ジャムを塗ったトーストの異常 -2ページ目

『象られた力』その1

しばらくぶりの更新になってしまいました。すいません。
言い訳を許して頂けるなら、ついに予備校の授業が始まってバタバタしていたもので。
どこぞのガンジィ(爆)ほど賢くはないので大変なんです。お察し下さい。


では、ようやっと本の紹介を。
以前記事に登場した、
飛浩隆『象られた力』をやってきましょう。あ、ちなみにSFです。

【『象られた力』(飛浩隆著、ハヤカワ文庫JA) 収録作品:「デュオ」「呪海のほとり」「夜と泥の」「象られた力」(収録順)】

前々前回、要素をひとつ取り上げて話を進めると言っていたので早速“乗っ取り”という言葉を軸に話を進めたいと思います。
乗っ取り、と聞いてどんな物事を想像しますか?
……無い?
……何も?
……実は俺興奮するんだ、って、NTRとちゃいますよ。
そうですよね。まあ多分ぴんとこないと思います。普段使う言葉でもないですし。じゃあ、“取り憑く”と言ったらまだイメージが湧くかと。幽霊が取り憑くだとか、狐憑き、とか。何か外部のものが、強制的に自分の中に入って来るというような感じでしょう。
“乗っ取り”も同じ様な印象を抱いて頂ければいいのです。
さて。この“乗っ取り”が『象られた力』の中でどのように登場するか書きたい……のですが、この紹介文はこの本を手にとって楽しんでもらうために書いています。
できるだけネタバレは避けたい……。
というわけで“乗っ取り”が『象られた力』の中でどう機能しているかを定式化してみます。
シンプルに書くと、

AはBという外的存在に“乗っ取られ”Cという異変が自身に起こり、Dという影響を周囲に及ぼす。

これだけです。
本書四作品の内、「呪海のほとり」を除く三作がこの定式のヴァリアントと
言えます(「呪海」も大きくみればこの定式の変形に見えなくもない)。

「え?それだけならワンパターンになっちゃわない?」

それがならないんです。
むしろ、このシンプルな鋳型から多彩な作品が生み出される様こそ見ものなのです。
その要因は、BとCの存在に潜んでいるのですが………………続く!!


お前の記事長すぎ、最後まで読めないし、という声を聞いたので、紹介文を前後半に分けます。
では明日。