旅から話が逸れて恐縮だが、ジョージアのあるコーカサス地方についての話をする。旅先の政治や国際情勢、歴史を調べるのが好きなのだ。知ったらそれを語りたくなるのだ。

 

 

 南コーカサス周遊の順番は?~各国の複雑な関係

 

「南コーカサス3国」とくくられるジョージア、アゼルバイジャン、アルメニアはいずれも旧ソ連構成国で、1991年のソ連崩壊により独立を果たした。


ロシアを含めた4国の関係は非常に複雑だ。周遊旅行をするにも工夫がいる。
アゼルバイジャンとアルメニアは長年敵対しており、つい1年前も軍事衝突があったばかり。国境を接しながらも両国を直接行き来できない。また、アルメニア入国記録があるとアゼルバイジャンの入国を拒まれ、逆の場合でも入管で厳しく詰問される、という話も聞く。

 

アルメニアについてさらに言うと、西の隣国トルコも仲が悪くて国境は閉鎖されていて、南の隣国イランは現在渡航中止勧告が出ている。なかなか制限が多い。

 


 

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Jeroencommons, User:Jeroen - 次の画像を基にした投稿者自身による著作物Caucasus-political en.svg, CC 表示 3.0, リンクによる)

 

 

 

よけいなトラブルを避けて3国周遊しようとすると、必然的に順番はアゼルバイジャン(A)→ジョージア(B)→アルメニア(C)となる。A-B間、B-C間は直行便があり、陸路でも国境越えが可能。ただし陸路でA→Bは行けるがB→Aは現在不可との情報あり。こういうのは刻々と変わる。

 


ちなみにビザに関しては、日本人はジョージアとアルメニアで不要、アゼルバイジャンは空路入国の場合、到着した時に空港で無料で簡単に取得できる。通貨もシステムも変わるので面倒ではあるが、周遊のハードルはそれほど高くなさそう。

 

係争地をのぞけば、治安はよくて都市犯罪も少なく、旅行しやすい印象はある。

ただ、紛争の火種は常にくすぶっている。

一見平和そうなジョージアも、ロシアの介入のもと分離独立を宣言する自称「アブハジア共和国」と南オセチアを抱えている。
旅行したいと思う人は、行ける時に行っておいた方がいい。

 

 

 北コーカサスにはなにがある?

 

さて南コーカサスについて調べるうちに気になってきたのが、北コーカサスはどうなっているか、ということだ。

旅先として注目されるのは南ばかり。そもそも「北」の国がわからない。

 

ということで調べてみた。

 

南と北を隔てているのは、コーカサス山脈だ。

「北コーカサス」にはいくつかの共和国が存在する。すべてロシア連邦の構成国で、共和「国」といっても国家としてはロシアに帰属している。ソ連崩壊時に独立が認められなかったという。なので南コーカサスの国々にとって北の隣「国」は、ロシアとなる。

 

北に属する共和国でよく耳にするのは、紛争絡みでチェチェン共和国と北オセチア共和国。それにダゲスタン共和国もわりとポピュラー(上の地図では「共和国」という表記が抜けている)。

 
 

(ジョージアのウシュグリ村。雪を冠した山の向こうはロシア、の構成国であるカバルダ・バルカル共和国ということだ。山越えを許さないような厳しい表情)

 

 

今回のジョージア旅行中、北西部にあるウシュグリ村に行くバスでロシア人旅行者と一緒になった。彼は村の奥に広がる山並みを指して、「あの山々の向こうはもうロシアだよ」という。

「そうなんですね。チェチェン? 北オセチア? ダゲスタン?」(国境を接しているのがその3つだと思い込んでいた)

「う~んと、そうじゃなくて、※※※※※※だよ」

 

どうしても聞き取れなくて後で調べたら、「カバルダ・バルカル共和国」だった。

ついでに、その西隣がカラチャイ・チェルケス共和国。存在を知らなかった。

 

どの共和国もロシアではあるので、すべて渡航中止勧告が出ている。

ネットで見たところでは、雄大かつ厳しい自然に包まれた美しい土地のようだ。

 

 

このへんの地域のことは、何度か本で読んだりしてるはずなのだが、まったく頭に残ってない。旅行すると、すいすい頭に入る。ということは、この記事を最後まで読んでくださる方はいつも以上に少ないことが予想できてしまう。。。