こんにちは。神戸です。
今日のテーマは「怒りを傾聴する」
もしよければ、好きな飲み物を
手元に用意して、
リラックスした気持ちで
読み進めてみてくださいね。
私たちが日々向き合うなかで、
「怒り」をどう受け止めるかは
大きな課題ですよね。
たとえば、家族や職場の人との
やり取りの最中に
相手が声を荒げてきたり、
パートナーや子どもからの怒りを
浴びせられたり……
そんなとき、どう振る舞えばいいのか
戸惑う方は多いと思います。
さらに、自分自身にも
怒りがこみあげるときが
あるかもしれません。
「抑えるべき」と頭で分かっていても、
つい口調が荒れてしまったり、
後悔する言葉を吐いてしまうことも
あるでしょう。
でも、実は「怒り」こそ、
傾聴する価値がある感情なんです。
イライラやムカムカを
封じ込めるのではなく、
“耳を傾ける”ことで、
お互いの心に温かい余白を
生み出すことができます。
今日はいっしょに、
この「怒りを傾聴する」方法を
学んでいきましょう。
1. 怒りをコントロールできない問題
怒りの感情には、「何かが不満」
「何かを変えたい」という
強いエネルギーが込められています。
自分が怒りを抱くとき、
相手が怒りをぶつけてくるとき、
そこには必ず「伝えたいメッセージ」
が隠されています。
たとえば、仕事で理不尽な扱いを
受けたときに怒りを覚える背景には、
「大切に扱ってほしい」
「仕事ぶりをきちんと評価してほしい」
といった切実な思いが
あるかもしれません。
あるいは家族の何気ない
一言が火種になってしまうときは、
「もっと私の努力をわかってほしい」
「一緒に協力してほしい」
という願いが潜んでいるかもしれません。
でも実際には、怒りを向けられると、
こちらも身構えてしまいがちですよね。
言い返したり、萎縮したり、
とにかく早くその場を
やり過ごそうとしたり。
すると、お互いに本当の気持ちが
伝わらないまま、
さらに溝が深まっていってしまう……。
そんな経験、ありませんか?
実は、スタンフォード大学(2018年)
の研究でも、怒りを
「まず受け止めるコミュニケーション」が
双方のストレスレベルを低減し、
長期的な関係維持につながると
報告されています。
怒りを避けるのではなく、
「それが出てきた背景を理解する」――
これこそが大きなポイントに
なるのです。
2. 怒りのコントロール手段
では、どうすれば怒りをぶつけられても、
あるいは自分の怒りに
のまれそうになっても、
建設的に向き合えるのでしょうか?
鍵になるのは「傾聴」――
相手が発している怒りの言葉を、
頭ごなしに否定せず、
一度受け止める姿勢です。
そして、もし自分の中に
怒りが起こったならば、その感情を
“まず自分自身で聴いてあげる”
ことが大切です。
傾聴と言うと、
「優しく聞く」「うなずく」といった
表面的なイメージもありますが、
怒りの傾聴ではもう少し踏み込んだ
「感情の翻訳」が要になります。
たとえば、「なんでいつもあなたはそうなの!」
と声を荒げられたら、その裏にある
「こうしてほしかったのに……」
という悲しみや寂しさ、
要求がないか想像するんですね。
心理学的にも、
「アンガーマネジメント」のアプローチでは、
“Anger is a secondary emotion”
(怒りは第2次感情)と呼ばれるほど、
怒りの奥により根源的な感情
(悲しみ、不安、寂しさなど)が
潜んでいると指摘されています。
そこに目を向けるためには、
まず言葉を表面的に受けとるのではなく
「そう感じる理由」を聞いてみる姿勢が
欠かせません。
3. 怒りをコントロールするための5ステップ
怒りの傾聴を実践するために、
なるべく簡単に取り組みやすい
ステップをご紹介しますね。
1)一呼吸おいて、自分の心を落ち着ける
もし相手から怒りの言葉を投げかけられたら、
まずは深呼吸をしてから
言葉を返すのがおすすめです。
呼吸とともに
「これは私への攻撃ではなく、
相手の感情が噴き出しているんだ」
と認識するだけでも、
こちらの心が少し落ち着きます。
これは実は脳科学的にも有効で、
短い深呼吸が自律神経を整え、
反射的な言い返しを抑える役割を
果たしてくれます
(ジョージア州立大学 2017年研究)
2)「そう感じたんですね」と肯定形で受け止める
否定せず、まずは
「○○で怒ってるんですね」
「そんなに辛かったんですね」
と相手の感情を受けとめます。
ここで大事なのは、
すぐに正論やアドバイスを
返さないこと。
「そこが腹立たしいんだね。
教えてくれてありがとう」のように、
相手が言葉を出してくれたことを
承認すると、相手の緊張は少しずつ
解けていきます。
3)背景にある本音を尋ねる
怒りをぶつけてくるとき、
人はよく「こうしてほしかったのに、
