鏡よ、鏡、教えておくれ。本当の私は、どこにいるの?
「本当の自分って、どんな自分だろう?」
ふとした瞬間に、そんな問いが心を
よぎることはありませんか?
たとえば、朝の通勤電車に
揺られながら、
窓に映る自分の顔を見たとき。
あるいは、仕事で完璧なプレゼンを終え、
同僚からの賞賛を浴びている
最中にもかかわらず、心のどこかが、
まるで他人事のように冷めているのを
感じたとき。
わたしにも、そんな経験があります。
カウンセラーとして独立したばかりの頃、
わたしは「頼れる専門家」という
役割を演じることに必死でした。
どんな相談にも動じず、常に穏やかで、
的確なアドバイスをする。
そんな理想のカウンセラー像を
自分に課し、毎日、鎧を着込むように
その役を演じていたのです。
周りからは
「すごいですね」
「先生のおかげです」
と感謝の言葉をいただくことも増えました。
しかし、一人でいる時間が増えるほど、
心の中にあるのは、
相談者からネガティブな評価を
もらわないようにする自己防衛のための
恐怖心。
「これは、本当にわたしの人生なのだろうか?」
「わたしが本当にやりたかったことは、
これだったのだろうか?」
そんな風に、演じている自分と、
心の奥でささやく本当の自分の声との間に、
どんどん溝が深まっていくのを感じていました。
もし、あなたも同じように、日々の役割の中で
「本当の自分」を見失いそうになっているの
なら。
あるいは、「最高の自分」という言葉が、
あまりにも遠い世界の話に聞こえるのなら。
どうか、お好きな飲み物でも用意して、
リラックスしながら、
この記事を読み進めてみてください。
この記事でお伝えするのは、
難しい理論や厳しいトレーニングではありません。
たった数個の「魔法の質問」です。
その質問は、間違いなく、
あなたの心の奥深くに眠る、
本当のあなた自身と出会うための、
優しくて力強いコンパスになるはずです!
さぁ、一緒に、
最高の自分を見つける旅に出かけて
みましょう。
いつからだろう?「本当の自分」が、わからなくなったのは
私たちは、人生という舞台の上で、
実にたくさんの役割を演じています。
家庭では「優しい親」や
「頼れるパートナー」。
職場では「有能な部下」や
「責任感の強い上司」。
友人関係の中では
「聞き上手な友人」や
「ムードメーカー」。
一つひとつの役割を
一生懸命にこなすうちに、
いつしか私たちは、周りの期待に
応えることを最優先するようになります。
「こうあるべき」「こうしなければならない」
という見えないルールに自分を合わせ、
感情に蓋をし、本音を飲み込むことが
当たり前になっていくのです。
特に、SNSを開けば、きらびやかな成功や、
完璧に見えるライフスタイルが溢れています。
「みんなは、あんなに輝いているのに、
それに比べて自分は……」
そんな風に、他人という鏡に自分を映しては、
足りない部分ばかりを探し、落ち込んでしまう。
自分らしさという原石を磨くことよりも、
誰かと同じような形になろうと
自分を削ってしまう。
その結果、何が起きるのでしょうか?
目標を達成しても、なぜか心が満たされない。
褒められても、素直に喜べない。
何が好きで、何が嫌いなのか、
自分のことなのに、よくわからない。
まるで、自分の人生の主役であるはずなのに、
誰かが書いた脚本を演じている脇役のような感覚。
そんな無力感や空虚感が、
心を静かに蝕んでいくのです。
でも、どうか安心してください。
それは、あなたが弱いからでも、
ダメだからでもありません。
ただ、少しだけ、あなた自身の心の声を聴く方法を
忘れてしまっているだけなのです。
答えは、あなたの中に。魔法の質問という名の「心のコンパス」
失われた「本当の自分」や
「最高の自分」は、どこか遠い
場所にあるわけではありません。
答えは、いつだって、あなた自身の
心の中にあります。
ただ、日々の喧騒や、たくさんの
「やるべきこと」に埋もれて、
その声が聞こえにくくなっている
だけなのです。
では、どうすれば、その声に
気づくことができるのでしょうか?
