137 「病 が語る日本史」酒井シヅ
講談社 332頁¥1050 2008.8.7 初版第1刷発行
[目次]
第1部病の記録
1.骨や遺 物が語る病
2.古代人 の病
3.疫病と 天皇
4.光明皇 后と施療
5.糖尿病 と藤原一族
6.怨霊と 物の怪
7.マラリ ア(おこり)の蔓延
8.寄生虫 との長いつきあい
第2部時代を映す病
1.ガンと 天下統一
2.江戸時 代に多い眼病
3.万病の もと風邪
4.不当に 差別されたらい・ハンセン病
5.脚気論 争
6.コレラ の恐怖
7.天然痘 と種痘
8.梅毒の 経路は?
9.最初の 職業病
10.長い歴史をもつ赤痢
11.かつては「命定め」の麻疹
第3部変わる病気像
1.明治時 代のガン患者
2.死病と して恐れられた結核
3.ネズミ 買い上げーペスト流行
4.事件簿 とエピソード
5.消えた 病気
6.新しく 現れた病気
7.平均寿 命と死生観
あとがき
参考文献
[内容]
この本は、「病気の文化史」ともいえる本です。縄 文・彌生時代から記紀の
時代、奈良・平安・鎌倉・室町・江戸時代、さらに明治以降と日本史の流れを丁
寧に追って、時代時代の病の発生をた くさんの具体例をあげて説いています。
道長の糖尿病、藤原定家のおこり(マラリア)、一条天皇や九条頼経の赤痢、西
郷隆盛のフィラリア 症、武田信玄や徳川家康の胃ガン、鑑真の眼病、徳川家光
や家茂の脚気、岩倉具視や中江兆民の食道ガンなど、歴史上の人物が命を取られ
た病 を同定しているのが興味深い。
[感想]
クスリと予防注射を受け付けない身体なので、病気の 本はメッタに読まない
のですが、日本史と病の相関が面白くて、本屋で立ち読みしたあと、すぐに買っ
て帰りました。エピソード満載です。
[頁のかけら]
○ 縄文人の骨から発育不全の人骨が見つかることがあ る。宇都宮大谷地洞窟か
ら四歳くらいの幼児のほかに、女性の成人二体と生後数カ月の乳児が一体、合計
五体が発掘された。(中略) 小児の下肢は左右で発育が違っていた。小方氏は、
この子は脊髄性小児麻痺(ポリオ)であったと診断している。(中略)ポリオの骨
が一家族の中にあったということは、縄文社会で身体障害児が親の保護のもとで
生活していたことを物語る。彼 らの生活は身障者を養う余裕があったといえる。
〇 痘瘡(とうそう)の原発地や、いつから始まった か、その時期はわからな
い。しかし、二千年前のインドの仏典に痘瘡の記事がある。また紀元前1157年に
死んだエジプトのミイラの顔に痘瘡が残る。
〇 (岩倉具視公)の病勢 は急速に悪化して、まもなく食べ物がまったく食道を
通らなくなり、ほとんど飢餓の状態になり、からだはやせ衰えるままにおかれて
いた。(中略)それから数週間後、いよいよ最後の時が近づいてきた。ベルツが岩
倉公にそれを告げると、井上参議を呼び寄せるように命 じた。岩倉公は参議
に、声がかれているから、そば近くにひざまずくように促した。ベルツは反対側
の数歩離れたところにすわり、いつでも注 射ができる用意をしていた。終始、
寸刻を死と戦いながら、岩倉公は信ずる者の耳に遺言を一言、一言、ささやきつ
つ、あえぎながら伝えて、 まもなく息絶えた。
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ランダム読書日記
by 行道はるか YUKUMICHI Haruka (2015.1.27. No.137)
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