呼吸を整えなければ
また過呼吸をぶり返しそうで
旦那に一気に投げ掛けた質問……
「アナタは何故妻ではなく他の女性が
必要だったのですか?」
シミュレーションしていても
実際には、かなりの破壊力で
言葉に出す辛さと耳から聞こえる辛さの
ダブルで心がしめつけられ苦しかったけれど
意地で平静を装った。
「ずっと頭が混乱していて、
しっかり話せるか自信がないです……」
また、これから
何十分もだんまりが続くのかと……ハァ━(-д-;)━ァ...
半ば、げんなりしていたが
今回は数分の沈黙の後
旦那は少しずつ話し始めた。
「Masakiさんが過呼吸になった時に
言ったことなのでMasakiさんは
覚えてないかもしれませんが……
Masakiさんに非がないと言ったのは
不貞の事は勿論ですが
それだけではなく
性格や顔や下劣な物言いですが
体型、体の相性
そういう事もひっくるめて
何も悪いところはないと
伝えたかった思いもあるのです。
だから、Masakiさんではなく他の人がいいとか
好きとかそういうのとは完全に違います 」
「……でも〇〇〇〇さん(旦那の不倫相手)が
自分に対して好意があることは
雰囲気や態度から何となくわかっていて
最低ですが、そこを利用して誘ったらできるかもって
淡い下心があっての行動だった事は事実で認めます。
LINEも削除せずブロックだけにしていたので
何年もずっと関係を続けていたようにとられても
仕方がないですけど、実際に会ったのは数回です。
ブロックする前から
〇〇〇〇さんとずっと長く関係を続けたいとも
何がなんでも頻繁にしたいとか
ガツガツもしてないので元からそういう類の連絡も
数える程しかしてないです……
だから必要というより、
今思い返してみれば
出来心に近かったかと思います。」
「以上ですか?」
「自分の思いを言葉にするのは苦手で
本心からの言葉だと伝えられているか
わかりませんが、思ってることは言いました」
「男性の本能や心理について、
ある程度は理解していますし
アナタ以外にも見境なく手を出す人達や
実際に不倫する人達も
私はこれまで色々見て聞いて知っています。
アナタも同じ人種だったとわかった以上
私がアナタに聞きたいのは
そんな薄っぺらい
表面的な本能の部分ではありません。
不倫の本質は
そんなに単純な事ではない事が多いので
私が聞きたい5W1Hの中でも
敢えて今の2つを真っ先に
アナタに質問しています。
それが、どれ程の意味があるのか?
私にとってどれほど屈辱的な事か?
アナタにわかるはずもありません。
今、これ以上掘り下げてみても
無意味なので、止めておきます。
先程の件と併せて、
しっかり目を見開いて
本当の自分の心を探ってみてください。」
「はい…………」
具体的に
精神的なことでも肉体的なことでもいいから
私の〇〇が嫌いだったからとか
結婚生活に辟易していたからとか
何かしら理由をはっきり言ってくれた方が
断然良かった。
そして、この時の私は
これから長く続く暗闇の入り口に
自分から足を踏み入れた事に
まだ気付いていなかった……