ティファニー展と同じ日、午後は銀座に移動して、銀座メゾンエルメスフォーラムで「つかの間の停泊者」展を観ました。
「エコロジー:循環をめぐるダイアローグ」展の第2会期で、フランス、ニュージーランド、日本からの4人のアーティストによる作品が展示されています。
ニコラ・フロックの作品で、左は《La couleur de l’eau(水の色)》の一部。右は「海の始まり」「インヴィジブル」シリーズ。
世界各地の海や河川の水面下の景観を撮っている人で、「自然環境の移ろいの過程において、流れ、消失、再生が果たす本質的な役割りを問い続けている」そう。
オークランド出身のケイト・ニュービーの作品。天井から吊るされているのが《呼んでいる、読んでいる》。揺れるときらきらと美しい音が鳴りますが、揺らしてはいけませんよ。
奥の床に置かれているのが《always always always》。
「協働する複数の手によって生み出される作品は、ささやかな日常の集積や風土を含み、増殖するかのように空間を占拠し、私たちの身体に親密な触覚をもたらします」(ホームページより)
ずらっと並ぶ手は、保良雄の《glacier》。ネパールのアンナプルナ山で見つけた氷が手の上で溶けてゆく様子を撮影した、そう。
この方はテクノロジーや無生物や人間などなどを「縦軸ではなく横軸で捉え、存在を存在として認めることを制作の目的としている」とのこと。
会場に入ると、まず「かっこいい」と思った。エルメスのギャラリーにいる、という高揚感、特別感が大きく影響しているでしょう。この日は総勢5人のアート好きメンバーで訪れたので、わいわい言いながらじっくり楽しめたというのもありそうです。
(誰かと一緒ならこんな楽しみもある)
どの作品も、一見して心が動かされたとは言えません。なにを表現しているのかじっと考え、コンセプトを読んで再度作品と向き合い、哲学しながら鑑賞する。観るというより、読むという感じでしょうか。
それも、ここ(エルメスのギャラリー)にあるのだから、価値のあるものだろう、哲学して読むに値するだろう、といったん受け入れてから、読む。
考えてみれば、「エコロジー:循環をめぐるダイアローグ」というテーマ自体、すんなりと答えが出る問題提起ではない。エルメスの力で注意を引いてもらった、というところです。
会場でもらったチラシに、このなかの作品のひとつがどこかの野原に展示されている写真があった。これはひと目で惹きつけられた。
■エコロジー:循環をめぐるダイアローグ
ダイアローグ2 「つかの間の停泊者」
会期:2024年2月16日~5月31日
会場:銀座メゾンエルメスフォーラム8・9階