そのための最もシンプルで、
それでいて最もパワフルな道具が
「質問」です。
心理学の世界では、質問が持つ力に
ついて多くの研究がなされています。
たとえば、解決志向アプローチという
心理療法では、問題の原因を探るの
ではなく、
「どうなりたいか?」
「そのために何ができるか?」
といった
未来に向けた質問を投げかけることで、
その人自身が持っている力や可能性を
引き出していきます。
質問は、私たちの意識の懐中電灯の
ようなものです。
どこに光を当てるかで、見えるものが
全く変わってきます。
「何がダメなんだろう?」と自分を
責める質問をすれば、欠点や過去の
失敗ばかりが見えてくるでしょう。
しかし、
「どうすれば、もっと心が喜ぶだろう?」
と問いかければ、今まで
気づかなかった可能性や、小さな希望の
光が見えてくるのです。
この記事でご紹介する「魔法の質問」は、
あなたを責めたり、追い詰めたりする
ものでは決してありません。
それは、固く閉ざされたあなたの心の
扉を、優しくノックするようなもの。
あなた自身が、あなたの一番の理解者と
なり、最高の味方になるための
「心のコンパス」なのです。
さぁ、準備はいいですか?
一緒に、その扉を開けてみましょう。
さぁ、冒険の始まり。最高の自分に出会う3つの魔法の質問
ここでは、あなたの心を
深く探求するための、3つの
魔法の質問をご紹介します。
大切なのは、完璧な答えを
出そうとしないこと。
頭で考えすぎず、心で感じる
ことを大切にしてください。
できれば、静かな場所で、
お気に入りのノートとペンを
用意して、書き出しながら
取り組んでみるのが
おすすめです。
魔法の質問1:
「もし、誰にも遠慮しなくて
いいとしたら、本当は
何がしたい?」
もし、お金の心配も、時間の制約も、
周りの人の目も、一切気にしなくていい
としたら。
「そんなこと言っても、無理に
決まっている」という
心のブレーキを、ほんの少しだけ外して、
自由に心を羽ばたかせてみてください。
小さなことで構いません。
「平日の昼間から、映画を観て、
カフェでぼーっとしたい」
壮大なことでも構いません。
「世界中を旅しながら、写真を
撮って暮らしたい」
誰かに笑われそうなことでも
構いません。
「一日中、好きなアニメを観て、
ゴロゴロしていたい」
この質問の目的は、あなたが
どれだけ「他人の価値観」や
「社会の常識」に合わせて
生きてきたかに気づき、
自分の純粋な「好き」や
「心地よい」という感覚を
取り戻すことです。
カリフォルニア大学の研究では、
自分の本当の価値観(内的動機)に
基づいて行動している人ほど、
幸福度や人生の満足度が高いことが
示されています。
まずは、誰のためでもない、
あなた自身の「やりたい」という
小さな炎を見つけてあげることから
始めましょう。
魔法の質問2:「人生で一番
『心が震えた』瞬間は、どんな時
だった?」
あなたのこれまでの人生で、喜び、
感動、達成感、あるいは悔しさでも
構いません。
理屈抜きに、心が大きく揺さぶられた
瞬間を思い出してみてください。
部活動の最後の試合で、
仲間と抱き合って泣いたとき
初めて一人で海外旅行に行き、
美しい夕日を眺めたとき
我が子が生まれた瞬間、
その温かさに涙が溢れたとき
必死で勉強して、憧れの学校に
合格したとき
そのとき、あなたは何を感じて
いましたか?
誰と一緒にいましたか?
どんな状況でしたか?
その「心が震えた」経験の中には、
あなたが人生で本当に大切にしている
価値観のヒントが隠されています。
「仲間との絆」「自由な挑戦」
「家族の愛」「成長する喜び」……。
あなたが最高の自分として輝くとき、
その価値観が満たされていることが
多いのです。
過去の輝かしい瞬間は、未来を照らす
ための道しるべになります。
魔法の質問3:「10年後の
最高の自分から、今のあなたへ。
どんな言葉をかけてくれる?」
少し未来へ、想像の旅に
出てみましょう。
10年後、あなたは理想の人生を
生きています。
心から満たされ、自信に満ち溢れ、
周りの人からも愛されている。
そんな「最高のあなた」が、今、悩んだり
迷ったりしているあなたの隣に座って、
優しい眼差しで語りかけてくれます。
その人は、今のあなたに、どんな言葉を
かけてくれるでしょうか?
「大丈夫、そのままでいいんだよ」
「焦らなくていい。一歩ずつ進んでいこう」
「あなたが本当にやりたいことは、
そっちじゃないでしょう?」
UCLAのハル・ハーシュフィールド教授の
研究によれば、「未来の自分」との
つながりを強く感じる人ほど、現在の行動が
長期的視点に基づいて、より賢明になる
傾向があるそうです。
未来の最高の自分は、あなたのことを
誰よりも理解し、応援してくれる
最強のメンターです。
その声に耳を澄ませてみてください。
きっと、あなたが進むべき道を、
優しく照らしてくれるはずです。
焦らないで、大丈夫。
あなたのペースが、
最高のペース
これらの質問に取り組んでみて、
いかがでしたか?
