私は、カウンセラー養成講座の受講生向けに、
お茶会というオンラインの質問会を行っています。
その中で、
「相談者に問いかけられたとき、
どう対応したらいいのでしょうか?」という
質問がありました。
1. カウンセラーは欲しい答えをいう人ではなく
上司や同僚からいじめを受けている相談者。
相談内容は
「いじめを受けていてどうしたらいいのかわからない」
というものでした。
「とくに私に落ち度はないのに、
上司が大声で私をしかるのです」
「同僚は、私がいくと、
それまで楽しそうにしゃべっていたのに、
急に無言になって無視するのです」
「同僚は、ランチに行く時も
私にだけ声をかけてくれないのです」
など、こんなことをされた、あんなことをされた・・・
と話してくれます。
そして、
「ひどいと思いませんか?」と聞いてくるのです。
そんなとき、あなたならどうしますか?
「それはひどい人たちですね」と一緒に怒りますか?
・相談者にいい人だと思われたい
・先生とまた話したいと思ってもらいたい
そんな思いがあると、
「それはひどい」と同調したくなるかもしれません。
でも私は、カウンセリング中は、答えません。
2. 聞かれても答えない理由とは
通常の受け答えなら、質問されたら、
なんらかの答えをいうことでしょう。
カウンセリングの場合は、
同調も、承認も質問への回答もしません。
なぜかといえば、
相談者の気づきのチャンスを奪ってしまうから。
たとえば、さきほどの相談者の場合
「こんなにひどいことをされたのです。
先生はどう思いますか?」
と聞かれた時、カウンセラーが
「それはひどいですね」
と答えてしまうと、
相談者は表層の悩みのみに
フォーカスすることになります。
上司や同僚の、いじめや嫌がらせを
やめさせるにはどうすればいいのか?
だけを考えることになってしまいます。
・激しく怒りをあらわにして、
いじめられないようにする
・権力者から、いじめないように
言ってもらう
・環境を変えるために転職する
といった方法で、表層の悩みを解決しようと
するかもしれません。
でも、この方法では悩みの大元の原因に
気づかず、解決もできていないので、
また同じような悩みに遭遇することでしょう。
転職を繰り返しても、
必ず変な上司がいて、
いつもいじめられてしまう。
そんな状況になりかねません。
だから、私は、相談者に「どう思いますか?」
ときかれても答えません。
相談者の言葉を伝え返すだけなのです。
3. カウンセリングは、悩みの大元を探していくためのもの
カウンセラーは、相談者の心の鏡。
伝え返しをすることで、今、こんなことに
悩んでいるんだという相談者の心を、
そのまま映し出していきます。
そして、その価値観がどこからきているのかを
一緒に探していくのです。
一緒にタイムマシーンにのって、
相談者の過去にさかのぼり、
原因を探す旅にでる感じです。
幼少期の親との関係、兄弟との関係、
周りの大人とのかかわり、
小学校の先生や友だちとのかかわりなど。
カウンセリング中に思い出させないことも
多々あります。
カウンセリング中に
「これが原因だったんだ」と
腑に落ちることは稀です。
何度もカウンセリングを続けていくうちに、
だんだんと思い出していきます。
家に帰って、リラックスしているときに、
ある日ふっと思い出すことが多いです。
「あっ、あれが原因かも」と。
心の中にからみついていた
悩みのかたまりが、
ほどけた感じ。
悩みの大元の原因が腑に落ちた時、
それまで悩んでいた状況が変わります。
らくになったことを感じるかも
しれません。
『相談者の力で、悩みを解決することができる』
と信じて、見守るのがカウンセラー。
だから、表層の問題の答えをきかれても、
承認を求められても、
カウンセラーは意見を言わないのです。
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