いつも通りの朝の電車、乗車すると運良く座席が一つ空いていた。ここまではいつも通り。



座って出勤できる。



そう確信していた。まだ座ってないけど。

歩いてそこを目指していると背後から、


『バタバタバタバタ!』


猛烈な勢いで迫ってくる足音。この空いてる席を目指してるのかな?でも、その席の前で俺はすでに背中を向けて腰を下ろす大勢に入っている。



まさかね。


うん、まさかだよ。



『バタン!』



「なんだよ!」


両脇で腕組みして寝ていたオジサンの一人が声を上げた。

振り返ると、さっきまで無かったカバンが!?



猛烈な勢いで走ってきたオジサンが座ろうとしていた座席に投げ込まれたようだ。

座るに座れず、走ってきたオジサンを睨むと、軽く手刀を切って平然と俺を押し退けて座った。



「おい!」



俺としたことが、思わず声が出てしまった。

ムカつきながらも我慢して、すぐに降りそうな人の前に立って座席が空くのを待つことにした。



いや〜、久々にムカついた!