現在は東京都民ではないので、高みの見物をしてしまった今回の都知事選。
オンラインの世界では石丸伸二さん一色で、彼が出ているYouTubeでは「今回は初めて投票に行きます!」「石丸さんに期日前投票してきました!」という声があふれていた。世の中がついに変わったかのような印象さえ受けたものだ。
結果は残念ながらなのか、予想通りなのか、現職の小池百合子さんが圧勝。ネットの力は確実にあると思うが、2024年7月にはまだ、それ以外の力の方が大きかった。
この結果を受けて自分が肝に銘じないといかんなと思ったのは、自分に届く情報は偏向しているということと、誰かを推すなら、第三者に向けてそれを語っていかなければならないということだ。
(スマホで選挙情報を見るネット民。結果に関わらず、動いた人はみなすごい)
自分に届く情報は偏向しているというのは、ネットではその人の関心や価値観に沿った情報ばかりがどんどん流れてくる、という意味で。
石丸さんを支持する人、あるいは小池さんに批判的な意見を持つ人のX(エックス)やYouTubeには、同じ志向・価値観の投稿が流れてくる。新聞やテレビがいかに別の人を取り上げようと、ネット上ではものすごく盛り上がってるように見えてしまう。
(石丸さんへの批判的見方や、小池さんに賛同する根拠も聞こえにくくなるというリスクも抱えている)
自分が珍しく声をあげたとしても、その声が届く相手もまた、同じ志向・価値観の人。仲間内でわちゃわちゃやってるだけで、そのことにも気づきにくい。
この人がいいよ、すごいよ、ということを広めたければ、その人を応援するコミュニティ内だけではなく、自分のプラットフォームでそれを言っていかないと広がらないということだ。
都内に住む友人で、小池さんとは別の人を推していた人がいる。選挙活動を手伝い、そのことを自身のSNSでも何度も発信していた。きっとそれを見て、無関心や諦めモードだった人が何人かでも、その候補者に注目したのではないか、久しぶりに投票に行く人がいたんじゃないか。それがたとえひとりでも、変革を起こしたと言っていい。
なにかを変えたければ、内省や仲間内の盛り上がりで満足していてはいかん、と自戒した都知事選でした。