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Mr.ICのCard Payment & System Labs

カードのあれこれ、決済の世界のあれこれ。
語りたいままに語ります。不定期更新ですが。
元カード会社システム企画や銀行のカードの経験から業界を俯瞰します!

皆様、こんばんは。

またまた、しばらくこちらへの掲載をお休みしておりました。

 

今日はふと、思うところがあったので、それをネタにしてみたいかな?と思います。

 

グローバルな視点でこの世界を見てみると、明らかにキャッシュレスな社会は進んでいるように思いますが。

確かに業界としては、キャッシュレスとかデジタル化という感じで進んでいることは否定はしません。

 

我が国、日本を見ると相変わらず「現金」という原点の決済がまだまだ大きな壁として業界では立ちはだかっていることは間違いありません。

これには、賛否があるかと思います。

 

キャッシュレスのインフラは確かに今、成長しようとしている分野ではありますが、多様化し過ぎていることも確かですね。

「専門家」を名乗るサイトを見ると、「今時カードも使えないなんて・・・」と持論を展開している方もおられます。

大概そういう方は、スマホ決済をしている業者さんにしたら、ソリューションとしては解決できる!としております。

確かに、加盟店手数料もカード会社との直接加盟店契約より安いし、指定された入金方法を採用すれば、加盟店精算も早いことも確か。

お店にはバラ色が如く語られております。

 

と、その前に。

日本の商慣習を見ながら考えて見ましょう。

昔からある信用支払い、ツケとか時系列でのまとめての清算というものがあります。

特にお店さんと卸業者さんはそういったお取り引きがあるかな?と。

また、そうでない場合には、商品を仕入れて販売しますよね?

そのお金、どうされているか?多くは金融機関さんから融資を受けたり、自前の持つ資金を使ってのことですね。

 

ここで一区切り。

お店には、必ずお取り引きをしている金融機関があります。

資金のアドバイスをしたり、自分達の商品を使ってもらうために宣伝も兼ねて営業マンさんが、大抵いるはずです。

お店さんも、開業から、仕入れから、何かとメインバンクさんとのお付き合いの中で動いていることが普通だと思います。

特に資金を提供して欲しい時、即答で、ハイ!とお金を渡すことありますか?ないケースが多いと思います。金利は*%で、返済計画は、とかあって、それがお店さんにしたら安くしたい、少しずつ無理のない返済をしたい、となります。

そうすると、営業マンですから、当然融通を利かせる提案をします。

うちの関連会社のリース使いませんか?とかカード決済を入れませんか?と。

つまり、お店にも営業マンにも「飴と鞭」がある訳です。

その駆け引きがお客様の見えないところで、繰り広げられているのは言うまでもないでしょう。

 

さて、そうなると、カード決済の話にしましょう、当然営業マンさんは、自分の金融機関の関連会社とか、最近だと金融機関さんがアクワイアラになってるケースがありますが、そこと契約を進められますし、加盟店手数料もそこの基準で決まります。

決定の主導権はお店にはないですよね、としたら今流行りのスマホ決済にしたいとかいえば、金融機関さんとしたら、儲けが減りますから当然態度は硬化します。

手数料が安い、導入も簡単とはいえ、メインバンクにはメリットが薄い、最悪はない、となると、融資などの条件の垣根は低くなりません。

そうなると、必要な資金を調達することの条件もお店には悪くなります。

しがらみのないお店さんなら問題はないですけど。

それで、商売は後ろ盾の金融機関さんとともにWin-Winになれるか?ということです。

答えは言わずもがな、ですよね。

 

上手い商売人の方は「ピン!」と来ます。

営業マンの提案を受け入れるけど、カードは手数料の安いところを使おうとね。

または、カード使えます、という「アクセプタンスマーク」と呼びますが、それを見せないようにする、聞かれた時だけ対応みたいなことも考えるかもしれませんね。

そうすれば、手数料とかが当然低い水準で商売できるし、まるまる手元に残る現金が当然嬉しいのは、商売されてれば、そう思いますよね。

 