わかってもらえなかった」
などの“未充足の思い”を
抱えています。
そこで「もし本当はどんなふうに
してほしかったの?」と聞くことで、
相手自身も“怒りの奥の欲求”に
気づきやすくなります。
4)自分の気持ちも整理する
相手ばかり聴いていると、
自分の感情が押しつぶされてしまいがち。
でも実は、自分の中の怒りや悲しみも
「まずは自分自身が受け止める」
ことが大切です。
怒りを感じた瞬間、
「あ、今すごく嫌だと思ってる」
と自分に声をかけるだけでも、
感情が落ち着きやすくなります。
5)次にどうしたいかを「一緒に」考えてみる
怒りを受け止めるだけで
終わらせるのではなく、
「じゃあ、今後はどうしようか?」
と話題を未来に向けます。
たとえば職場での怒りなら、
「具体的にどんなことがあれば、
お互いスムーズか?」
と提案しあう。
家族なら、「じゃあこれからは、
どんな役割分担にしようか?」
と解決策を模索していく。
このとき、
「怒りをぶつけた/ぶつけられた」
の対立構造ではなく、
“同じチーム”として考えることが
ポイントです。
【ポイント説明】
怒りの傾聴でいちばん大切なのは、
まず怒りの表面だけを見て
慌てないようにすることです。
どんな攻撃的な言葉でも、
その裏には「わかってほしい」
気持ちが潜んでいるんだな、
と捉えてみてください。
そう思えただけで、
「なんでそんなに怒るの?」
と反発していた姿勢が、
少しだけ受けとめる余裕へと変わります。
自分自身の怒りも同じです。
感情が強く湧きあがったら、
「いま何がこんなに嫌なの?」
と問いかけてみる。
怒りは相手を傷つけるための
手段ではなく、
「私、つらかったんだよ」
と教えてくれるサインでもあるんですよ。
【質問への回答】
いつもいただく受講生からの質問、
相談者からの質問に答えておきますね。
Q1. 相手があまりに強い怒りを
ぶつけてくるので、
こちらも怖くなってしまいます……
A1. まずは「安全確保」が大前提。
すぐに場所を変えたり、
人目のあるスペースに移動するなど、
物理的に距離を取るのも大切です。
そのうえで落ち着いたら、
改めて「怒りの背景」を
聞いてみる方法を試してみるとよいでしょう。
自分自身が限界を感じるような場合、
カウンセラーや上司・信頼できる
友人に相談するのも大切ですよ。
Q2. 家族の怒りに長年振り回されてきて、
もう疲れ果てています。どうしたら?
A2. 一度、ご自身の心を
ゆっくり整えてみてください。
家族という近しい存在だと、
いつしか“怒りの構図”が
固定化しやすいんですね。
必要ならカウンセラーや外部の力を借りて、
あなた自身がまず心のケアされることを
おすすめします。
あなたが少し余裕を持てれば、
相手の怒りを受け流したり、
必要に応じて境界線をひくなどの
柔軟な対応ができるようになります。
Q3. 自分の中の怒りを傾聴したいけど、
忙しくて落ち着く時間なんて
ないんです……
A3. 深呼吸3秒でもいいんです。
仕事の合間、家事の合間に
「あ、今イライラしているな」
と気づいてあげるだけでも効果が違います。
短時間でいいから
「私、ちょっと怒りがたまってるな」
と認識する。
書き出せるならメモでもOK。
ほんのわずかな“自分を聴く時間”が、
日々の怒りを鎮める大きな一歩になります。
【まとめ】
怒りを抑え込むのではなく、
「傾聴する」。
このアプローチを意識してみるだけで、
人間関係の摩擦が驚くほど和らぎ、
さらに相手も自分も素直な気持ちを
分かち合いやすくなります。
相手が怒りをぶつけてきたとき、
ほんの少し呼吸を整えて、
「何がそんなにイヤだったの?」
と聞く余裕を持ってみる。
自分の怒りが湧きあがったときにも、
「そこには何が隠れているか?」
と問いかける。
このちょっとした工夫で、
日々の暮らしに安らぎが
生まれるんですよ。
あなたもぜひ試してみてくださいね。
最初はドキドキするかもしれませんが、
慣れてくると、
「あ、怒りってこういうことだったんだ」
と気づける瞬間が増えていきます。
すると不思議と、
職場や家族との会話もやわらかい空気に
変わっていくはずです。
忙しく頑張るあなたこそ、
ぜひこの「怒りの傾聴」を
取り入れてみてください。
自分自身を守りながら、
相手への寄り添いも育める
素敵な方法ですよ。
今日もお読みくださり
ありがとうございました。
いつでも応援していますね。
神戸より愛をこめて。
傾聴の学校はこちらから
ご登録ください。
本日もお読みいただき
ありがとうございました。
神戸正博公式LINEにご登録してください
神戸の考え方や
最新の研究に興味がある方に
向けて発信しています。
神戸のライブ配信のお知らせや
最近の動向を共有しています。