退院後
退院して一週間経った病院からの帰路,どんどん発疹とじんましんが悪化して顔中が発疹だらけになった。顔と首と背中がパンパンに張ってしまって,少しかゆい。とは言いうものの症状はそれだけで,やる事は山積している。もうここまできたら開き直ってしまえと思って,もう少し自宅で様子を見させてもらえないかと方々に相談させてもらった。そうすると意外と何とかなるもので,この一週間は家でまたおとなしくしていた。相変わらず耳は聞こえにくい。コンビニのレジとかで「何ですか?」って聞き直すことが増えた。とても大切なことを言っているわけではないということは分かっていても,他人が発している言葉を正確に聞き取れないことが許せない。身体の角度とか首のかしげ方とか,これから生き方が身に付いてくることになるのだと思う。(そうするとまた背骨が曲がってとか,視力が左右で異なってとか,肩こりがとか別の問題が...)退院後に一度,外来でMRIを受けに行った。外来の受付方法が分からず,綺麗な受付のお姉さんに優しく教えてもらって自動化された装置で受付を済ませた。(変わった新婚さんが出てくるテレビの司会の人も今の病院は進んでると言っていたが本当にそうだと思う。せっかく自動化したのにお姉さんに教えてもらったら意味ない。)MRIとは,核磁気共鳴画像法(かくじききょうめいがぞうほう、英語:magnetic resonance imaging,MRI)とは、核磁気共鳴(nuclear magnetic resonance, NMR)現象を利用して生体内の内部の情報を画像にする方法である。(Wikipediaより引用 2016/12/19 0:53現在)ちょっと難しくて理解できなかったが,要するに体内の水素原子がくるくる回るようなスピンという粒子の性質と磁場の相互作用を応用した,体内組織の撮影方法のひとつらしい。ざっくり言うと,1. 時間的に変化しない磁場が存在する空間内では,沢山ある粒子のくるくる回る向きが磁場の軸の向きに揃う2. 回ってる粒子群に適当な周波数の電磁波を当てると回転の軸が傾いて,歳差運動を始める。(お正月に遊ぶコマが止まりかけるときにぐらぐらするみたいな感じ?)3. ぐらぐらする周期性が磁場の強さに比例していて,2.で当ててた電磁波を止めると徐々にもとに戻ってぐらぐらしなくなる4. もとの状態に戻るまでの過程が重要で,もとに戻までの速さが組織によって異なる特徴がある5. 特徴を活かしてなんやかんやすると画像がでてくるX線を用いるCTとは異なる物理特性に基づいた撮影法で,放射線による被爆が無いことも利点のひとつであるようだ。2003年にはノーベル生理学・医学賞が関連の科学者へ送られている。うるさい理由のひとつは(いくつかのネットの情報からの推測ですが),MRIの装置の中にある磁場を発生させるための金属(バネ状に巻いたコイルのようなもの)自身が発生させる磁場そのものと内部に流れる電流の影響(ローレンツ力といういかした名前の力)を受けて伸びたり縮んだりするときにがんがん音がなるらしい。MRIの撮影では,金属類と上着をロッカーに閉まって,ズボンとシャツになってスリッパを履いた。眼鏡を外して,金属探知機を通ってチェック完了。診察室に入って,装置の台に横たわる。(ここがかなり重要。さっさとやられてしまうのだが,30分くらい動けないので,しっかりと自分の調子で最も楽な体勢を探しておくと良い。)そうすると,身体を固定するベルトをされる。(簀巻きにされる感じ。)手には困ったときのスイッチを渡される。(なぜか写真のレンズを掃除するしゅこしゅこみたいなやつだった。風がでて伝わりますんでって説明受けたけどなんでなんだろう。)「目をつぶって,じっとしていてください。」と指示を受ける。いよいよ頭を固定する。うるさいのでヘッドホンを付けてスペーサーを詰めて動かないように位置決めをしてから,顔の前に格子状の装置を取り付ける。(装置が顔にかなり近い。ヘッドホンからはジブリが流れてたけど,途中からうるさすぎて音楽は聞こえなくなった。これから魔女の宅急便みるたびに思い出すのか。)装置内部に移動する最中に「大丈夫ですかー」的なことを言われた気がするが,ほとんど聞こえない上に動けないのでなんともしがたい。ビーとかガーとかいいながら,少しだけ身体がビリビリしたりホカホカしたりする。(リハビリとか接骨院の電気治療みたいな感じ。痛みとかはない。輪切りにされてる感は若干感じられた。)うるさいので,後半から音楽が聞こえなくなってからは,頭の中で数字を数えていた。(108の煩悩をカウントアップ・ダウンを繰り返した。時間経過の目安にもなった。)結論,やる前はまったく調べなかったので不安を感じるきっかけすらも無かったわけだが,いざ装置に入ってみるやいなや身動きと視覚と聴覚を奪われて少し不安になってきて,煩悩の数を数えたりするはめになったわけだった。顔の前につける格子状の装置をなくしたり,うるさくなかったりするMRIも開発が進められているらしいので,ぜひ早急に普及して欲しいと思った。まあ,病院で似たような症状ということで知り合った方もMRIを受けたので,「ちょっと怖くありませんでした?」って聞いたら,「なんともなかったよ〜」とおっしゃっていた。感想は人によるらしいので,これから受ける予定の人は自分は平気と信じて安心して欲しい。(ダメになったらしゅこしゅこを握れば止めてくれるはずだし。)2016/12/23 追記少し調べたら,10分の撮影を3セットとかにしてくれる親切な病院もあるらしい。そのあとで,以前MRIは見た目が仰々しいからLEDの照明でおしゃれにリラックスさせるとか,いい感じの音楽で〜とか,騒音を抑えて〜とかの工夫に取り組む企業のニュースをみた記憶が蘇った。「何をばかなことをやっているのか」とか思って笑っていたが,いまはそんなことないと思う。心配とか不安とか恐怖心はなるべく少ない方が絶対に良い。どんな事柄についても言えることかもしれないが,自分が身をもって経験しないと本当の意味で何かを考えたりすることは難しいのだと思う。パラリンピックの選手の出演しているCMとか見ると,これまでとはまるで違う印象を受けることに自分自身でも驚いている。ちなみにあまり関係ないかもしれないが,この前のリオのパラリンピックの閉会式は椎名林檎がプロデュースしていて,ピッチカートファイブの"東京は夜の7時"を浮雲がカバーして歌ってる。閉会式全体の雰囲気が抜群に良いので,まだみていない人はぜひみて欲しいと思った。登場人物全員が信じられないくらい格好良いので。会計のときは会計のときで,病院の受付のお姉さんがカゼ気味らしくて声がでないみたいで,そのうえ病院の方針なのか,みなさんマスクまでしているので,何度か聞き返しては応えづらそうな感じで,"耳が聞こえない男と声が出ない女"のコントみたいなことをした。最後にこっちが「お大事に」と言ったらみなさんの笑った様子が可愛かった。結果は今週でる。何ともないと良いと思うが,無ければ無いでなんで耳が聞こえないのか分からないのも困ったものだとも思う。友達に結婚式に誘われたのと同時に,たまたま見てた漫才のセリフから新郎新婦が座るところが"高砂"っていうことに気が付いた。高砂って謡曲の動画みたらこれもめちゃくちゃ格好良かった。当時のライブっていうか。能みたいだった。っていうか能やん。能。能の動画を見ながらうっすら思い出した記憶の曲が気になった。それからcinemaglamのサディスティックラブっていう曲を思い出すのに1時間くらいかかった。みんな思い出せないあの曲を思い出すときってどうしてるんだろう。