が限られている。だから、限定生産なのだ。
 それにわざわざMSX3と称して新たなプラットフォームをこしらえるより、すでに任天堂WiiバーチャルコンソールでMSX用のゲームが配信されている以上、そちらが手っ取り早い。PCではすでにエミュレータも盛んに作られマニアを熱狂させている。



 BASICプログラミングもできるから必要だというのも、すでにMS-Officeまたは互換ソフトを使えば簡単に素早くできる。
 規格はすばらしくとも、ホビー用・ゲームマシンとしても、事務用計算機としても中途半端だったため、ファミコンに破れ去ってしまった。実機を購入する機会があり使った感想は、初回投入時から、MSX2+程度の日本語処理、画面表示ももっと強化していれば、かつての国民機PC-9801のライバルMS-Windowsに十分対抗できた日本生まれのPCになり得たはずである。



 論じるのはいくらでもよい。ただし、MSXはゲーム専用機ではない。どうしても新規格MSX3を渇望するならば、Linux、MS-Windowsとの連携も出来、洗練され、習得が容易なプログラミング言語と、事務用アプリケーション。ホビー用にはオーディオ・ビジュアルファンにも十分満足させる仕様にすべきだろう。



 今現在論じているのは、エミュレータ機能に、ゲームグラフィックとサウンドの強化ばかり。新たなゲーム専用機を作れとなる。
 
ならば、既存のゲーム専用機でMSXプログラムを走行させるのがましだ。新たなそれを作っても売れない。