ブエバがアフリカの空に還るとき、唯一の心残りが長男のラグベルであった。 内戦に駆り出されていったラグベルは無事だろうか。 帰りを待つ家族がいないことを知ったら、どれだけ悲しむであろうか。 どこにいるか分からない息子に書いた手紙には宛先がない。 ラグベルの机にまるで遺書のように置いてきたが、届くだろうか。 戦場を逃れて、我が家に辿り着いたとしても、裏庭の墓を見れば息子は絶望するだろう。 あの希望を込めた手紙(遺書)が、あの子に、果たして届くだろうか。 届くだろうか。 どうか届いてくれ!! その彼の魂の願いが叶うのまでには、それよりかなりの月日を経ることになる。 舞台はまた東京へ――。