日本が愚かではなくて、お店の利幅を大きくするための選択肢なのだ、と思います。

 

これは商売側からみた論理。

 

一方、お客様の論理。

日本に根強く残る「私も」好きでない論理、カードだと使いすぎる、カード破産とかあるしね、という負のイメージが強すぎる。

一時期、特に流通さんとのカードは、割引カード、会員カード、お得意様カードと称してあまり「クレジット」ということは毛嫌いされないように、説明することを避けてた。

目ざとい人は、「VISAとかJCBとかついてるけど・・・?」と言う。

説明員は、実績が欲しいので、「あぁ、一応付いてますけど、無料なので、使わなくてもいいっすよ」みたいにはぐらかしていたこともあった。

で、申し込みをしてもらうと、必ずぶつかる壁。

法定項目の申告と暗証番号。

お客様からしたら、一番人に聞かれたくもないし、言いたくもない項目。

年収、借り入れ、融資(キャッシングの可能額)。ここで嫌になりキャンセルというのも実は珍しいことではない。特に自ら入会したいという方でない場合。

そして、暗証番号。ここでお客様「何に使うの?」と問う。

磁気カードの時は大変でしたが、今は多くのカードはICカードなので、ご本人様確認用です、といえば、事なきを得られる訳ですが、ひと昔前は、「キャッシング」ということは言わずに「テレホンサービスのご本人様確認用です」と答えてたのがとても多いことだと、思います。

なので、クレジットカードのICカード化で一番の曲者は、実は暗証番号でした。

そんなやり取りでしたから、当然覚えてないか?誕生日などの設定禁止の番号がとにかく多い!無理やり変更させられたり、それも覚えられなくて、暗証番号の変更でご面倒をかけたり。

 

なので、クレジットカードは、便利なのは理解してるけど、普段使いという認識は低い訳で、そうなると、一番使い慣れてるのは、「現金」と行き着く訳です。

 

話が、広がりすぎてますが。

そのために、なかなかクレジットカードは現金の牙城を崩すことが難しいということが、この国特有の現象でした。

 

そこに割って入って来たものが、います。

電子マネー、ブランドデビット、ブランドプリペイドです。

電子マネーは、特に流通さんのと交通系さんがかなり頻度が高い利用でしょう。

いつも行くスーパーで、現金感覚で使えて、足りないと、現金チャージできて、割引やポイントボーナスとかありますから。

また、普段乗る鉄道のカードで買い物もできるとなれば、当然利用は拡大します。

どちらも加盟店数は増えておりますが、クレジットカードのようには追いつきません。

ブランドさんは、ですから銀行口座から「原則」即時引き落としのデビット、あらかじめチャージした分が利用の上限となるプリペイドを前面に出して来た訳です。仕組みの基本は、クレジットで構築されてますから、複雑になることもなく。

かつ、デビットは、預金口座の中でしか使えない、プリペイドはチャージした分だけ、というわかりやすさと使いすぎを防止できる、ということで、今、広がりを見せている訳です。

 

しかし、お客様にわかりづらいのは、デビットとプリペイドを少額で使うのは、という疑問です。もちろん、使えるのですが、ブランドのアクセプタンスマークを見るとついあんまり少額すぎると失礼かな?という心理で利用を現金にシフトしてしまう。そんなこともあります。

 

そういう意味で、金融サービスに日本人は慣れていないことが、現金への傾倒の一番の要因かな?と思うのです。

子供さんの成長とともにお金に関する知識を習得させること、正しい使い方と間違えるとどうなる?ということさえ、正しくステップを踏めば、金融サービスに関する教育も正しくできるでしょうし、それが、多様な決済手段の正しい選択をのできる消費者に育てる素地だと思います。

 

それが、社会的にうまく循環した時にお支払いの構造もきっと変わるかな?と思いますね。

もちろん、大人のかたでも、賢く、お得に、上手にお金とお付き合いできるかと、思いますので、先入観だけでなくて、少しずつかじってみてはいかがでしょうか?

 

2017.10.18