「具合が悪くなるのをハッキリ感じるので絶対に心理的な要因では有りません!」何度か聞いたことのある言葉です。私も以前はそう思っていました。
 でも、なぜ断定できてしまうのでしょう?
 はっきり感じると心理的な要因では無いと言い切れるのでしょうか?

 

腰痛と化学物質過敏症

 起き上がれないほどの腰痛を認知行動療法(考え方と行動のクセを見直して、ストレスや不安を軽減する心理療法)で治す方法があります。以前、「NHK スペシャル 腰痛・治療革命」で放送された事もあります。


 慢性腰痛の多くは、身体的な異常が見つからない「非特異的腰痛」であり、心理的要因が大きく関与している可能性があります。認知行動療法(CBT)は、以下のような悪循環を断ち切るために用いられます:
•     「痛いから動かない」→筋力低下→さらに痛みが増す
•     「痛み=危険」という思い込み→不安や恐怖→痛みの過敏化
•      長期の安静→社会的孤立→抑うつ傾向→痛みの慢性化

 

化学物質過敏症でも

•  「化学物質が怖いので動かない食べられない」→身体的抵抗力の低下→さらに過敏症が増す
•   「化学物質=危険」という思い込み→不安や恐怖→過敏症の過敏化
•   長期の安静→社会的孤立→抑うつ傾向→過敏症の慢性化
 少し無理やりかもしれませんが、腰痛に当てはめるとこの様な感じでしょうか?
皆さんはどう思いますか?


文庫本でも

 作家の夏木静子さんは『椅子がこわい―私の腰痛放浪記』(新潮文庫)という著書で、原因不明の激しい腰痛に苦しんだ3年間の闘病体験を綴っています。
 内科、整形外科、鍼灸、整体、漢方、脳神経科、さらには民間療法やお祓いまで、あらゆる治療法を試すも効果は無く、「必ず治る」と言われた療法も次々と試すが、改善せず悪化するばかりでした。
 最終的に心療内科に入院し、心身症として入院して医師の管理のもと断食療法を受けることで回復しました。

 

 主治医との対話を通じて、自分の中に潜む“知らない自分”に気づくことが治癒のきっかけとなったと語っています。

注意:化学物質過敏症患者は摂食障害に移行しやすい傾向があります。絶対に自己判断で断食療法など、医師の指導が必要な療法を行わないでください。
 

 ここでお伝えしたいのは”治し方”ではなく、心理的な要因ではっきりとした、それも激しい身体的反応すら引き起こすことが有るという事です。そしてその原因は心理的なのか身体的なのか本人でも判断が難しい事があります。


はっきりとした身体疾患でも
心身症について

 「仕事が忙しくてストレスで胃潰瘍になってしまった」
 同情はすれど不思議とは思わないはずです。

 心身症という病気があります。「体の病気」であり、精神病とは診断基準も治療法も異なります。
 

 心身症に含まれる病気は、身体のあらゆる部位にわたり、消化器系・循環器系・皮膚・神経系など多岐にわたります。共通点は「心理的ストレスが発症や悪化に関与している身体疾患」であることです。
 胃潰瘍だけではなく心身症は下記に述べる疾患(一部抜粋)に関与していると言われています。

呼吸器系
気管支喘息、 過換気症候群、神経性咳嗽

循環器系
本態性高血圧症、心臓神経症

消化器系
過敏性腸症候群(IBS)、 機能性ディスペプシア、胃・十二指腸潰瘍
 

神経・筋肉系
緊張型頭痛、慢性疼痛症候群

皮膚科領域
アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、慢性蕁麻疹

内分泌・代謝系
神経性食欲不振症(拒食症)、過食、、甲状腺機能亢進症

小児科領域
夜尿症(おねしょ)、憤怒けいれん、チック症

泌尿・生殖器系
神経性頻尿、過活動膀胱、月経困難症、月経前症候群(PMS)、心因性不妊症

 眼・耳鼻科領域
眼精疲労、心因性難聴、めまい症(メニエール病など)

歯科・口腔外科領域
顎関節症、舌痛症、口腔乾燥症

 化学物質を避けなければならないという心理的ストレスで心身症を発症している、或いは悪化させてしまう人は居ませんか?それは化学物質による直接的な病気なのでしょうか?


 この症例はあくまで一部です。何らかの症状がある人は各専門科医に相談してください。

 化学物質過敏症患者は心理的要因と言われると頑なに反対することがあります。それはたぶん、言う方も言われる方も”気のせい“ならば簡単に治るだろうと考えているからではないでしょうか。そんな簡単ではありません。もちろん全て心理的要因とも言えないと思います。しかし、ここからここまでが心の問題、ここからここまでが身体の問題と分けて考えるのは難しいのに、悪化してしまう人は物事を100か0、白か黒とどちらか一方に考えてしまう傾向が強いように感じます。


 自分の苦手な化学物質を避ける事も大事ですが、そちらは少し手を抜いて、ストレスの少ない生活に戻す必要があるのではないでしょうか。