中学校に入学し、吹奏楽部に入部します。

入部の動機は、私が小学生の頃リコーダーで当時流行っていた歌謡曲のメロディーをコピーして吹きまくっていたのを見て、母から「あなたは音楽が好きみたいだから、吹奏楽部に入ったら」と勧められたことです。
実際音楽は今もかなり好きです。

入部してみたら、私のいた中学の吹奏楽部はマジでコンクールに取り組んでいるところで、練習時間は他の運動部と比べても長い方で、朝練も土日の練習も当然ありで、年間360日くらい練習していました。
正直キツくて、何度やめようと思ったか分からないくらいでした。
話が違うというか(いや、誰からも説明を受けたわけではないですが)、全然こんなにキツいとか想像も及ばず、なんだか訳わからないままに自分がシステムに組み込まれていくような気持でした。
それでもなんとか、3年生になって引退するまで続けていました。

実は部活に関して、もうひとつ障害がありました。

私が生まれ育った地区は、なぜか文化的なことを見下す地域でした。
私は今、その地域から離れて数十年が経ちますので今はどうか知りませんが、当時は、なんだか分からないけど文化的なことは女々しいとか、ひ弱とか否定的なレッテルを貼られていました。
男のやることではない、みたいな。

そういう思想的傾向の地域の中学校でしたので、吹奏楽部に所属しているというだけでバカにされていました。
不思議なのは、運動部に所属している奴はもちろん、部活やっていない奴にまで「ひ弱」とか言われるんですよね。
運動部にしても、たまにしか活動していない部とかあるんですよ。
「ひ弱なのは誰なんだよ」という話です。

なんだか、勉強を一所懸命にやるわけでもなく、スポーツに打ち込むわけでもなく、または大人に徹底的に反発するような根性があるわけでもなく、自分のことを棚に上げて人を批判したり小馬鹿にしたりすることだけ得意な人が多かった印象です。


そういう状況もありましたので、部活は辛かった記憶が大きいです。
大人になってからは、やっておいて良かったと思えるようになっていますが。

部活に関しては、3年生の時に私は部長をやりましたので、顧問の先生と部員の生徒との板挟みみたいな状況もありましたので、そういう組織としての難しさのようなこともこの時期が私の人生初めての経験でした。

これ書いていて感じたのですが、吹奏楽部に所属しているからというだけでバカにされたということは、今でも思い出すとムカつく気分が蘇ります。
ここの部分は今でも未消化ということで、結構重要ですね。

私が、子供らしい、屈託のなさを失っていったのは、いつの頃からだったか。

いくつか思い出される、きっかけとなるような出来事があります。

まずひとつは、小学2年生頃だったと思いますが、担任の先生から、肥満しつつあることを指摘されました。
そこから順調に肥満児の道を歩み続け、はっきりした記憶があるわけではないですが、小学4年生頃には周りから立派に“デブ”呼ばわりされるような体形が出来上がっていたのではないかと思います。
記憶にある範囲では、小学校高学年くらいになるころには、私は自分の体形にコンプレックスを抱いていました。

子供なんて残酷だから、周りからも相当にデブ扱いされていたように思います。
まー、周りからどう見られていたかということも大きいことですが、本人の受け取り様もあるでしょうし、とりわけ私は真に受ける方で、周りの目や言葉にかなり傷ついていたことは確かだと思います。

もうひとつは、やはり小学4年生頃だったと思いますが、それくらいから仲良くなった友人の影響が大きいです。

実は、「仲良くなった」という表現には少し抵抗があります。

もともとは確か、同じクラスだったけど特に親しくもなく、私はその彼とは別の子たちの仲良しグループに属していました。
その彼はちょっと変わった子で、周りからどちらかというと敬遠されていました。
私とその彼が接近したきっかけは、同じそろばん塾に通うようになったことからでした。
そこからふたりで遊ぶようになり、最初は対等な関係でたまに一緒に遊ぶ程度でしたが、次第に関係性が変わってゆき、彼が私に命令し、そして私が彼の命令に従うような関係性になっていました。
いつの間にか、強いられて彼とだけ毎日放課後遊んで、他のもともと仲が良かった子たちとは遊ばないように命令される関係が出来上がっていました。

なんでそういうような関係性が出来上がってしまったのだろうかと考えると、単純に私が気が小さく、彼の強制をはねのけることができなかったのでしょう。
それでも上で述べたように最初のころは対等で、ケンカもしていた記憶がありますが、いつの間にやら従わせられる地位となっていました。

そういう関係になって私は、周りから敬遠されるような彼と毎日一緒に遊んでいること、そしてその彼の強制的な要求を拒否できない自分を、他の友人たちに対して恥ずかしく思うようになり、また自分自身に対して情けなく思うようになりました。
「いじめ」とはまたちょっと違う状況ですが、この頃私は、毎日辛かったです。

自分の体形へのコンプレックスと、その“友人”のことで私は、小学生にして既に重苦しい気持ちで毎日過ごしていました。