チャイコフスキーのオペラ『イオランタ』のアリア、1回目のレッスン。
これまで歌詞のロシア語にばかり気をとられていて、ようやく音に気が向きました。

歌ってみた感想としては、音の流れも、言葉の乗せ方も無理がなくて、さらっと流す分にはとても歌いやすかったです。
曲の雰囲気も、素直な明るさや爽やかさがあります。

 



タイトルの「イオランタ」はお姫様の名前。生まれつき目が見えなくて、それを不憫に思った王様は、彼女が自分の目が見えないことに気づかないよう、注意深く育てています。

この曲は物語の中間あたりで歌われるアリアで、それまで無邪気に幸せに暮らしていたイオランタが、世界が自分の知ってる姿とは違うことに気づきはじめ、でもそれがなんなのかわからず、胸をざわつかせて歌う曲。「なぜ私は今まで知らずにいたの? 真実はなに? 教えて!」と、ときに叫び、ときに不安に揺れる。
青春の目覚めですね。

ふーむ。
52歳にして青春を歌う。
いやしかし、わたしの声は性格と違って明るく軽い方なので、雰囲気的には案外いけるかもしれない。よし。


(この方の声が曲のイメージに合うかな)


素直な曲と言いながら、歌っていてつっかかる箇所がところどころあります。

この曲は8分の12拍子。8分音符(全音符を8分割した長さ)が1小節に12個入った、テンポよく小気味よいリズムを刻む曲です。そのなかにときどき、四分音符という、8分音符の倍の長さの音が出てくる。
倍とは言っても短い8分音符の倍なので、長くはない。ここでつい、気持ちよく伸ばしたくなってしまうのですが、ぐっとこらえないといけない。

また、八分休符という、ほんのちょっとだけ音を止める箇所がところどころ入っていて、ここも、止めるけれども休めない。うっかり休むと次の音がつんのめりそうになります。

気持ちよく伸ばしたり、ゆっくり休んだりはさせてもらえません。これはなんなのだろう?

これは、青春のリズムではないか?!

胸のざわめき、もどかしさ、性急さ、その根源にあるあふれる生命力。
青いんですよ。これからなんですよ。外へ! 外へ! 羽ばたきたがってるんです。
酔いしれてあちこちで長ったらしく声を伸ばしたり、のんびり休んでる場合じゃないんですよ!
ああそうか!

・・・ということにした。
解釈があると歌いやすいのだ。素人考えというか妄想というか、ひとり遊びの世界だ。学ぶほど違う見え方がしてくるかもしれません。それも楽しみです。

肝心の歌う方は、相変わらず音程があやしいので、妄想より歌唱をがんばりましょう。