今月は大東京信用組合(以下「だいしん」)が11月11日に開催した新現役交流会を紹介する。

 

信組業界初開催

 新現役交流会とは関東経済産業局が地域金融機関等と共同で開催している中小企業支援の事業の一つで、さまざまな課題を抱える中小企業と定年退職した大企業OB等、多様な専門性を長年磨いてきた実務経験豊富な人材(マネージメントメンター=新現役人材)とのマッチング交流会である。

 現在の形の新現役交流会は信金を中心に開催されてきたが、今般、「だいしん」において信組業界初の新現役交流会(以下 交流会)が開催された意義は大きい。

 

開催プロセス

 交流会開催まで流れを簡単に説明すれば、(1).取引先に対して新現役交流会開催を案内 (2).ニーズ先から各企業が抱える課題と新現役人材に期待する具体的な内容をヒアリング (3).当局に登録されている新現役人材に対してニーズ各社の事業内容、課題、要望を通知して交流会への参加を募る。こととなる。

「だいしん」の呼びかけによって、今回の交流会に参加した25社の業種は金属加工業、食品スーパー、電気工事業、リフォーム業、洋菓子製販業、印刷業など多種多様である。また、そのニーズも、販路拡大、価格交渉のノウハウ、インターネットの活用、事業継承、社員教育、輸出業務など多彩で、そのニーズに応えるため90名を超える新現役人材が招聘された。会場となった「だいしん」本店2階ホールには25のブースが設けられ、タイムテーブルにそって各社が新現役人材との個別面談に臨んだ。

 

課題認識のチャンス

関東経済産業局によれば、平成27年度中に管内金融機関において開催された25回の交流会において、400社を超える企業と延べ約1600名の新現役人材とのマッチングが行われ、260組以上の支援が成立したとのことである。

開催直後で今回の交流会のマッチング成果を確認する段階ではないが、成果にまして重要なことは、前段(2)のヒアリングの中で日常業務では把握しきれなかった、取引先調書にも記入されていなかった、取引先の抱える課題と解決のためのニーズを確認できたことである。

 

新たな取組みには困難や不安もあるが、熱気溢れる交流会を実現し、その苦労は報われた。交流会開催を通して顧客支援の重要性と奥深さを組織全体で再認識したことは「だいしん」の今後の顧客支援活動を飛躍的に向上させる可能性を秘めている。