もしかしたら、スラスラと答えが
浮かんできた方もいるかも
しれません。
一方で、「何も思い浮かばない…」と、
少し焦りを感じている方もいるかも
しれませんね。
でも、どうか安心してください。
これはテストではありませんから、
正解も不正解もありません。
大切なのは、答えを出すことそのもの
よりも、「自分に問いかける」という
時間を、自分自身にプレゼントして
あげた、ということです。
答えがすぐに見つからなくても、
大丈夫。
質問という名の種を心に蒔いたことで、
あなたの無意識は、その答えを
探し始めます。
ある日、お風呂に入っているときや、
散歩をしているときに、ふっと答えが
降りてくるかもしれません。
この旅は、誰かと競争するものでは
ありません。
あなただけの、あなた自身のペースで
進んでいくものです。
今日見つけた小さな「好き」や
「心地よい」という感覚を、どうか
大切に抱きしめてあげてください。
それが、あなたが「最高の自分」へと
還っていくための、大切で、確かな
一歩なのです。
いつもいただく受講生からの質問、相談者からの質問に答えておきますね
Q1:「質問の答えが、全然浮かんできません。
私には『最高の自分』なんていないのでしょうか?」
A1:そんなことは決して
ありません。
答えが浮かんでこないのは、
あなたが長い間、自分のことよりも
周りのことを優先してきて、心が少し
お疲れなのかもしれません。
まずは、そんな風に頑張ってきた
ご自身を、優しく労ってあげて
くださいね。
「最高の自分」なんて大きなことを
考えなくても大丈夫。
まずは「今日の私が、ほんの少しだけ
ホッとできることは何だろう?」という
小さな質問から始めてみませんか?
温かいお茶を一杯飲む、好きな音楽を
5分だけ聴く。
そんな小さなことで、心は少しずつ
ほぐれていきますよ。
Q2:「やりたいことは浮かんだけど、現実的に無理そうです。
結局、夢物語で終わってしまう気が
して、虚しくなります…」
A2:その気持ち、とてもよく
分かります。
大きな夢が浮かんだときほど、現実と
のギャップにため息が出てしまいます
よね。
この質問の目的は、すぐにそれを
実現することではありません。
まずは、あなたが「何を望んでいるの
か」を、あなた自身が知ってあげる
ことです。
そして、もしその夢に少しでも
近づきたいと感じたら、「今の自分に
できる、赤ちゃんの一歩は何だろう?」と
考えてみてください。
たとえば「世界一周旅行」が夢なら、
「行きたい国の情報を、5分だけネットで
見てみる」とか。
その小さな一歩が、夢を現実に変える
ための、大きなエネルギーになるんです
よ。
Q3:「家族や仕事のことを考えると、
自分のことばかり考えてはいけない
気がして、罪悪感を感じます…」
A3:ご自身のことを大切に思うことに、
罪悪感を感じる必要は全く
ありませんよ。
むしろ、逆なんです。
心理学でよく言われるように、私たちは
「空っぽのコップから、誰かに水を注いで
あげることはできない」のです。
あなたがあなた自身の心を満し、最高の
自分でいることこそが、周りの大切な人たちを
照らす、一番の光になります。
あなたが心から笑っていれば、その幸せな
エネルギーは、自然と家族や職場にも
伝わっていきます。
自分を大切にすることは、巡り巡って、
周りの人をも大切にすることに繋がって
いるんですよ。
まとめ
最高の自分は、どこか遠い未来で、必死に
努力して手に入れるものではありません。
それは、まるで、曇り空の
向こうに、いつも太陽が
輝いているように、あなたの
心の中に、ずっと存在し続けて
いるものです。
今回ご紹介した「魔法の質問」は、
あなたの心を覆っている雲を、
一枚一枚、優しく取り払っていく
ための、魔法の呪文のようなものです。
「もし、誰にも遠慮しなくて
いいとしたら?」
「心が震えた瞬間は?」
「10年後の自分なら、なんて言う?」
これらの問いを、時々、
あなた自身に投げかけて
あげてください。
そうして、心の奥深くから
聞こえてくる、か細いけれど、
温かい声に、耳を澄ませて
みてください。
それが、本当のあなたの声です。
最高のあなたへと続く、
道しるべです。
あなたの人生という物語が、
今日この瞬間から、もっと
あなたらしく、自由に、美しく
輝き始めますように。
あなたが、あなたで在ることを、
心から楽しめますように。
いつでも、応援しています。
神戸より愛を込めて。
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