こんにちは、神戸です。
いつもご覧いただきありがとうございます。


今日は、「傾聴」と「雑談」は傍目から見れば

似たようなやり取りにも見えますが、

実はまったく目的も効果も違うんですよ、

というテーマでお話ししますね。

 

お好きな飲み物でも用意して、

一息つきながら読み進めていただけたら

嬉しいです。

 

よく、「相手と楽しくおしゃべりができているから、

わたしは傾聴ができている」とか、

 

「雑談にも傾聴にも同じコミュニケーションスキルを

使うんじゃないの?」という声を耳にします。


でも実際は、この2つのアプローチは

まったく違う角度から成り立っており、

また得られる効果もまったく違うんですよ。


もちろん、雑談もとても楽しくて大事な時間ですが、

それだけでは相手の本当の思いを

汲み取れないこともしばしば。

 

特に、カウンセリングや家族の相談、

50代を過ぎて身近に親しい人が

いなくなってしまったという方への寄り添いなど、

「心の奥」を扱う領域では、

雑談の盛り上がりと傾聴の質は

イコールにはならないんですね。

 

そこで今回は、

「何が雑談で、何が傾聴なのか」

をあらためて整理し、

その違いとそれぞれのメリットをお伝えします。

 

お仕事を頑張るあまり、日常を見失いがちな方や、

家事・育児に追われて心が落ち着かない方、

あるいは50代以上で人の温もりを求めている方にこそ、

知っていただきたい内容です。

 

もしあなたが、

「相手の話を聴いているつもりだけど、何だかしっくりこない……」

「家族や職場でスッキリとした対話ができていない……」

と感じているなら、ぜひ参考にしてみてくださいね。

 

 

  1. 雑談は「楽しさ」、傾聴は「心の深さ」

 

まず、雑談とは何でしょうか。


一般的に言う「雑談」とは、話題を選ばず、

自由に言葉を交わし合うおしゃべりのこと。

 

「天気がいいですね」

「最近見たドラマ、面白かったよ」など、

特に明確な目的なしで楽しく会話をするのが

雑談の特徴です。

 

軽やかな空気を作り出し、

相手との距離を縮める作用がありますし、

人づきあいの潤滑油としての役割も

大きいですよね。

 

一方の傾聴は、

「相手が今どんな思いを抱えているのか」

を、一歩深く理解しようとする行為です。

 

ただ耳を使うだけでなく、

「相手の内面を受け止める姿勢」

が何よりも大切。

 

たとえ相手が口ベタだったり、

言葉にしにくい感情を持っていたりしても、

そこに寄り添いながら

相手が自分の内面を確認できるよう

サポートするのが、傾聴なのです。

 

雑談が「言葉のキャッチボール」を

軽く楽しむ感じだとしたら、

傾聴はもう少し「心の奥深いところを聴きとる」

ことに主眼を置きます。

 

ここでは、「うまく話題を回す」よりも、

「黙っていても、相手の声にならない声に

耳を澄ます」ほうが重要だったりします。

 

この違いは、

特に対人援助やカウンセリング、

あるいは相談ごとにおいては

決定的と言えます。

 

単なるおしゃべりで終わらせてしまうと、

相手が抱える深刻な問題は顕在化せず、

一方で、ちょっとした雑談だけでは

相手の安心感も得にくい。

 

だからこそ、カウンセリングや家庭内での

丁寧な「聴く」場面では、雑談だけでは

足りない局面が多いのですね。

 

 

  2. 雑談と傾聴を「使い分ける」意識を持とう

 

カギとなるのは、

「雑談」と「傾聴」どちらも大切なんだと

認めたうえで、

それぞれの目的をはっきりと区別することです。


雑談は、相手をリラックスさせたり、

場をあたためたり、

日常のちょっとした気づきを交わし合うための

コミュニケーション。

 

傾聴は、相手の内面をきちんと受け止め、

心の奥の思いに寄り添うための

コミュニケーション。

 

この2つを混同せず、

「いまは雑談をして楽しく過ごすシーンだな」

「いまは相手の本音を聴くシーンだな」

という意識を持てるだけで、

コミュニケーションの質がガラッと変わります。


特に、お仕事で

「お客様からの相談を受ける」立場の方や、

家族内で思春期のお子さんや

高齢の親御さんをケアする立場の方は、

 

雑談モードのまま終わらせてしまわないよう、

一瞬で気持ちを切り替えて

「傾聴モード」に入るスイッチを持つことを

オススメします。

 

 

  3. 「傾聴」と「雑談」を使い分ける実践方法

 

ここでは、雑談と傾聴をうまく「使い分ける」ための

5つのステップを紹介しますね。

 

ステップ1:冒頭は雑談から入る

いきなり傾聴モードで深刻に話し合うと、

相手が心を開く前に固まってしまうことが

あります。

 

まずは「最近どう?」など軽めのトーンで

入り始めましょう。

 

雑談は、お互いの距離感を自然に縮める

大切な準備運動みたいなものなんです。

 

ステップ2:相手の話題が

「深くなりそう」と感じたら、傾聴に切り替える

 

「実は……」「ちょっと相談があるんだけど……」など、

相手が少し踏み込んだ言葉を口にし始めたら、

ここからは“傾聴モード”です。

 

視線を優しく向け、

「そうなんだね、もう少し聞かせてもらってもいい?」

など、相手のペースに合わせる姿勢を示してください。

 

