近々、現代美術館に「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展を見に行くので、映画で予習です。
2012年から15年までディオールのデザイナーを務めたラフ・シモンズの、初のパリ・コレまでの8週間を追ったドキュメンタリー。
彼がディオールのアトリエで大勢のスタッフと初対面するところから始まる。
もう、彼の緊張感がすごく伝わってくる。世界に冠たる老舗ブランドに乗り込んで、ベテランスタッフたちを統率して、世界中が注目するなかで巨額の費用をかけたコレクションを成功させる責を負うのですもの。
へ~と思ったのがデザインの作り方。画を描くのではなく、コンセプトを伝え、それをスタッフがデザイン画に起こし、話し合いながら形を完成させていく。
デザイナーというのは常にスケッチブックを持ち歩いてデザイン画を鉛筆でしゃっしゃと描いてるイメージがあったので(マンガ『デザイナー』の影響です)、驚きでした。
ディオールの伝統と、自身のスタイルと、新しさとを融合させていくプロセスも、興味深いものでした。
制作過程では、どちらかというとお針子さんに感情移入してしまって、デザイナーの無理難題に振り回されるのはごめんだな、と思ってしまう。
ですが、狭いアトリエを離れ、世界中のセレブやメディアにひとり向かう彼を見ると、彼の肩にかかる重圧のすさまじさが伝わってくる。妥協していたら成功はないのだ。
無事に本番をむかえ感極まるラフと、「やれやれ、今回もなんとかできたわね」とほっと息つく職人たちの表情が対照的。
そうしてできたコレクションは、うっとりする美しさ。優雅で夢のようなドレスは、なんて泥臭く編まれているのでしょう。不思議なものです。
コレクションは称賛を集めてましたが、経済的にも成功を収めたのでしょうか。そこが気になる。
週末のディオール展に、ラフの作ったドレスがあるはかわかりませんが、ますます楽しみになりました。