学校。昼休み。廊下。
女子は恥ずかしそうに言いました。
「これ、貰ってくれますか・・・?」
男子は戸惑いながら、
「これって・・・」
女子は男子に箱を渡すと、すぐ走っていなくなりました。
男子はその後ろ姿に向かって叫びました。
「あっ、ありがとー」
そして結んであったリボンを解き、箱を開けました。
箱の中には、黒茶色の固形物が一つ入っていました。そうです、チョコです、チョコレートです。拳一つ分ぐらいの大きな球体の形をしていました。
「こんな大きなチョコ初めて見たよ・・・」
思わず顔がにやけて、廊下に貼ってあったポスターの中のおばさんに言ってしまいました。
当然返事はしてくれませんでしたが男子の独り言は続きました。
「作るの大変だったんじゃない? 甘いもの?うんうん全然苦手じゃないよ」
にやけ顔の男子は、その球体のチョコを食べようと手に取りました。
口に入れようとしたその時ー
カチ・・・カチ・・・カチ・・・
男子の耳に、なにか時計の針が進むような音が聞こえてきました。
周りを見渡しても時計は見当たらなく、どうやらその音はチョコから聞こえてくるようでした。
一体これはどういう事だ。
少し考えた後、男子はポスターおばさんに向かって叫びました。
「最近のチョコは、耳でも楽しませてくれるのかー!」
もう、にやにやが止まりません。
「すごい!」
「こんなの初めてだよ」
「作るの大変だったんじゃない?」
「大変だったよ・・・」
理科室に戻ったその女子は、半田ごてと数種類の薬品を片付けながら呟きました。
その顔もまた、にやけていました。
おわり