ステップ3:共感的理解を向ける

 

雑談では、お互いに言葉を

やり取りし合うイメージですが、

 

傾聴モードでは、

こちらからベラベラしゃべるのを抑え、

相手の視線、視点、視座にむけて

意識を整えます。

 

周波数調整と言った方がわかりやすいかもですね。

 

ステップ4:沈黙も尊重する

 

雑談のときは、沈黙は気まずい空気が

漂いやすいかもしれません。

 

でも、傾聴の場合は、

相手が考えている時間を大切にしてあげて

ほしいんです。

 

沈黙が訪れても、

焦って話題を振り直す必要はありません。

 

相手が心の中で整理している可能性があるので、

ゆっくり待ちましょう。

 

ステップ5:最後に相手の気持ちを要約してみる

 

「つまり、〇〇って感じだった・・・?」

内容とともに感情を要約して返すと、

相手は「ちゃんと聴いてもらえた」と感じます。

 

雑談の終わりには要約しませんが、

傾聴の終わりには要約が効果抜群です。

 

 

  4. 楽しい雑談・深い傾聴

 

ここで大切なのは、雑談も悪いわけじゃないし、

傾聴だけが正解というわけでもないということ。


雑談には、肩の力を抜いて

相手とフランクに交流できるメリットがあります。

 

明るい気分になれるし、

ときにお互いの情報交換がサクッとできるという

強みもある。


一方、傾聴には、

相手の深いところを受け止めて安心感を与えたり、

感情を吐き出させたりする力があります。

 

相手の自己肯定感を高める大きな役割も。

 

それぞれに役割があり、

シーンによって使い分けるイメージ。

 

「心の奥を知りたいシーン」や

「相手の悩みに寄り添うシーン」では、

意識的に雑談モードを切り替えて傾聴を意識してくださいね。


こうした使い分けを習慣化すると、

家族や同僚とのコミュニケーションで、

「あれ、なんだか聞いてもらえてない感じだな……」

というモヤモヤがぐっと減っていきますよ。

 

 

  いつもいただく受講生からの質問、相談者からの質問に答えておきますね

 

Q1. 「忙しくて雑談すらままならない状態です。

傾聴なんて余裕がない……


A1. 大丈夫です。傾聴は必ずしも

長時間必要とは限りません。

 

5分、10分のあいだでも「ちょっと黙って寄り添う」

「相槌をメインに聴く」だけでも変化が生まれます。

 

家事や仕事で忙しいときこそ、

その短い時間を意識して区切るのがポイントですよ。

 

Q2. 「子どもと話していると、

つい雑談モードを押しつけてしまい、

大事な話を聞き逃してしまいます」


A2. 思春期のお子さんなどは、

やり取りが雑談で終わってしまいがちですよね。

 

でも子どもが「ねぇ……」と声をかけてきたときは、

もしかしたら本音を出したい合図かもしれません。

 

その瞬間だけでも一度手を止め、

目線を合わせて「うん、聞くよ」と促すと、

傾聴の入り口になります。

 

向き合っていくのがとても大切ですね。

 

Q3. 「会社の同僚が深刻そうに話していても、

どう返事すればいいかわかりません。

喋りが苦手で、雑談すら続かないです……


A3. 傾聴ではむしろ「喋り続ける」のは必要ありません。

相槌や短い共感フレーズで十分です。

 

おしゃべりが得意でないからこそ、

傾聴モードには向いている面もあります。

「そうなんだね」「うん、うん」「それはしんどかったよね」

と、短い言葉だけで全然問題ありませんよ。

 

むしろ無理に言葉を増やさなくてOKです。

 

 

  雑談と傾聴、それぞれを使い分けていこう

 

 

いかがでしたか?
 

「傾聴と雑談」は、どちらも日々のコミュニケーションに

欠かせないもの。

 

でも両者の違いを理解して、

目的に合わせて使い分けると、

あなたのコミュニケーションは驚くほど楽になります。

 

雑談は「場を和ませる、楽しむ、

情報交換を軽やかにする」ために。


傾聴は「相手の深い思いを受け止め、

安心感を与え、共感を育む」ために。

 

特に、家族の悩みごとや自分の気持ちを

分かち合うシーン、

あるいは50代以上で「もうこんな年だし……」

と内面にこもりがちな方が周囲にいるときこそ、

ほんの少し「傾聴モード」を意識してみてください。

 

具体的なステップを踏むことで、

相手は「自分が認められた」

「ちゃんと受け止められた」という安心感を覚え、

気持ちが軽くなるものです。

 

あなたが心から「相手の声を聴こう」とする姿勢は、

相手にも自分にも優しい空間を作り出します。

 

雑談ばかりで終わらせず、

一歩踏み込んだ傾聴を日常に取り入れてみてください。

 

そうすることで、家族や周囲との絆がより深まり、

あなた自身の心もきっと豊かに満たされるはず。

 

「雑談と傾聴」。


どうか、この2つを上手に行ったり来たりしながら、

大切な人とのつながりを味わってみてくださいね。

 

いつでも応援しています。

 

神戸より愛を込めて。

 

傾聴の学校はこちらから

 

ご登録ください。

 

  

本日もお読みいただき

ありがとうございました。

 

神戸正博公式LINEにご登録してください

 

神戸の考え方や

最新の研究に興味がある方に

向けて発信しています。

 

神戸のライブ配信のお知らせや

最近の動向を共有しています。

 

line_btn