2月から習う声楽曲は、セルゲイ・ラフマニノフの歌曲『ヴォカリーズ』に決めました。
楽譜も買って、レッスンに備えて譜読みをがんばっています。

「ヴォカリーズ」というのは、歌詞がなく、母音だけで歌う歌唱法のこと。
歌唱法をそのままタイトルにしたこの曲も、「あ~」だけで歌われます。
深い哀愁のこもったとても美しい曲で、好きな歌手が歌うのを聴いたらすごく歌いたくなってしまった。言葉の力を借りられない分、より難しそう。

 

(途中までしかないけど、透明感があって美しい)

と思いつつ譜読みを始めたところ、本当に難しかった。
言葉とか表現とかいう以前に、音が全然取れない。曲はある程度聞き覚えてたつもりでしたが、音を消して楽譜だけを頼りに歌おうとすると、音程がすぐわけわからなくなる。

メロディはさらっと聴く分にはシンプルですが、そのシンプルな短いメロディが微妙に音の高さを変え、リズムを変え、畳みかけるように続いていく。
変化記号も多くて、頭に#が4つ(嬰ハ短調)、そのうえ個別の音符にも#とか♭とかたくさんついてる。
絶対音感がないだけでなく、楽譜を読むのも苦手なわたしには、もはや呪文です。

ダブルシャープをつけるくらいなら、1音上げれば変化記号いらなくない? 
セルゲイ、わざと難しく書いてない…?

 

(円熟……。キリ・テ・カナワのヴォカリーズ)


そんなわたしの予習法はこんな感じ。

まず、楽譜を追いながら歌手が歌うのを何度も何度も聴いて、音符と音程とを一致させる。
ある程度覚えたら、音を消して楽譜を見て歌ってみる。音がわからなくなると、また歌を聴く。これをえんえんと続けます。何百回やったら覚えるんだろう。

セルゲイ、、、もっと素直に哀愁を表現してもいいんだよ…

聴いていても、似たような旋律が続くうえに歌詞がないから、楽譜のどこを歌ってるのかすぐわからなくなっちゃう。

セルゲイ、歌手を嫌っているのか?
いやしかし、彼は知り合いの歌手の意見を取り入れて完成させたという。
あきらかにレベルの問題です。

すばらしい歌い手が歌ってるのを聴くと、これ以外の音はありえないと感じられる。
楽譜が読める人やプロの歌い手は、楽譜を通じてラフマニノフと全然違った会話を交わしてるのでしょう。

歌うことの方がよっぽど難しいのに、その手前でこんなに手こずっています。
週末の初レッスンまでにもうちょっとセルゲイに近づけるよう、明日も譜読みに励みます。

 

 

(もうひとつ。この人の歌を聴いてると、すごくリアルな、大人の女の哀しみを感じる。そういう映画見てるみたいに)