治療総括・2 | 精巣腫瘍治療記+α

精巣腫瘍治療記+α

2009年末、21歳で精巣腫瘍に罹患。一度は転移なしとなったものの翌年再発し5月から化学療法。患者であると同時に薬学生でもあるので、患者側と医療側双方の視点でこの病気と向き合っていければと思います。また自分の病気とは関係ない勉強、研究、趣味の話もちらほら。

今日の午後から学校(研究室)に復帰しました。
本当は10時までに登校しないといけないんだけど、退院翌日ということで今日は午後から。
明日からは10時までに登校します。
ただ、しばらくは実験量も少なめ、研究室で過ごす時間も短めにするつもりです。
コアタイム、つまり最低限研究室にいないといけない時間帯は10時-18時なのですが、
普通は18時になったら即帰る、なんて人はいません。
大体の人が20時とか、遅い人は日付が変わるまで研究室にいます。
もちろんだらだらしているわけではなくて、やるべきことがあるから残っているわけですが、
自分はしばらく実験することがあまり多くない(というか頼んで少なくしてもらう)ので、
残っている方に対してちょっと申し訳ない気持ちはありますが、今日は18時きっかりに帰りました。
しばらくはそのスタイルで生活しようと思います。


「治療総括・1」の最後で「がん患者に完治はない」と書きました。
医学的にどうなのかは良く分からないけど、少なくとも一患者の心情として、
再発の可能性がわずかでもある以上は完治とは言えない。言う気にならない。
自分の5年生存率は、様々な統計があるので一概には言えませんが、おおむね90%です。
もちろんこれは組織型・病期・年齢などによって異なるので、別の数え方をすれば値は変わるし、
そもそも例数の多い病気ではないので、同じ数え方をしても別の統計では別の数字が出るでしょう。
でも、まあ大体90%くらい。
この数字はがんとしては異例なものだと思います。高すぎる。
世の中には、残念ながら5年生存率は限りなくゼロに近い、そういうがんもあります。
そういうことを考えると、90%というのはかなり良い成績と言えます。
客観的には。
だけど、一旦患者になってしまえば、なかなかそうは思えないんですよね。
90という数字よりも、残りの10%の方に目が行ってしまう。
決して十分な数字ではないんです。90%という確率も、5年という長さも。
5年生存率が90%なら、10年生きられる確率は?20年は?
この生存率の数字は、確かに比較的高いし、だから患者には希望ではあるけれど、でも十分ではない。

この病気に限った話ではないし、というか病気以外にも言えることなのかもしれないけど、
統計とか確率というのは、当事者には重くのしかかってきます。
客観的に見た解釈とはまた全然違う姿を数字は見せます。
それを気にしすぎだと言ったり、理詰めで解釈することは簡単ですが、
どうか、当事者の目線に立って数字を捉えることもして頂きたいと思います。