包丁余話/辻嘉一(中公文庫)
包丁余話/辻嘉一(中公文庫)
病院の待合室で読んでいた雑誌で、有本葉子さんが辻嘉一さんの別の本を紹介されていたのを見て面白そうだと思ったら、
親切に「辻さんの本は現在殆ど絶版になっている」
との注釈があり、こういう時こそ図書館を活用して借りてきた。
他にも何冊か借りてきたのだが、それらは料理本なので、新聞紙上に連載されていたというコラム的なこの1冊を紹介させていただく。
辻嘉一さんは、料亭『辻留』先代当主で、14歳で料理の道に入られたという方で、
この本では料理や、料理を通して付き合いがあった方のお話が書かれている。
その文章は平易でありながら、品格を感じるもので、私は生前の辻さんを存じ上げないが、
辻さんのお人柄を偲ばせる、とても好感の持てる文章である。
まぁ、その交流のあった方々というのが凄い。
谷崎潤一郎、川端康成、北大路魯山人、吉田茂……とごく一端を書いただけでも
その凄さが分かっていただけるかと思う。
教科書に出てくる人たちの名前がずらずらと出てくるのだ。
教科書でしか知らない人たちの意外な素顔が語られるこの本は、そういった意味でも楽しめると思う。
(余談だが、この本ではじめて知ったが谷崎潤一郎翁は原稿はすべて毛筆で書かれていたそうだ。
理由は、ペンや鉛筆ではその筆音が耳障りだと言うことだそうだ。
現代ではペンや鉛筆どころか、PCのキーボードの音を立てて皆文字を打ち込んでいることを大谷崎はどう思うのだろう)
それはさておき、この辻さんの文章で一番印象深いのは「ほたるいか」について書かれた『惜春の味』内にあるほたるいかの光を
―――悲壮な寂しい光芒、断末魔の苦しみ
と記した事だ。
料理をして、それを食べるということは、食材となるものの命をもらう事だ。
「いただきます」という言葉を考えさせられる文章だと思う。
他にも、年がら年中料理に木の芽を飾ろうとするのは、四季というものを解していない、とか懐石料理、しかも茶懐石に長年携わってきた方ならではの言葉がきらきらと並ぶMarvelousな一冊だった。
ところで辻さん、料理食べることも相当お好きな方だとお見受けした。
太平洋戦争の折、辻さんも招集されてビルマに行かれたそうだが、
その際に召し上がったマンゴーの美味について触れられ、
あれを食べにもう一度行ってみたいとさえおっしゃられている。
やはり食べることが好きな方は、料理をするのもお上手なのだろうか。
超一流の美味、例え辻さんが現役であったとしても、私が食べることはかなわないだろうが。
病院の待合室で読んでいた雑誌で、有本葉子さんが辻嘉一さんの別の本を紹介されていたのを見て面白そうだと思ったら、
親切に「辻さんの本は現在殆ど絶版になっている」
との注釈があり、こういう時こそ図書館を活用して借りてきた。
他にも何冊か借りてきたのだが、それらは料理本なので、新聞紙上に連載されていたというコラム的なこの1冊を紹介させていただく。
辻嘉一さんは、料亭『辻留』先代当主で、14歳で料理の道に入られたという方で、
この本では料理や、料理を通して付き合いがあった方のお話が書かれている。
その文章は平易でありながら、品格を感じるもので、私は生前の辻さんを存じ上げないが、
辻さんのお人柄を偲ばせる、とても好感の持てる文章である。
まぁ、その交流のあった方々というのが凄い。
谷崎潤一郎、川端康成、北大路魯山人、吉田茂……とごく一端を書いただけでも
その凄さが分かっていただけるかと思う。
教科書に出てくる人たちの名前がずらずらと出てくるのだ。
教科書でしか知らない人たちの意外な素顔が語られるこの本は、そういった意味でも楽しめると思う。
(余談だが、この本ではじめて知ったが谷崎潤一郎翁は原稿はすべて毛筆で書かれていたそうだ。
理由は、ペンや鉛筆ではその筆音が耳障りだと言うことだそうだ。
現代ではペンや鉛筆どころか、PCのキーボードの音を立てて皆文字を打ち込んでいることを大谷崎はどう思うのだろう)
それはさておき、この辻さんの文章で一番印象深いのは「ほたるいか」について書かれた『惜春の味』内にあるほたるいかの光を
―――悲壮な寂しい光芒、断末魔の苦しみ
と記した事だ。
料理をして、それを食べるということは、食材となるものの命をもらう事だ。
「いただきます」という言葉を考えさせられる文章だと思う。
他にも、年がら年中料理に木の芽を飾ろうとするのは、四季というものを解していない、とか懐石料理、しかも茶懐石に長年携わってきた方ならではの言葉がきらきらと並ぶMarvelousな一冊だった。
ところで辻さん、料理食べることも相当お好きな方だとお見受けした。
太平洋戦争の折、辻さんも招集されてビルマに行かれたそうだが、
その際に召し上がったマンゴーの美味について触れられ、
あれを食べにもう一度行ってみたいとさえおっしゃられている。
やはり食べることが好きな方は、料理をするのもお上手なのだろうか。
超一流の美味、例え辻さんが現役であったとしても、私が食べることはかなわないだろうが。
