プラハ旧市街は、旧市街広場を中心に迷宮のように入り組んだ一帯に、美しい歴史的建築物がこれでもかと並んでいる。
あまりに見どころが多いので、ガイドブックにもよほど特徴的なものしか説明がない。どこで立ち止まっていいかわからない。こうなると、この建物はなんだろう、と確認する気にもならない。
そんなわけで、「ほえ~、すごいなあ」と感心して眺めるだけだったのがほとんど。
わたしには区別がつかないが、建築物はゴシック、ルネッサンス、バロック、キュビズムなど、様々な様式が混在しているそうだ。それだけ長く栄えてきたということでしょうか。
有名なヤン・フス像。こうしたモニュメントも非常に多い。
プラハは14世紀の黄金時代のあと、他国からの占領弾圧が繰り返される、苦難の歴史をたどってきた。
点在するモニュメントには、他国の支配という歴史のなかでのチェコ人の不屈の精神、誇りを表すような伝説が、それぞれにある。
『物語 チェコの歴史』を読むと、その「伝説」は国威発揚のためなどの必要に応じて後付けで作られたものも多そうだ。
そう知るとかえって、この国、街の複雑さや、それだからこそ伝説をつくって心をひとつにし、支配から抜け出そうとした、当時の人たちの苦闘を感じる。
旧市街に隣接したヴァーツラフ広場。
750メートル続く広場というか大通りで、左右にたくさんのお店が並ぶ繁華街。
1968年、ソ連軍を中心とするワルシャワ条約機構の戦車がここに押し寄せ、街は占領された。そのときの様子を撮ったジョゼフ・クーデルカの写真が強く記憶にある。
わたしにとってプラハは、映画や小説で見てきた、ナチスやワルシャワ条約機構に占領、弾圧された暗い時代のイメージが濃い。
そんな記憶をたどりながら、歩き回ったのでした。