「叱らない子育て」は様々な方が唱えておられますが、NPOバボキッズでも、「叱らない子育て」を基本として子供たちに関わっています。でも、最近「叱らない」に拘り過ぎて望ましくない方向に捉えられている傾向が出ているようで気になり、ブログを書くことにしました。ある施設では、「駄目」という言葉を絶対使わないようにとか、子供が何をしても叱らないという話も聞きます。「どこまで自由にさせて良いか?」という質問も沢山あります。

 

日常生活の中で、子供たちを自由気ままに過ごさせていると、子供たちは基本的に本能のまま自己中心性を持って生きていますので、これは叱りたくなる事柄がたくさん出てくるのは当たり前です。「叱ってはいけない!」と思うとそれが呪縛のようになりお母さんたちにストレスが溜まるのも当たり前です。そこで「どうしたらよいのか?」についてバボキッズの考え方を書いてみます。

 

まず、「叱らない」という事と「望ましくない行動を放置する」事とは別物だと考えています。「叱らない」より、「叱り方に気を付けましょう」とした方が良いのかも知れません。

 

次に、子供を叱るか叱らないかをざっくり2つのグループに分けています。

A:叱らなくてよいグループ

例えば、親の虫の居所が悪い、親にとって不都合だから、親の思う通りにならない、約束を守らない、整理整頓ができない、落ち着きがない、など。

 

B:叱ってよいグループ

例えば、人に迷惑をかける、人の物を盗む、人に暴力を働く、物を大切にしない、人をいじめたり小動物を虐待する、自らの命を粗末にする、など。

 

私たちが思う「叱らない」とは、存在否定をするような言葉を使ったり、必要の無いダメ出しや正な理由の無い理不尽な叱責など、ABどちらのグループにも当てはまる一方的に叱責しやすいものは気を付けようと思っています。

 

子供たちは大人の行動をすべてモデルとして学習しています。大人は、子供たちに、やって良い行動とやってはいけない行動の違いをしっかり教える役割があります。子供たちが大人になった時に周囲の人と円滑な人間関係を築き、本人も気持ちよく生きていく為に、ちゃんと社会に適応できる基本的なモラルを教える事は、大事だと思っています。

 

ですから、Bグループに当てはまる事柄は厳しく行動の制止をかけます。ただし、子供たちの人格を否定したり、自信を無くすような制止の仕方ではなく、号令的な「とまれ!」「ストップ!」「ダメ!」の簡単な言葉だけで止めるか、蹴る足を抑える、たたく手を止める、暴れる体を抑える、など直接行動をとれないように制止をします。余分な否定的言葉がけはしないように気を付けています。その後で、理由をきちんと教えてあげて行動が止まったら、必ず「いい子だね」と認めてあげる言葉がけをしています。

 

Aグループの内容は、子供たちを尊重して気持ちを聴いてあげたり、ゆっくり話をしたり、叱らなくてもうまく誘導する方法を検討して解決するようにしています。親の虫の居所が悪くて、良い時は叱られないが悪い時は叱られるのは子供にとって、たまったものではありませんから、私たちも虫の居所で子供に接しないように気を付けています。私たちの指示に従って欲しい時は強制しないで、どうしてそうしたいのかを子供と対話をして納得して貰ってからにしています。約束を守らない場合は、私たちもできるだけ子供との約束は実行するようにし、どうしても約束を反故しないといけない場合は、ちゃんと謝るようにしています。整理整頓ができない場合は私たちも一緒に整理整頓をしながら褒める言葉がけをするようにしています。時には子供にだらしないと指摘される事もありますが、その時は素直に反省、子供の主張を受け止めるようにしています。勉強が嫌い、苦手意識があるなどの場合、無理強いをしても心を閉ざすだけなので、どうしてどういうところが嫌いなのか苦手なのか、子供の話を聴くようにして、勉強を嫌嫌するのではなく、積極的に取り組めるようになるよう、楽しく褒めながらやっています。

 

子供達は持って生まれた特性があるので、それぞれに教える課題は個別のものですが、共通することは、どの子も愛されたい、大切な存在だと尊重されたい、安心していたいと言うことではないかと思っています。子供達にとって良い親、良い大人とは?子供たちが将来、ひねくれたり、自己否定的になったり、他者と共存できなくなったり、精神を病んだりしないように、子供たちが求めている共通事項を叶えられる程よく躾をすることができる人達なのではないかと思います。

 

但し、程よい躾と言うだけなら簡単に言えますが、これは難しい。完璧な子育ても難しい。私も親として自らの子育てで痛感しています。親も人間、虫の居所や都合もあります。自分のコントロールが効かない事も多々あります。ですから、少しだけでも気を付けるように頭の片隅にあるだけでも構わないかと思っています。少しだけのその思いが子供には通じていきます。

感情的に叱ってしまう事もあるでしょう。その時は、冷静になった時に、「ごめんね」の言葉をかけて子供に許してもらうことではないかと思いますが、どうでしょうか?

 

子供達を怒らせる関わりを出来るだけ減らす・・・子供の我儘を認めてよいのか、認めてはいけないのか・・・この判断基準は、将来社会人になった時、周囲の人にも愛され、良い人間関係を築けるのかどうか、ではないかと思いながら、子供たちと関わっています。

 

これを読んだ皆さまの忌憚のないご意見、戴ければ幸いです。