
①うれしいときをオイルパステルで表現
臨床美術 東北
モノクロ写真を中心にアップしているのですが、大学時代に臨床美術士という資格を取得し、その考え方や発想方法はモノクロ写真を撮影することの考え方と通ずる部分もありましたので、少し臨床美術について触れておきたいと思います。私は小学校のときから美術が好きだったからか、臨床という言葉には気にもしないくらい『美術』という言葉にただ惹かれて、臨床美術を履修しておりました。私が学んだ臨床美術にというものは、臨床美術Ⅰ ~Ⅳまでの科目があり、2,3年かけて取得する他、臨床美術士4級という資格の取得をする課程となります。では、臨床美術とは何かということなのですが、ちょっと記憶も遠くなってきたので、あくまで私が当時に学んだであろう記憶だけを頼りにご紹介したいと思います。
認知症を抑止するための美術
これが臨床美術の重要な考え方のひとつであります。画を描いたりモノをつくったりといった、所謂『美術』的な行動。これは、無意識にも『左脳』を働かせているのです。認知症を抑止するためには、この『左脳』をほどよく働かせてあげることが必要であるとされており、臨床美術ではその『左脳』を働かせるための絵画や造形、時にレクリエーションや言葉によるコミュニケーションを実現することが重要であるとされております。
デジタル画ではなくアナログ画を描く
これはものすごく重要な基本です、私も当初学んだときにはとてもためになりました。デジタル画というのは、そのモノゴトを表す記号的なイラストのことです。例えば、A4の紙一枚と一箱のクレヨン(オイルパステル)を渡されたとしましょう。そして、お題として『太陽』を描いてもらうとします。そうすると、たいていの人々は紙に赤やオレンジの色味をつかって円を描き、その円のまわりから線が何本か伸びる太陽を描くのではないでしょうか。そうです、そのように、記号化され、誰でも理解のできるようなイラストのこと、それをデジタル画と呼びます。
では、アナログ画とはなんでしょうか。それは、俗にいう『抽象画』とよばれるような画のことを指します。例えば、上記と同じようにテーマを『太陽』として挙げたとしましょう。そのときに、まず最初に、あなたの心の中での太陽をゆっくりとイメージしてます。イラストのイメージではありません。太陽の温度、雰囲気、自身の思い出、香り、明るさ、音など、すべての感覚を太陽に研ぎ澄ませてみるのです。その中で少しでも感じ取れたことがあれば、それを形としてではなく、線や点で筆圧を感じながら色を重ねていきます。そのように、感じたことをそのまま点や線で表現していくことで、唯一無二の、人それぞれの『太陽』が生まれてくるわけです。それがアナログ画のよさです。

②たのしいときをオイルパステルで表現
いかがでしょうか。筆圧や描く長さなどによってその感情や雰囲気を表現しようとしているのが分かります。①ではうれしいとき、②ではたのしいときをそれぞれ表現してみました。一見、それらの感情は似たような気分でありますが、実際にイメージしながらオイルパステルを持ち、素直に白いスケッチブックの上に描いてみると、使用する色彩も筆圧も方向も全く異なるものになってきます。この、イメージに問われない、気持ちや感情を抽象的に表現するアナログ手法によって、人間の左脳は活発化し、認知症防止のきっかけや心のケアの手助けをしてくれると臨床美術では考えられております。
臨床美術 東北