手紙は夜に書くものではないと
昔、実体験を話してくれた人がいた


その理由を、今頃になって
まざまざと身を持って知る事になろうとは……


クリップ送ったLINEを読み返し
響かない相手に送る内容じゃないなと
軽い自己嫌悪


よく眠れないまま
旦那の帰宅時間が近づいていた


私が今ここで
生きることを止めたなら
帰宅した旦那は
いつもと違う現実を目にし
ようやく人間の心を取り戻してくれるだろうか?


それとも、響かない相手には
何をしても響かないのだろうか?


人間は睡眠負債がたまると
思考が鈍くなるだけでなく
冷静な判断も
きっとできなくなるんだな



そんな思いや考えが
私の中で
ぐるぐると彷徨っていた



もし、私が生きることを止めたなら……


旦那以外の
大切な人達の顔が思い浮かぶ


遺された者は
いくら考えても
決して答えてはくれない相手に
何度も何度も質問する


その度に、愛と悲しみの裏にある
怒り、後悔、葛藤がつきまとう


生きていたら今頃……
想像と共に蘇る思い出


大切に思っていたからこそ……


消えることのない
根深い傷と痛みを抱えながら
遺された者は生きていく


わかっているのに
同じ道を選ぶのか?


ぐるぐる彷徨い
道に迷っても
やっぱり
私には
意図的に誰かを傷つけることは
できない


最終的には
そこに
戻ってくる


人格者でもなければ
善人なワケでもない


これまで
色んな傷を受けてきたから


心から血が流れるほどの
数々の
傷の痛みを知っているから


ただ、それだけ


自慢にもならない
そんな経験は
無いに越したことはない


私が抱えている
こんな思いや考えを
いくら説明しても
今の旦那が
解るとはとても思えない


この先、解る時がくるのかも
分からない


だが、1度は
生涯を共にしようと思った相手だから


わかってくれることを
心のどこかで
願ってしまう


結婚生活を
終える事に決めたとしても……






と、その時LINEの通知音が鳴った


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鉛筆LINE返信
12/04   7:12


今から帰ります

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どうしよう……



眠ったフリをするか
仕事に行く準備をするか
帰ってきたら直ぐに話をするか
心が決まらなかった