ちょっと前ですが、趣味の声楽で習う曲を探していて、すごくおもしろい曲を見つけました。
ラモー作曲、オペラ『優雅なインドの国々』第4幕『アメリカの未開人』から、「平和な森よ」です。
タイトル読んで、おいおいおいおい、差別的じゃないのか、いいのかよ、と思いましたが、曲が気に入ったので調べてみると、そうでもないので安心しました。
まずは曲をご堪能ください。歌が出てくるのは1:55から。
エキゾチックなメロディと踊りにすっかり魅了されました。
ジャン=フィリップ・ラモーは、1683年生まれのフランスが誇る作曲家。
このオペラの初演は1735年。
あらすじはバカらしいほど奇想天外です。
愛の女神と青春の女神にそそのかされた若者が、愛を求めて遠い国に旅立ちます。
第1幕ではトルコへ。第2幕はペルー、3幕はペルシャ、そして終幕はアメリカ。タイトルの「インド」はどうした?! と言いますと、当時の「インド」は遠い国、未知の国の総称みたいな感じだったということです。
それぞれの国で、純粋な愛が権力者や征服者の強欲な愛を打ち負かします。
第4幕でも、札束で先住民の酋長の娘を手に入れようとする征服者たちに対し、酋長の娘は先住民の勇士を選び、部族の人たちとともに「平和な森よ!」と高らかに歌い、踊ります。
「平和な森よ。虚しい欲望に心乱されたりすまい。森の恩恵なくして財産などありえない。
この土地を、穏やかな日々を愉しもう。ほかに何がいるというのか」(おおまかな意訳)
ここが反権力的な精神にマッチするのでしょうか。2019年に上演されたというヒップホップ版がかっこいいです。
私はこの動画でソプラノを歌っているサビーヌ・ドゥヴィエルさんのファンで、彼女の動画を漁っていてこの曲を知りました。気に入って調べてみたら、あらびっくりな古典楽曲でした。
バックコーラス付きの二重唱ですが、ソプラノがソロで歌っている動画もあったので、楽譜を見つけ、フランス語を一生懸命調べてレッスンに持ち込みました。が、音程も難しくて、フランス語、音のとり方、歌う体力、どれもまるで歯が立ちませんでした。いつも思うことですが、それを演じながら動きながら歌うんだから、プロはすごい。
いつか踊りをバックに歌えたらいいですねえ。
おまけ。
冒頭に貼り付けた動画のオペラの、カーテンコールの場面です。最後の、指揮者ウィリアム・クリスティさんの投げキッスがかっこいい。
フランスに拠点をおくバロック音楽専門のオーケストラ、レザール・フロリサンの創設者にして音楽監督、指揮者、チェンバロ奏者というアメリカ出身のクリスティさん。魅力的だ。
御年78歳。まだ現役かな、来日なんてあり得るかな、と思ったら、今年11月に日本で演奏会があるようです。これは行かねば。